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EURO makes me cry.

職場へ今日のめまいの結果を連絡すると、明日も休んで大丈夫ですよと言われたのでお言葉に甘えることにした。正直、ここで一度休みたかったというのが本音。情けないなぁと思いつつ、体と心が健康でないと仕事はやっていけないというのが身に染みて分かった。薬を飲んでいるにも関わらず、頭を動かすとまだ揺れる。今回のめまいはしつこい。やはり月曜日にはメンタルクリニックに行こう。この期に及んで恥ずかしさや躊躇は捨てる。

夜、家計簿をつけている時にふとユーロ紙幣を見たくなった。そういえばちょうど2ヶ月前の5月22日、私は日本を発ってウィーンに向かった。そのオーストリア旅行で使い切らない紙幣が35ユーロあって、小銭もじゃらじゃらと残っている。いつかまたオーストリアに行けますようにという願いとお守りを兼ねて、私は財布に2ユーロコインを入れているのだ。

手持ちの現金で37ユーロあれば、ウィーン国際空港駅からウィーン中央駅まで行ける。思い立って全部を投げ出してウィーンに飛んだとしても、少しの現金があればなんとかやっていける。いつ行ってもいいように、そんなことを時々想像したりするのだ。

ユーロ紙幣と一緒に48時間乗り放題の地下鉄の切符があった。それを見たらぶわっと記憶が蘇ってきて、確かに行ったんだなと涙が出てくる。そしたらもう止まらなくなって、オーストリア旅行で溜まったチケットやらレシートやら地図を引っ張り出すとぽろぽろと涙が溢れるのだった。目を閉じてホテルから見えた景色を思い出す。楽友協会のシャンデリアを思い出す。ザルツブルグの教会の鐘の音を思い出す。旅先にいる時には景色は通り過ぎるだけだったのに、帰国して2ヶ月経つというのに、一つひとつありありと思い出せるのだ。大切な宝箱に入れて、好きな時に開いて見るような感覚は、私の脳の一部にオーストリアという領域があるかのようだ。