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初めての劇団四季


簡単な気持ちで踏み込んだライオンキングは、
あまりにも広大な世界だった。


私は、劇団四季を体感した。






ーライオンキング開演ー


始まりを告げるミュージカルが私たちを歓迎する。


「・・・スンッ」
(え!?)


今のは感動のシーンだったのか。
隣の人が涙を流している。

わからない。どこに感動したんだ。


しかし、すぐに理解する。
その人の姿は、30秒後の自分の姿だった。


動物たちが織りなすミュージカル。

演技とは言わせない
生きた動物たちの共鳴。

これを目の当たりにして、
感情を抑えることが出来るのか。

ライオンキングの世界がそこにある。

雄叫びに胸が昂る。
圧倒的な熱量に抑え切れない感情が、涙になって溢れだす。

息を呑むほどの、自然界の表現。
動物だけでなく、植物にも命が宿る。
そう、全てに命を吹き込む。

この物語は生きている。

その生き様を私は体感する。

目の前から伝わる熱量に、涙腺が溶け、決壊する。

だが、瞳は閉じたくない。
目の前の世界を焼き付けるまで。

フィナーレを見届けた私の瞳には、サバンナの夕日が反射していた。

私が贈ることが出来るのは何か。
素晴らしい時間をいただけたことへの感謝は何で伝えるべきか。

私が出来るのは、ただ感謝の拍手のみかもしれない。
ありがとう。という感謝をこの身体で伝えたい。

手の感覚が無くなるまで、満来の拍手を贈る。
ステージにまで響き渡るように。

初めてスタンディングオベーション

彼ら、彼女らの生き様に感謝を込めて。


私はこの物語を体感した。





初めてライオンキングに触れる人は、
真ん中端の席をオススメする。




Q.いい席なの?


A.めちゃくちゃいい席でした。




「最前列がいい!」
という声もわかるが、それは二回目以降がオススメ。


まずは物語全体を体験し、
そこから近づき、気付きに繋げてほしい。

私も初心者故に、もっといい席があるかもしれない。
だが、真ん中通路側の席は絶対に譲れない。

ネタバレはしたくないが、あえて言うなら。
動物たちにとって、通路も縄張りの一つ。


『劇場の全てが、ステージ』
全てが動物たちの故郷。


最前列が空いていたのにも関わらず、
電波が悪く、売り切れたあの日。


【ライオンキング 最前列 オススメしない】
と検索をかけ、自分の心を安心させていたのも過去の話。


流れた涙は道しるべとなり、この席を選び取った。

私の涙を無駄にするな。

巡り会えたことに感謝を込めて、この席をオススメする。




役者が織り成す、物語の体現。25周年の重み。
これがライオンキング。これが劇団四季。


終演後、どこからか『何回見ても飽きない』と声が聞こえてくる。


座席を変えるだけで、新しい発見に気づく。
時間を変えるだけで、その日だけの景色が見える。


これをどうやって飽きるというのか。


沼は深そうだ。少しずつだが、浸かってしまう。
抜け出すのはまだ先にしてくれ。今はこの沼の余韻に浸らせほしい。 


(次回は何を見ようかな)


そんなことを考える私のスマホには、
いつしか公演日のスケジュールがブックマークされていた。

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