ニチアサの話がしたい vol,11
【今週のニチアサ】
スーパー戦隊シリーズにおいて最も世の中誤解されていることのひとつは、「戦隊モノは価値観が変わらない」と思われていること、だと思う。勧善懲悪、男性中心主義、暴力で解決、自己犠牲のヒロイズム etc… そういったことが礼賛され推奨され、子どもたちに『凝り固まった価値観を刷り込む』悪の枢軸のように語られることすらあるが、ここでマジで一回この誤解を解いておきたい。
1975年の「ゴレンジャー」からおよそ45年間、真断なくTV放送を続けてきたスーパー戦隊は、その時々の日本の実状や景気、ファッションや音楽やギャグの流行、人との関係性や共同体の距離感、組織のあり方、街の空気感に至るまでをつぶさに映し出す時代の合わせ鏡であり、子どもたちに今、何を見せるべきなのかを常に考え、柔軟に価値観を変えてきた他に類を見ないTVシリーズであると思う。
正義とは何か、悪とは何か。強い力の使い方、仲間を信じ協力しあうことの大切さなど普遍的なテーマは確かにいくつか存在するが、それは価値観ではなく「語ってきたもの」だ。そもそもこの「正義とは何か」ほど時代によって答えが揺れ動く問いかけも無く、やはりスーパー戦隊シリーズは教育番組でありつつも、ヒーローというキャラクターを通じて善悪のドラマを描きながら、キャストやスタッフ、更にはその視聴者までをも巻き込んだ「その時代を懸命に生きた人たちの生き様の記録」とも言えるのだろうと思う。
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