見出し画像

✦3 実用性や機能性を重視したアートの流れ

まず例を出した方がわかりやすいので、実用性や機能性を重視しているアートの例を出します。人生で一度は実際に体験や鑑賞したことがあるのではないでしょうか。

  • 実用アート(ユーティリティ・アート) 日用品や家具にアーティストがデザインを施した作品。使用することを目的としている。

  • コミュニティアート 地域社会に関わるアート。街の美化、コミュニティの活性化を目的とする。

  • 環境アート 自然環境との調和を意識したアート。地球環境の問題に注目する作品が多い。

  • ソーシャリー・エンゲイジド・アート 社会問題にコミットするアート。平和、人権、貧困などのテーマを扱う。

  • パブリックアート 公共の場所を舞台にしたアート。街をアートの場に変容させることを目指す。

このように、実用性重視のアートは鑑賞に留まらず、人々の生活に密接に関わったり、社会課題の解決を目的とする傾向が強いです。自己表現よりも外部の目的達成に重きを置くのが特徴です。

また、生活空間で使用する家具や日用品にアーティストがアート的なデザインを施した作品の例を挙げると以下のようなものがあります。

  • フィリップ・スタルクのチェアデザイン 曲線的なオリジナルのフォルムが特徴的。機能美を追求している。

  • ロン・アラドのソファデザイン 流線形の動的なデザインが印象的。立体的な造形美を目指す。

  • 原研哉の食器デザイン 伝統工芸の技法を取り入れたシンプルで独創的な食器。

  • 草間彌生のインスタレーション 空間全体を生活の場とアートの場の融合を図る。

  • 栗田勇のペーパークラフト 紙を素材としたレーザーカットの造形物。工芸とデザインの融合。

このように、実用性と芸術性を両立させた作品が多数生み出されており、アートの領域が日常の中に取り込まれている例だと言えます。こうなってくると、そもそも日本の漫画やアニメ、工芸、ゲームがアートから外れていることに違和感があり、個人的には工芸品やサブカルチャー作品をキュレーションをするだけではいいのではないかと思ってしまいます。
 ですが、アーティストがサインすることでアート作品になるレディメイドという現象がまかり通っている現代に違和感を感じます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?