カミオ

関東で猫と植物と暮らす。工芸とサブカルチャーの可能性を信仰しているPM/CDです。 工…

カミオ

関東で猫と植物と暮らす。工芸とサブカルチャーの可能性を信仰しているPM/CDです。 工芸に関するプロダクトを2024年にリリース予定。 プロダクトリリースまでの連載と、アートに関すること、 また、プロジェクトマネジメントが自己管理に活きること、 毎週木曜17:30頃に投稿

マガジン

  • 事業立ち上げ日記

    陶芸の再ブランディング+販売サービス[&Co.gei]の立ち上げ日記です。 サービスローンチまでの日記です。

  • 現代アートを考える

    現代アートと工芸やサブカルチャーとの関係を書きました。

最近の記事

現代アートの言語依存と社会批判の限界

はじめに現代アートの概念芸術は、言葉に依存し、他者の構築したシステムや社会問題に対して批判的であるという特徴があります。しかし、この傾向には限界があると考えています。本記事では、現代アートの言語依存と社会批判の問題点を指摘し、その限界と可能性について考察します。 言葉が優先される現代アート具体的には以下の3つにまとめました。 コンセプトの重視 言語化できるものに偏重 視覚的表現の軽視 現代アートでは、作品のコンセプトや背景にある思想が重視される傾向にあります。そのた

    • 現代の表現者に求められる人間性:SNS時代の新たな課題

      現代社会において、現代の作家は過去の作家と比べて、作品だけでなく、人間性や素行についても評価の対象となることが多くなりました。この変化の背景には、メディアの発達、特にソーシャルメディアの普及が大きな影響を与えていると考えられます。 生きている作家に対しては、人間性を求め、過去の作家には人間性をあまり求めていません。 仮に現代の作家・俳優・政治家が、不倫など行なっていた場合。その人間の活動は再帰不可能になってしまう場合があります。 ですが、現在も讃えられ、フォーカスされる過去の

      • キュビスムを薄めた何かについて

        SNSで目にするアートの中には、キュビスムの表面的な特徴を模倣しながらも、その革新的な精神を欠いているように感じられる作品があります。このような作品の「うすさ」は、キュビスムの本質的な理解の欠如に起因しているのではないでしょうか。本記事では、キュビスムの特徴や影響を詳しく見ていくとともに、現代アートにおけるキュビスムの受容と問題点について考察していきます。 前半はキュビスムについてまとめています。後半は現代起こっている現象と鑑賞者として現代作品との向き合い方をまとめました。

        • &Co.gei 事業メモ #01

          今回、陶芸を再ブランディングし、販売していくサービスを立案し、まず最初にすべき事業コンセプトをまとめていきます。このシリーズは、サービスローンチまでメモとして、不定期ではありますが、連載していこうと思っています。 [&Co.gei]名称と想い工芸の英語表記Kogeiを変化させた。[&Co.gei]という事業名称には、以下のような想いが込められています。 [&Co.gei]という名称は、日本の伝統的な陶芸の美しさを現代的な感覚で表現し、海外市場に発信していくという事業コンセ

        現代アートの言語依存と社会批判の限界

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        記事

          作家性というビジネス戦略

           作家性。よく聞く言葉です。作家性ってそんなに重要なのでしょうか。浮世絵やミケランジェロなど、業者として絵を描いていた作家たちには必要とされてませんでした。商業的なカルチャー作家では、現代もまだ漫画家や映画監督も同じく作家性はそこまで重視されません。  ビジネスでは事業ピッチを行う際に、事業関係者がどのようにそのビジネスをやろうと思ったのか?事業者はどうゆう人物なのか?ストーリーで伝える流れがあります。  作家性の重要性と、作家性を求めだしている流れ、作家性というものを分解し

          作家性というビジネス戦略

          アートをビジネスで活用するということ

          以前、「アートはアートのためのアート」という記事でアートは自己完結な状態から、実用性を併せ持つように変化をしていることを書きましたが、アートはビジネスに活かすことは可能であり、実際に多くの事例があります。アートとビジネスを結びつける方法は、個人から企業まで様々な方法があり、まとめてみました。 1.デザイン分野での活用 製品デザイン、パッケージデザイン、ウェブデザインなどにアートの感性を取り入れることで、商品の付加価値を高めることができます。 アートの要素を取り入れること

          アートをビジネスで活用するということ

          「高尚な芸術」という潜在的な差別意識

          「高尚な芸術」という言葉は、しばしば伝統的で洗練された芸術表現を指して使われます。それは、芸術性の高さや芸術としての価値が広く認められている作品や表現を意味することが多い印象です。「高尚な芸術」の要素として以下があると考えました。 1.伝統性 長い歴史の中で洗練され、受け継がれてきた芸術表現は、高尚な芸術と見なされる傾向にあります。例えば、クラシック音楽、オペラ、バレエ、古典絵画などがその例と言えるでしょう。 2.技巧の高さ 高度な技術や専門性を要する芸術表現は、高尚

          「高尚な芸術」という潜在的な差別意識

          「芸術性」とかいうものを7要素に言語化してみた

          たまに目にする芸術性という言葉。この言葉を本当の意味で使いこなしている人が何人いて、何人理解しているのだろうか。漫画やアニメや工芸は芸術性が低いということを聞きます。ちゃんとここらで言語化しようと思います。 芸術性を理解しづらい理由主観性の高さ 芸術性の判断は、個人の主観に大きく依存する感覚です。人によって感じ方や解釈が異なるため、共通の理解を得ることが難しい。人に伝わらないし、伝えられない。 言葉での説明の難しさ 芸術性は、言葉で明確に説明することが難しい概念です。

          「芸術性」とかいうものを7要素に言語化してみた

          ✦4 サインするだけでアート作品になるレディメイドを分析する(と少し自分の意見を言ってみる)

          アーティストが工業製品やサブカルチャー作品にサインをすることでアート作品になってしまう現象は、「 Readymade(レディメイド)」と呼ばれるアートの概念に起因しています。 Readymadeとは、アーティストがすでに作られている日用品や大量生産品をそのまま作品として選択・発表することです。 1910年代にマルセル・デュシャンが、工場で量産される便器に署名をしてアート作品としたのが始まりです。 このReadymadeの考え方によって、アーティストの選択・意思表示という行

          ✦4 サインするだけでアート作品になるレディメイドを分析する(と少し自分の意見を言ってみる)

          ✦3 実用性や機能性を重視したアートの流れ

          まず例を出した方がわかりやすいので、実用性や機能性を重視しているアートの例を出します。人生で一度は実際に体験や鑑賞したことがあるのではないでしょうか。 実用アート(ユーティリティ・アート) 日用品や家具にアーティストがデザインを施した作品。使用することを目的としている。 コミュニティアート 地域社会に関わるアート。街の美化、コミュニティの活性化を目的とする。 環境アート 自然環境との調和を意識したアート。地球環境の問題に注目する作品が多い。 ソーシャリー・エンゲイジド

          ✦3 実用性や機能性を重視したアートの流れ

          ✦2 「アートはアートのためのアート」のおさらい

          「アートはアートのためのアート」とは、アートには実用性や機能性を超えた自己完結的な価値がある、という考え方です。個人的にはアートに対する批判を受け付けないための、自己防衛的な概念だと思っています。 この考え方には具体的には以下のような特徴がある。 アートは鑑賞するためのもので、実際の生活で使うものではない アートの価値はアートそのものの中にある。外部の目的を達成するための手段ではない アート作品は作者の内面や表現の純粋性が最も重要である 観客は作品から受ける感動や美

          ✦2 「アートはアートのためのアート」のおさらい

          ✦1 実用性と現代アートの関係について

          近年の現代アートの動向を見ると、従来の「アートはアートのためのアート」という考え方とは異なり、実用性を重視する作品が増えている。 例えば、生活空間に存在する家具や日用品にアーティスト自らがアート的なデザインを施した作品が多数制作されています。これらは鑑賞するだけでなく、実際に生活の中で使うことを目的とした「実用アート」と呼ばれ始めています。空間デザインと一体化したインスタレーション作品でも、見る者を癒やしたり、環境を改善する実用性が意識されることが多いです。 また、社会問

          ✦1 実用性と現代アートの関係について