本を売った日

この記事は1年半前に書いたものです。

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本を売って泣いてしまった。

出来るだけお気に入りの古本屋さんで、持っていた本に相応しい場所で売った帰り道、
自転車に乗って一人暮らしの家に帰る途中。

持っていた本の値段に、300円という価値がついたのにも悲しかった。


引っ越しを決意し、今、家にあるものを整理している。



私は、物を捨てるのが好き。


ミニマリストまではいかないけれど、持っているものは少ないし、
引っ越しをするのに、箱に詰めたダンボ~ルの数は4箱だった。



多分、物を捨てられない人と同じことが言えるのだと思う。


思い出が多いせいで、物が捨てられない人間と同じように、思い出を捨てたいが為に、私は物を潔く捨てる。

過去は、振り返らない主義なのさ。



それで、今回は物を売ってみた。

捨てるには勿体ないないし、とても素敵な本だから、できれば誰かの手に渡って欲しいと思った。



それなのに、帰り道は泣いてしまった。

なんなら、捨てればよかったとさえ思った。本なんか売らずに。


今回のことで思ったこと



多分、私は自分の思い出に300円の価値がついたことに我慢ならなかったんだと思う。

それは、もっと高いと思ったし、思い出に値段がついたことで、価値が失われたと思った。


そしてまず、自分以外の誰かの所有物になるのが嫌だった。

だからいつも捨てていたのに。

売ったのも自分だし、こんなことで愚痴を吐いてもばかばかしいけれども。



捨てる行為は、私のこの手で、葬るぜ。みたいなニュアンスが込められてるのね、と改めて実感した。



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