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手放した先に見えたもの



時刻は午前0時。


私はある記事に出会い、大泣きしてしまった。

涙腺崩壊。


いきなり、ティッシュ片手に鼻すすりながらおいおい泣く妻の姿に、夫がギョッとしていた。


「ど、ど、どうしたの?」

「いい記事に出会っちゃって」

「そうかぁ、よかったね。どんな記事?」



冒頭の詩から、涙が勝手に流れてきた。
止まらない。
どんどん涙が出てくる。
え、なんだ、どうして。
自分でもわからない。
どうした、私。

花まるが、お花のように咲いてたら。

記事からの引用


私には、小学2年生の繊細息子がる。
入学して2ヶ月で学校に行かなくなった。
「行けなくなった」ではなく、「行かなくなった」。今は、そう思っている。
いや、やっと少しずつ思えるようになってきた。

幼稚園の年中から開花した息子の特性。
本当は生まれた時から開花していたんだろうけど、私がその特性に気がついたのが、「もう、気持ちがパンクしちゃったの」という息子の言葉を聞いたのがきっかけだった。

目の前の息子は、私の「子供像」、私の「普通」をこれでもかってくらいにぶっ壊してきた。

私はなかなか目の前の息子の姿を受け止められず、辛くしんどい日々が続いた。


それは小学校に入学しても変わらなかった。


幼馴染が同級生とランドセル姿で楽しそうに帰宅するのを見ると、切なかった。

息子もそこにいてほしかった。
息子の特性を理解しているはずなのに、どうしてもそう思ってしまう。

私はまだ、私の「普通」を手放すことができず、それは私を苦しめた。



小学校は、息子を待ってくれない。

覚悟はしていたが、想像以上だった。

隅々まで花の水やりをやっている息子は「そこはいいから」と遮られ
じっくり葉っぱの観察をしている息子は「もう時間だから」と注意され
鉛筆描きが好きな息子は「色塗ってないじゃない」と指摘され
ゆっくり正確に準備をしている息子は「早く早く」と急かされ

みんなと同じように座れたら「えらい」と褒められ
はみ出さずに書けたら「上手ね」と褒められ

常に時間におわれ、急かされる。
指示と注意ばかりの「みんなと同じ」がよしとされる世界。

心が整うのに時間がかかる息子
いつも何かを考えている息子
自分の世界、自分の意思をしっかり持っている息子

息子の「はみ出た部分に実は素晴らしいものがある」と幼稚園の園長先生は私に教えてくださり、息子は自分の花を大きく開くことができた。



その息子の花が、大きく開いていた花が、どんどん小さく萎んで行くのがわかった。

どんどん小さくなっていく息子の背中。


息子はある日の夜、大量に嘔吐し、その日を境にだんだん学校に行かなくなった。

そして、息子の大きく開いた花は


閉じてしまった。


私は付き添い登校でずっと息子のそばにいた。
目の前で起こっている全てが、毎日毎日違和感でしかなかった。


その違和感を抱きながらも、息子をなんとかして学校に行かせようとする私の中の「普通」を、私はどうしても手放すことができなくて、手放せないまま、息子は学校に行かなくなってしまった。


ああ、そうか、わかった。


くりすたるるさんの記事に出会い、私がどうして涙が止まらなくなってしまったのか。


それは、きっと私自身を苦しめている私の「普通」という鎖を、するすると手放し始めているからかもしれない。


くりすたるるさんは、記事が私の「きっかけ」になったのではないかと、伝えてくださった。


そうだ、きっと、私は手放し始めてるんだ。

小さかった息子を自転車の後ろに乗せ付き添い続けたあの日々

教室で1人息子を待ち続けたあの日々

運動会のリレーで駆け抜ける子供たちの真ん中で走らずに泣き続ける息子を精一杯抱きしめたあの日

学校で抱き続けてきた違和感


私が息子と過ごしてきた日々は、

「あなたはあなたでいいんだよ」

と、息子に一生懸命伝えようとした母の愛情そのものなんだと

だから安心して、私の価値観を手放していい


そう言われている気がした。


こうやって、noteを通して、この素敵な記事に出会えたのは、息子のことをいつも考えているから。

noteで息子との日々を面白おかしく綴っているのは、それで心のバランスをとって、息子を抱きしめたいから。


ああ、私はやっぱり息子が愛おしい。


自分自身の心の向こう側を感じることができた。


私は、涙が止まらなかった。




あなたはあなたでいい
それだけで花まる

そこにいてくれるだけでいい
それだけで花まる


学校に行かなくなり、食べられなくなり、どんどん痩せていった息子に、そうやって私は花まるの花を渡し続けた。



息子は小さい頃からいつも私に花を摘んで渡してくれた。

今度は私の番だ。

私は、花まるのバトンを、息子を理解してくれる人たちにも繋げた。

いろんな人が息子に渡し続けた花まるの花は、
息子に再び大きな自信と安心を育ててくれた。


息子は、笑顔を取り戻し、また、大きな花を咲かせ始めた。


わたしは両手を大きくひろげ、
お花畑をだきしめる。
それからあたりの花まる摘んで、
大きな大きな花束つくろ

わたしの野原の
わたしの花まる。
かぞえきれない
赤い花。

記事からの引用


素敵な記事に出会えてよかった。


心からの感謝を送ります。
ありがとうございました。

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