通勤渋滞地獄から週1日のリモートワークへ

ドットコムブームがさらにひどくなってアパートから会社への通勤は至難の業だった。距離にして片道約約67キロ。カリフォルニアの高速道路の制限速度はだいたい100キロなので普通に走れば1時間かからない計算になるが、そんな日はほぼなかった。毎日毎日渋滞を乗り越えて会社へ向かう。ひどいときは片道2時間くらいかかるときもあった。

自転車通勤もやってみた。アムトラックという電車の駅がアパートから自転車で約10分くらいの距離にあった。そこからサンノゼまで電車で行くことができた。自転車は列車内に持ち込みで乗っている間は自転車置き場に駐輪する。サンノゼの駅からはまた自転車で会社までは約20分くらいの距離だった。電車に乗っている時間は約1時間で自転車の時間が約30分。待ち時間を入れても2時間以内で通勤できる。

当時は片道で最低でも1時間半から2時間の運転時間だったので時間的にはそれほど節約できたわけではない。が、なんといっても電車の中の1時間がありがたかった。電車内が混雑することはまずなく必ず座れた。隣の席に誰も座らないことがほとんどだった。座席は日本の新幹線やみたいに折り畳みのテーブルが備え付けられているのでラップトップを広げることができた。

上司のCさんは、会社の近くに引っ越したらどうかと盛んに勧めてくれた。でもこれだけ通勤で消耗してても会社の近くに引っ越す気にはなれなかった。社内でも私のように遠くから通勤している人はあまりいなくてほとんどの人がサンノゼの周辺に住んでいた。

私は渡米していらいイーストベイというサンフランシスコの対岸にずっと住んでいてボーイフレンドもいたし、ウインドサーフィンの仲間もいた。何よりも会社の近くに引っ越したらウインドサーフィンで出艇するところから遠くなってしまう(と思うくらいプライオリティは高かった)。しかもいまでこそ盛り上がっているが、当時のシリコンバレーは夜遊びするところもあまりなく田舎で住むのはつまらないところという印象だった。なのでサンフランシスコのダウンタウンまで車でさっと行って食事したり夜遊びしたり美術館に行ったりできるイーストベイのロケーションをあきらめるわけにはいかなかった。

ある日Cさんが、1週間に1日くらい家からリモートで働いてみたら?と切り出してくれた。

リモートワーク!!

今でこそコロナの関係でリモートで働く人が多いけれど当時リモートで働く人は労働人口の1%にも満たなかったと思う。会社にはすでに100%リモートでオフィスにはほとんど顔を出さないアナリストが何人かいた。

こうしてリモートワークが週に1日の頻度で始まった。週に1日でも渋滞をくぐりぬけなくていいのは本当にありがたい。就職してから1年くらいが経過していたと思う。



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