水曜日の本棚#12 Pope来たりて「守教」を思い出す

Pope(ローマ教皇)が来日したニュース、特に長崎を訪れた様子を見聞きしていて、ぼんやりと考えた。「禁教下で信仰を続けたご先祖さまたちは、さぞ感慨深いだろうな」。長崎の大浦天主堂、潜伏キリシタンの島・黒島のミサの様子、遠藤周作の「沈黙」..."カトリック""ローマ教皇""長崎"から連想される記憶や印象が蘇る。

帚木蓬生の「守教」。戦国時代から江戸時代の「今村」(現在の福岡県太刀洗町)の庄屋の一族に焦点をあてつつ、キリスト教がいかにその地の農民たちに広まったか、彼らがどのように信仰を守り続けたか、そこに交差する人々の想いや歴史上の史実・人物を巧みに登場させながら描いた大作だ。

「沈黙」でも出てきたあのフェレイラ神父(日本のイエズス会の中心的人物だったが、穴吊りの刑に処され、棄教。カトリック教会に衝撃を与えた)の話も登場したりなんかで、「おー!ここにもフェレイラ!」と勝手に親近感を覚えたのは、まぁ、閑話。黒島に行ったときにも感じたけれど、決して豊かではない土地で生きることに精一杯であっただろう農民たちが、そこまでして守りぬいた信仰への想いは、わたしには正直、いくら想像してもわからない。

ただ、胸打たれるのだ。そこまで何かを信じるということに。2月の寒い日曜日、朝靄のなか耕作機(!)に乗って教会に向かうおじいちゃんおばあちゃんたち、ロザリオを持ってこうべを垂れるその姿は、いまだに鮮明にわたしのなかに残っている。

(教会の組織的な問題あれこれについて思うことは、また別の機会に)

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