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どんな仕事も工夫次第で面白くなる

「仕事が趣味」

そう言うと、たいてい引いたような目をされる。その人たちの多くは「仕事の何が面白いの?」といった反応によるものだ。

仕事に対する捉え方・感じ方は人それぞれ。だから、異なる感覚があっても、それを否定する気はさらさらない。けれど、生活のためだからと毎日の仕事を、時間を消費するように過ごしていくのは、なんだかとてももったいない気がするのだ。

もちろん、誰しもが自分のやりたい仕事ができるとは限らないし、自分の成りたいものになれるとも限らない。生活のために仕事をするのも、その人が生きていくのに大切なことだろう。

それでも、私は言いたい。せっかく同じ時間を使うなら、少しでも楽しいほうがいいじゃないか。面白いほうが毎日がワクワクするじゃないか、と。

高校時代から今に至るまで、私は数多の職種を経験してきた。その経験を通して思うのは、「工夫すれば、どんな仕事もワクワクできるし、面白くなる」ということ。

今回は、それについて私がどんな工夫をしてきたのかを、ちょっとだけ書いてみた。
※20代前半の人にも伝わりやすいように、アルバイト時代の話をピックアップしています。

ここに記した工夫とは、とてもとても些細なものだ。この些細な物事すらも楽しめないなら、大きなワクワクなんてもっと感じられなくなるのではないだろうか

その前に、私のアルバイト経験について、少しだけ共有しておこう。

アルバイトでの経験が私を仕事好きにした。

私が経験したアルバイトは、接客業が中心だ。FCチェーンのハンバーガーショップやカフェ、個人経営のレストラン、カラオケ店、居酒屋、八百屋、カメラマンなど。正直、挙げればキリがない。

学生時代の私は、それはもうバイト魔だった。常時3つはアルバイトを掛け持ちしていたくらいだ。そんなに稼いで何をしたかったのかといえば、特にない。ただ、働くのが楽しくて仕方がなかったのだ。

なぜ、そんなに楽しかったのか?

理由を挙げれば、いろいろある。
・人間関係の良さ
・働きやすさ
・頑張りに評価をしてもらえた
・お客様に良い人が多かった

そんな楽しい日々の中でも、悔しくて悲しくて、つらかった日がなかったわけではない。

厳しい先輩や上司から罵声や怒号を浴びせられることもあったし、お客様から怒られることもあった。ミスもたくさんした。

それでも、楽しかったのだ。

私の経験は、年下の人にとっては化石みたいなものかもしれない。それでも、多種多様な職を通して得たことは、その後の私の人生において、多くのことをもたらしてくれた。

その中で最も大きな発見は、どんな小さなことであっても、工夫すれば楽しさ・面白さを見い出せるというものだった。

工夫といっても、それら一つ一つを取り上げてみれば、とても地味なものばかりだ。決して派手さはない。けど、これから紹介することは、今の私の仕事への向き合い方にも通じている。

20年以上経っても、学生時代のアルバイト経験で得たことが、今の仕事に対する向き合い方にも影響を及ぼしているんだから、どれだけ経験が大切かは感じてもらえるんじゃないかな。知らんけど(笑)

いま、仕事が楽しくないと思っている人には、もしかしたら何かのヒントになるかも。たぶんね(笑)

今回はイメージしやすいように、ハンバーガー屋でのバイトを例に挙げてみる。

徹底的なイメトレ

キャベツの千切りでは、だいたい何㎜程度とカットする細さが決まっている。当時、包丁を使い慣れていなかった私にとって、この千切りが実は恐怖でもあった。

「手を切ったらどうしよう」という恐怖心。家にはないような、中華包丁で切るのだ。これがまた重たい。それを使って、高速で切っていくのだ。

こういう作業は、ストックしておくためにお客様のいない隙を見計らってやる。

私が勤めていたハンバーガー屋は、20人くらいしか入らないとても小さな店。スタッフは、ピーク時で4人体制。それ以外は2人体制。平日の夜は基本的に2人体制だった。

その場合、1人は厨房、1人がフロアと接客を受け持つ。キャベツのストックは、手が空いてる方がするのだけれど、厨房スタッフは他の材料の用意や在庫確認、油の交換などをすることが多い。つまり、キャベツ切りは、フロア担当の私の任務だった。

大きな店舗なら千切りマシーンが導入されているところもあるが、残念ながらうちにはない。モタモタしていたら、お客様が来店してくるかもしれない。それに、他の自分の作業も進まない。

そんなプレッシャーの中で、指示された量だけキャベツの千切りをする。慣れればとても簡単な作業なのだが、難しいのが決められた太さで均一に切ることだった。

私は右利きなので、食材を押さえる手は左手になる。左手との距離に合わせて、一定のリズムで包丁を動かす。この数ミリの間隔を体に叩き込ませていく。目で食材を見つつ、頭の中で無駄のない動きを考えながら。

仕事場では、その数ミリを体に馴染ませるには足りず、家に帰って毎日ひたすらイメージトレーニングを繰り返した。

紙に線を引き、その距離感を繰り返し覚えていく。すると、徐々に感覚がわかってくる。

1㎜の誤差が明確に見えるようになり、0,n㎜単位の違いに違和感を覚えられるようになる。体が距離感を覚えているから、次第に余所見をしても切れるようになる。

そうやって一つクリアできると、恐怖心もいつの間にかなくなって、キャベツ切りが楽しくなってくる。5分かかって特大サイズ1玉を切っていたのが、5分を切ってやろうとタイムトライアルしたくなってくるのだ。

しまいには、ベテラン主婦パートのおばちゃんと千切り対決をしたりするようになる。(そして、大量に切り過ぎて怒られた笑)

手指の感覚を研ぎ澄ます

ポテトも、サイズによって提供する分量が違う。揚げるときも、フライヤー(揚げ物専用の装置)に入れていい分量が決まっている。

慣れないうちは、計りでいちいち重さを確認する。これも、忙しいときなんて確認してる余裕がないのだが、入れすぎると揚げるのに時間がかかったり、時間通り揚げても中まで火が通っていなかったりするので、測らざるをえない。

フロア担当だったのだが、うちの店は小さいこともあり、基本的に全員が最終的には厨房も一通り仕込まれる。それで、私もポテトを揚げることになったのだ。

ところが、慣れていないから、分量をできるだけ誤差なしで入れるために、計測にめっちゃ時間がかかる。

これではダメだと、1g単位までわかるように特訓した。幸い、ポテトは一日に何度も揚げる。うちの店はピーク時を除いては作り置きをほぼしないので、オーダーが入るたびに揚げる。

毎回、手指に神経を集中させて、重さを覚えていく。すると、数日も経てば誤差が数gになってくる。不思議なもので、どんどん感覚が研ぎ澄まされていくのがわかる。

そうなると今度は、一発でどれだけピタリと当てられるかを試したくなってくる。やがて、先輩とピタリ賞対決と称して、どちらがより正確に素早くポテトを用意できるか勝負したくなるのだ。

まあ、それも先輩がやたらと厳しい人だったから、私がギャフンと言わせてやりたかっただけなのだが(笑)その結果、ギャフンとはさすがに言わなかったが、お褒めの言葉をもらったので良しとした。

利き手にこだわらない

特に楽しかったのは、レジの左手打ちをマスターしたときだった。店のレジは、カウンターの設計の都合上、全て左側に設置されていた。

右利きの人間にとっては、打ちにくい位置にある。お客様と対面しているのに、体をひねるか、立ち位置をずらして打つのだ。レジ対応を長時間していると、これが意外と体に負担になっているのに気づいた。

そこで、私はレジの左手打ちをマスターすることにしたのだ。ハンバーガー屋では、レジ対応を効率的にするために、注文を聞きつつ、ストローやナプキン、ソースなどをトレイに用意していく。

利き手が塞がっていると、それがとてもやりにくい。前述したように、ピーク時以外、スタッフは2人だけ。レジ(私)が詰まれば、あとの作業にも支障が出る。いかにスムーズに会計を終えていくかは、とても重要な課題なのだ。

左手でレジをこなせれば、利き手が自由になる。体をひねらずともよくなる。会計のスピードも、わずか数秒の差でも早く終われば、それが一日の業務が終わる頃には何分という差になる。その分、お客様は満足してくれるし、自分も他の業務に時間を当てられる。

左手でレジを打つのも、体に覚え込ませるしかなかった。レジのパネルを全部、同じ大きさに書き写して、帰宅してからそれをダンボールに貼る。パネルボタンの一つ一つのサイズを同じ大きさにしておくことで、指の距離感が覚えやすく、パネルの位置が頭に入るようになる。

最初はよく出るメニューを覚え、次にドリンクやサイドメニューを覚える。そうやって段階を踏んで、全てのパネルを覚える。この訓練をしながら、実際に現場でチャレンジをする。打ち間違えても、会計を確定させる前に取消せばいい。

そうやって、私は店で唯一、レジを両手打ちできるスタッフになった。

臨機応変に優先度を変える

ハンバーガー屋やレストランなど、飲食を提供するところでは、オーダーの通し方にもちょっとした注意を払っていた。

これは、最終的に提供する時間に影響を及ぼすからなのだが、こうしたほうが厨房も楽かもしれないと思ってのことだった。店や時間帯・曜日によって、厨房スタッフの人数は違うものだ。

オーダーを通すとき、システムで自動的にフロアから厨房に注文が送られるなら別だが、口頭で伝えるときは、全体の状況を見てオーダーの通す順番を変えていた。

ガスコンロが混んでいるときは、火を使わないものを先に注文を通したり、コンロは空いてるけど人手が足りないときは先に出せそうなものや時間が掛かりそうなものから通したり。複数のオーダーの中から、伝える優先度を変えていくのだ。

このあたりは、提供するメニューとそれにかかる工程、おおよその提供時間、スタッフの担当など全て頭に入っていないと難しいが、1ヵ月も働けばたいてい頭に入る。(ちゃんと周りを見ていたら)

そうやって厨房から上がってきたものをお客様に提供する。フロアがスムーズに回れば、トラブルも少なくなる。オーダーしたのにまだ料理が上がってこないとか。厨房とフロアは、持ちつ持たれつなのだ。

どんな仕事も工夫すれば面白くなる

ここで挙げたのは、あくまでも私がどう工夫していたかの話。同じことを勧める気はない。もちろん、やってみようと思ってもらえたなら「どうぞ」と思う。

伝えたいのはそれではなく、ぼんやりとしていたら退屈な業務でも、自分を楽しませる方法は工夫次第でいくらでもあるんだってこと。そして、それが何かの拍子に良い評価に繋がったり、周りに良い影響を与えたりすることもある。

たかがアルバイトでも、自分が何をどうやるかで得るものは変えられる。それは、アルバイトに限らず、どんな仕事にも言える。

オフィスでコピーひとつ取るときも、ただコピー機にコピーを任せてぼーっとするのと、意図や用途を確認して目的に合わせて会場をセッティングするのとでは、得るものが全く違う。

着眼点を変えるのは容易じゃなくても、行動をちょっと変えてみれば、少しずつ見えてくる世界は変わる。

どんな仕事でも、工夫すれば面白く楽しくできるのだ。それをするのは、自分の意識と行動次第。ただそれだけ。

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