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コンプレックス

私は幼い頃から、人見知りで、大人しい性格で、外でも遊ぶけれど、家の中では沢山の本を読み、その主人公に感情移入したりして、非現実的な世界の中で一人で過ごすのも、好きな少女だった。

勿論、お人形さんごっこも好きで、妹のリカちゃん人形の長い髪の毛を「私がカットしてあげるから」とザンバラ髪にしてしまい、妹に大泣きされたこともある。

小、中学校は公立の学校に通い、そこでは、担任の先生に可愛がれたり、クラブ活動の顧問の先生に可愛がれたりと、大人しくて何でも「うん。はい。」と言う性格が周りから見ると素直な女の子に見えたんだろう。

私立高校に入り、そこは女子校で、17歳の高二の時に初めて友達と渋谷や、六本木での遊びを覚えた。当時、そのような繁華街で遊んでいる私立の他の学校の子たちは、とても垢抜けていて、綺麗で可愛く、ブランド物まで持っていた。

そこで、私の最初のコンプレックスが疼き始める。「皆んなは、あんなに綺麗で可愛いのに・・私なんて。」と言うそれは強い強い思いが私を支配していった。

どんなことをしたら、垢抜けるのだろうか、どんなことをしたら可愛くなれるのだろうか、どんなことをしたら皆んなみたいに綺麗になれるんだろうか。と毎日の様に考え、努力できることは徹底的にし、「自分に足りないもの」を探しては、とにかく可愛い女の子になりたいと、日々研究と努力を重ねた。物凄いエネルギーを使って。

17歳から、ほぼずっと、卑下した自分、足りない自分を戒めるかの様に意識をしていた様に思う。意外にも周りの友人からは、「美加の様になりたいの」と言ってくれるのにも関わらず、その言葉は聞こえないかのように。

自分を、そのまま認められないと言うことは、とても苦しくて、辛い。深海から、空気を求めて一生懸命自分の身体で水上へ出るように泳ぎ、息継ぎをしてまた、深海の奥へ沈んでいくような、そんな感覚だ。

時に、生き絶える感覚を覚えた。

でも、また上に行くために、ありったけの自分の精神力だけで、自分で自分を押し上げた。

そんな、苦ししい生き方を、習慣のように今でもしてしまう。私は、もう自分を許してあげてもいいのに。

誰かに「貴女はそのままで良いのよ」と言ってもらえたら止むんだろうか。いや、きっと自分自身で心の底から思わないと駄目なんだろう。

「私は、そのままで良い」と。

遠い道のりがある。コンプレックスという魔物の呪縛から解放されるには。

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