私の“ほんとう”は何?どこ? 『blanc #1』中村明日美子
自分の心の中の“ほんとう”はどこいった???
目が覚めたようにそう気付かされた作品です。
『blanc #1』 中村明日美子
2006年から描かれた、『同級生』『卒業生』『空と原』(スピンオフ)『O.B.』の続編です。草壁光と佐条利人、2人の高校生の恋愛を描いた作品で、『blanc #1』『blanc #2』では高校を卒業し、東京と京都の遠距離恋愛になった2人の様子が描かれています。本作では遠距離恋愛になった2人に大きな試練が訪れます。
ネタバレになると思うのでお気をつけください。
発売してすぐに本作を読んだのですが、ちょうどその時期、私の人生の転機になるだろう事態が起こっていて、コロナ禍のストレスもあり、とてもナーバスになっていました。
愛情、友情、自分の素直な気持ちといった事が解決のキーワードだったのですが、、本作にそれらがばっちり描かれていました!
利人と友人の宮村さんの居酒屋でのシーン。
宮村さんのセリフが素晴らしいですよね。
好きってやさしくてあったかいよ
こわいことなんかいっこもあらへんよ
ありがとぉ
うれしいって
それだけやん
なあ?
何もバイアスのかかっていない、ピュアで素直な好きの気持ち。
このセリフの前には友人みんな佐条君の事が好きだよ、佐条君も彼氏の事好きでしょという内容のセリフがあります。
誰かを好きと思う自分の気持ちに素直でいい、そして誰かから好きと思ってもらえたら、素直にそれを受け取っていい。
利人が京都へ帰る新幹線の中でのシーン。
宮村さんと携帯のメッセージをやり取りしているのですが、ここでの画と吹き出しの使い方がなんと効果的なことか!
パソコンや携帯の扱い方って、映像や漫画ではなかなか難しいと思うのですが、本当に絶妙なバランスです!
このページを読むだけで泣いてしまいます。笑
そして、利人が光を想って返します。
うん
本当に
やさしい
本当に ほんとうに
宮沢賢治の、『銀河鉄道の夜』の中で、“ほんとうのさいわい”という言葉が出てきます。
ちょうど本作を読んだ頃、黒柳徹子さんがテレビのインタビューで、“ほんとうのことを伝えたいんです”と言っていました。
ほんとうの自分の気持ちは何なのか?
本当は自分はどう思っているのか?
自分の心に寄り添って、自分の素直な気持ちを聞いてみる、自分の心に優しくていいんだ!
色々な問題が重なって、圧力をかけられて、見えないように何層にも覆い被せられていた私の心に戻れた、本当の気持ちに気付けた瞬間でした。
『同級生』シリーズ、新連載が始まった、『ふたりぐらし』ぜひ読んでみてください!
シリーズ好きの方とも交流できたら嬉しいです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。