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9:夫と死別してから4年目の春に今想うこと

何かの宗教にはまったのではないかと心配をかけると思ったので、家族にも友達にも誰にもサンガの話をしたことはない。

ZENサンガは月額3,000円で、阿部さんや向禅師をはじめとする多くのナビゲーターが、「ただ一つの真実について語ったコンテンツを見放題!」というサロンで、私が入会した時には、既に4年経っていたためコンテンツのアーカイブはすぐには見きれないほど大量にあった。

リモートで働いていた私は、会議以外の時間、ラジオのようにいつもいつもサンガのアーカイブを聴きながら仕事をした。

その時の私の興味は黒斎さんの本でいうところの「この世の仕組み」を知ることだけだった。

娘に見せるEテレ以外にテレビを全く見なくなり、しっかり浮世離れしていった。

職場のひと周り下の社員と話している時に「ジャニーズSixTONESが好きなんです!」と言われてあれは「シックストーンズではなく、ストーンズ」と読むのだと知った。それを伝えると「え?やばくないですか?どんな歌聞くんですか?」聞かれ、直前まで白隠禅師の坐禅和讃を聞いていた私は、気の利いた答えが思い浮かばず、「うーん。最近和歌とか聞いてる。」と思わず答えてしまい、「え…みゆさんてママになる前は絶対パリピだったんだろうなー。と思ってたんですけど、別の意味でヤバイ人なんですね」と言われZoom越しにしっかり赤面した。
今でも、多くの友達が推しているK-POPのユニットが何人組なのかも分からない。

衆生本来仏なり 水と氷の如くにて 水を離れて氷なく 衆生の他に仏なし

来る日も来る日も「この世の仕組み」大袈裟に言ってしまうと「真理」についてのみ語られたアーカイブを見続けた。それ以外知りたいことはなかった。

そのような生活をして2年が経つと、自分の中の常識が覆っていることに気がついた。

一つの同じ生命を生きていること。
過去も未来も存在しないこと。
全てのものは実態がなく、状態であること。
自力でやってきたと思っていることも、全ては神様の手の中で複雑に、だけど一つの無駄もなく絡まった縁によってのみ起きているということ。

それは、本当だとか間違っているとか、そういうジャッジを必要とする類のものではなく、例えばこの国はかつて大きな戦争に敗けた。というような、見たことはないけれど疑いようもない真実だという認識に変わっていった。

何故だか、幾度も私が小学生だった頃に大きな事件を起こした宗教団体の信者たちのことを考えた。

真理について知ることのみが、自分を救ってくれると信じて教えを乞うたであろう彼らと私になんの違いもない。

時代が30年前だったら、私も同じような状況になっていたかもしれない。

ただ一つ、絡まった縁が違っただけだ。

そう思うと誰かに対するジャッジなんてとてもできない。私には何も分からない。そう思って誰に向けてでもない涙を流した。

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