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私の大晦日
2014年大晦日。
私は時間の止まったような国にいた。
キューバ最南端の町、
サンティアゴデクーバ近郊のビーチ。
数人の観光客と地元の物売り。
寝転がったら壊れてしまいそうなビーチチェア。
遠浅の海に浅黒い砂浜。
波打ち際を豚が歩いている、奇妙なビーチであった。
今日が大晦日だということを
忘れてしまうくらい
ゆったりとした時間が流れていた。
日本は真冬で、多くの人が足早に
どこか忙しなく、街を駆け抜けているだろう。
それが今までの私の大晦日。
透き通る海と真っ青な青空のもと、流れる時間には
そんな日本の日々を忘れてしまうくらいの威力があった。
地球の裏側で何をするわけでもなく
砂浜に寝転がり、ただ波打ち際の豚を眺めている自分が、なんだか可笑しくなった。
「そんな一年の締めくくりもあっていいのかもしれない」
そう思えた所で帰り支度だ。
チャーターしたタクシーに乗り込み
最後にとビーチを振り返った瞬間、
澄み渡る青空と南国の優しい風が
「またおいでよ」
と私に語りかけた。
忘れなれない大晦日の碧空である。
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