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Vo.2 「初オーダーはチャイおじさん」⁡



ビーズおばちゃんとお別れし
やってきたのはインド🇮🇳


インドでは
目に入る景色から、口にするもの
そして人との関わり合い
すべてがこれまでの価値観を壊してくるものばかり。
それはビーズに関しても同じだった。


首都デリーから
西の果ての砂漠の街、ジャイサルメールを
目指す寝台列車の中で
私はビーズを通していろいろな経験する。


寝台列車とはいえ、片道12時間以上の長旅。
起きてる時間もかなり長く
暇を持て余した私は、当時一緒に旅をしていた友人用にビーズアクセを作ることに。


するとそこにやってきたのは
チャイを片手に持ったインド人の中年おじさん。

「ハロー!君たちどこから来たの?」
(↑いきなり話しかけてくるインド人とても多い)

おじさんとの会話が始まる。

私たちが日本人であること。
この列車でジャイサルメールまで行くこと。
等の簡単な自己紹介が終わった後
手を動かし続ける私を見て

「いいもの作ってるじゃない!これ何?」

と会話を続けてくる。

「ビーズアクセサリーやで。友達に作ってるねん。」

「え!めっちゃ良いよ!
実は、妻にお土産を探してるんだ。
良かったら僕の妻用にも作ってほしい!!」

「わお!ほんまに?
もちろんいいよ!
どんな色がいいかな?」

「赤系かな。
あっ!でもあと30分で列車降りるから急ぎめでお願い!」
↑むちゃぶり😂インド人あるある?!


それでも
初めてのオーダーにテンションが上がった私は引き受けることに。

「わかった!めっちゃ頑張って仕上げるわ!」


私は一点集中、
結果20分ほどで
おじさんの奥さん用の指輪を完成させる。


「できたー!!これでどうかな?」

「完璧だよ!!ありがとう!
妻も絶対に喜ぶはず!
ところで、お代はいくら払えばいい?」


おじさんに聞かれるまで
私はお金のことをすっかり忘れていた。


「実は初めて、ビーズアクセを販売したねん。
まだまだ練習させてもらってる途中やから
良かったらチャイ奢ってよ!」


インドの寝台列車では
チャイ屋さんが
ポットに入れたチャイを売り歩いていて
大体一杯20〜30円で買える。
すごく手軽なので
食後やティータイムにみんなよく飲んでいた。


「そんなの容易い御用だよ!
むしろチャイでいいの?笑」

と笑いながら、おじさんは快く了承し
私の分だけでなく、私の友達にもチャイを買ってくれた。


その直後、おじさんが降りる駅に到着。

「もう行かないと!!素敵なプレゼントをありがとう☺️」

と足早に去っていった
嵐のようなチャイおじさん。


ひょんなきっかけから
はじめて自分で作った
ハンドメイド作品を買ってもらった。


時間制限があったから
オーダーから販売までがあっという間。

でも私がビーズを作ってる間
チャイおじさんは
ずっと私たちのコンパートメントにいて
一緒にたわいない会話をしたりして。


会話の内容は覚えてないくらいだけど
「意外と、この交流の時間が楽しい!」
ということに気付いたり。


全く知らないインド人からのむちゃぶり。
でも受けて良かった。
そう心から思えた。


そして買ってもらったチャイは
あのインドの旅で飲んだ、どのチャイよりも
一番美味しくて、忘れらない優しい味だった。

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