『チワワ・シンドローム』がしんどかった
大前粟生さんの『チワワ・シンドローム』を読んだ。
帯にも書かれている台詞、「傷ついた君たちは、弱さを利用してもいいんだよ」。
「弱さ」がテーマの物語だった。
これを読んでいる時、真っ先に思い浮かんだのが「不幸自慢か…」ということ。
この物語はSNSを中心に問題が起こっていくけど、弱いことが偉い、みたいな風潮は、多分SNSが台頭してくる前からあったんだと思う。
言われたことあるでしょう、「あの子、実はあんなに苦労してたんだって。あんたは恵まれてるんだから、もっと頑張りなよ」みたいな言葉。恵まれてたらできて当然、みたいなプレッシャー。
「恵まれている」という言葉が、まるで自分の頑張りを否定するようにへばりついてくる感じ。
恵まれている人が達成したことと、恵まれていない人が達成したことは、たとえ同じことでも多分後者の方がすごいね!と言われる。
恵まれていると文句言っちゃいけない風潮もある。家庭内暴力とか起きてないのに父親と仲が悪いと仲良くしなくちゃだめだよ、と言われるとか。だから、自分が絶望的な状況にいないのならそのことについて文句は言ってはいけないような空気がある。逆に、自分が恵まれていないことは、恥じずに文句を言ってしまえる。
だから、弱みを見せることはカッコ悪いことじゃなくて、見せて利用していくものかもしれない。弱いことは同情されて話を聞いてもらうための武器にだってなり得てしまう。
誰でも自分の恵まれている部分には気づかない。気付いている人はすごいと思う。(よっぽどお金持ちとかだったら気づいている人多いけれど)
なぜ私がこれを読んでしんどかったのかというと、私も利用してんだよな、と思ったからだ。
同情してもらうために、すごいねと言ってもらえるために、そして心を開いてくれたと思わせるために、自分の弱いところだけ見せているところがある。
鋭すぎて痛い。痛すぎる…。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?