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古い手紙の向こうにいた小学生たち

数日前に断捨離をしていたとき、クローゼットの奥底からたくさんの手紙が入った袋を見つけました。

なんの手紙だろうと中を見てみて驚きました。なんと小学3年生で転校した直後に、元の学校のクラスメイトたちがくれた手紙だったのです。

「そんなものまだ持っていたのか」なんて声も聞こえてきそうですが、私としてはまるで宝物を発掘したかのような高揚感がありました。こういうの見つけちゃうと、一気に断捨離が進まなくなりますよね。笑

かわいらしい便箋やメモ帳の子がいたり、学校の先生にもらったであろう紙で書いた子がいたり、もう読む前から面白いのですが、中を見るとやっぱり面白いわけです。

「minちゃん、元気ですか。友だちはできましたか」

わ〜かわいいなあ。転校した友達への手紙のテンプレって感じがするなあ。

「minちゃんへ。さみしいけど、またぜったいあそびにきてね」

かわいいなあ。もし今本当に遊びに行ったらどうなるのかなあ……なんて。

「minさんお元気ですか。ぼくは今日いのこりをして算すうのプリントをがんばってしました。▲▲より」

そ、そっか……大変だったんだね……お疲れ様でした。笑

「minさんのいいところは、がんばり屋さんなところですね。転校したらまずは、学校の名前と教室の場所をおぼえるところからはじめよう!」

……一瞬先生からの手紙かと思ったら、同級生からでした。

「minが〇〇くんのこと好きなの、ばらすからね」

本人が転校した瞬間、秘密をばらそうとするこの口の軽さ。「口が軽い小学生選手権」がもしあったら、優勝していたのでは。

「お元気ですか。△△さんは××くんのことが好きらしいです」

違ったわ。口軽小学生選手権のチャンピオンがここにいました。

「minさんおげんきですか。よかったら、この絵を切ってあそんでね(手描きの絵)」

書くことなかったんだろうね。笑 ありがとう、気持ちだけもらっとくね。

こんな個性いっぱいの手紙の数々に一人でニヤニヤしてしていたのですが、その中でも一際印象に残る手紙がありました。

その手紙をくれた男の子のことは、よく覚えています。スピリチュアルな感覚を持っていたようで、周りの子たちとは一線を画す不思議なオーラを放っていました。掃除の時間、突然彼に「minさんの後ろに2人見える」と言われた衝撃は今も忘れられません。

「いやなことがあったら自分の心をお父さんお母さんに話すときっと心強いみかたになってくれるよ。うまく友だちがつくれなかったら、ぼくたちと友だちになったときのことをおもいだすといいよ」

この子も、そしてこの子の親御さんも、優しい人だったんだろうな。ありきたりな言葉ではなく、彼なりに私の境遇を想像して、励まそうとしてくれる純粋な子ども心に癒されました。

みんな今頃どうしているだろう。あれから数えきれないほど時間が経って、中には思い出せない子もいるし、逆に私のことを忘れてしまった人もたくさんいると思う。だけど小学生のあの頃は、確かに友だちだったんだよね。

そう考えると、そんな彼らと私をつなぐこの古い手紙のことが、いっそう不思議な存在に思えてきます。

とっておいても仕方がないんだけど、この手紙のことはできるだけ忘れたくないなあ。そう思って、こうして残すことにしました。手紙の向こうにいたみんな、それぞれどこかで元気に暮らしているといいな。

最後まで読んでいただきありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。いただきましたサポートは、自己研鑽やライター活動費として使用させていただきます。