⑤ 彼が私にくれた物

彼と二人で会うようになって、何度目かの時、彼が無言でくれた物がある。

ブランド物のヒョウ柄のタイトスカートだった。
それも、いつの物?って感じの古着。明らかにUSEDだった。
袋とかもなかった。

「ちょっと着てみてくださいよ」

まじまじとそのスカートを見たけど、明らかに私のサイズではない。子供用か?と思うほど小さい。
しかもすごいミニ丈。

彼はニコニコして、私がそれを着るのを心待ちにしている。
そんな感じがした。

小さすぎて絶対無理そうだなと思いながら、はいてみた。
何とか着れた。
でも、ふぅっと息を吐いて一時的にお腹を引っ込めた隙に履けばいいとか、そういうレベルじゃなかった。
もう骨格からしてサイズが合ってなかった。

私は当時は痩せている方だったと思う。
ガリガリではないけど贅肉はほぼなかった。

骨盤が邪魔して入らない・・・

とりあえず、ボタンは留まったから、彼に見せた。
彼はとても満足そうだった。
「なかなか似合うじゃないですか」

私は似合ってないと思った。
でも、彼が何か物をくれたのは初めてだから、めちゃくちゃに喜んでみせた。
ありがとう!これかわいいね、ありがとう!

もちろん、本心から嬉しかったけど、
一体これどこで買ったの?
いつ買ったの?
私のために買ったと言うより、前から持ってたコレクションの中から持ってきたみたいだ・・・と思って、モヤモヤした。

その後も、不思議なプレゼントは時々あった。

必ずブランド物。そしてUSED。

際どい服が多かった。
下着ではないキャミソールや、ミニスカート、水着。
バブル期の代名詞みたいなブランドの物を。

彼は年代的に、いちばん元気な時にバブル期を謳歌した人なんだと思う。
実際に本人が「わたしも六本木でブイブイいわした時代もありましたよ」と言っていた笑

今思ったけど、昔付き合って本当に好きだった女性が好きだったブランドなんじゃないか。
今気づいた。
彼は、その女性の事が忘れられてなかったんじゃないか。
いま思いついて、納得した。
私を好みのタイプ(昔の彼女か、片思いの女性か知らんけど)に寄せたいという事だったのか。

まあいいけど、とにかく、明らかに普段着にはならないようなビジュアル系のブランド物を時々くれた。
何年かしたら、結構な量になった。

別れようと決意した時、全部ゴミ袋に入れて捨てた。

・・・全部捨てたというのは嘘だ。
付き合い後半は、かなり私の好みに寄せた物をくれるようになったから。
彼もだんだん私の好みを把握して、私の気を引くような、でも自分も好きな物をくれるようになったから。
どうしても捨てられない物は今もある。

意外といい彼氏だったんじゃん、って思うかもしれないけど。

私を喜ばせた直後に地獄に落とす、みたいなことを平気でする人だった。

彼がしていたのはモラハラとは違うかもしれない。
なんと言ったらいいのか。
彼はただ自分勝手で自分の欲求にのみ忠実な、自分大好きで自分以外の人はどうでもいいと思っている人。
他人の機嫌を伺うことはしない。
来るもの選んで拒むけど去るもの追わず、ってやつか。

今回はとりあえずこのへんで。
それでは。

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