「ムリなくできる親の介護」を読んで「おお!」部分をピックアップ
私は介護関係の仕事をしています。(現在は育休中ですが)
あまり時間はない日々ですが、たまにスキマ時間をスキルアップと称して高齢者福祉関係の本を読んで勉強しています。
そんな中、最近読んだのは「ムリなくできる親の介護」です。
これは実際に祖母(認知症)と父親(脳梗塞)の介護経験を持つ工藤さんがの経験をもとに書いてあります。父親の介護の時は介護費用等にも苦戦したそうで、理想で語るようなものじゃなく、リアルな情報がガッツリ載っているので、とても参考にできると思います。
基本的なことは職業上知っているので、その中でも私が「おお!これはいい情報をゲットした」と感じたものをサクサクメモ書きしてみます。
在宅介護費用の目安を知っておこう
介護にお金がかかるとは聞くものの、どれくらいかかるかなんてあまり想像つかないですよね。
そんな費用の統計を出してくれている研究所があるそうです。
ここによると、ひと月平均69,000円だそうです。
介護度の軽い人たちはここまでかからないと思いますが、介護度がそれなりに重くなってくるとひと月の負担も増えてきます。
介護保険サービスや医療費は所得によって支払いの頭打ちがありますが、おむつ代や食事などそれ以外の部分で出費がかさんでくるのかもしれません。
そして介護期間の平均は4年11ヶ月となると、単純計算で400万円を超えます。おお…。
介護期間なんてそれこそ人それぞれなので、もっとかかる場合もあるかもしれません。
年を取って国民年金だけだと介護にまつわる費用だけで飛んでいきそうです。
貯金などを崩さないと生活していけませんね。
介護になる前に親の財産をチェックしよう
そして大切になってくる、親のお金。
親のお金を知らずして介護のことなんか考えられません。
しかし、介護はじわじわやって来るのではありません。ある日突然です。
介護が始まると、それを支援する人の日常も少なからず変わっていきます。
あれよあれよという間に介護保険のサービスが決まり、毎月の支払いが始まる…。
そんなドタバタのときに親の財産確認している余裕があればいいのですが、そんなときの為に早めに確認しておくことを本書ではおすすめしてます。
中には「まだ介護になるつもりはないから」と言って教えてもらえなかったりする場合は、親にどんなところ(銀行、証券会社など)からダイレクトメールが来ているかさらっとチェックしておくと良いそうです。
MCI検査を勧めてみよう
MCIとは、認知症になる一歩手前の状態のことを指します。
この手前の段階で認知症の予防をすると、認知症へ移行するのを遅らせたりすることができるのだそうです。
そのチェック方法として一番は病院へ行き、MCIスクリーニング検査や物忘れドックをしてもらう方法です。血液検査で4段階評価してもらえるそうです。
しかし、なかなか病院へ行きたがらない人もいます。そういう人には
という、電話でチェックできるサービスがあるんだそうです。
電話で10分。結果はレポートとして郵送してもらえるそうです。
病院へ行くとなると大ごとに感じてしまいがちな人も、電話なら気軽に試してくれるかもしれないですね。
認知症介護疲労度チェック「Zarit 」
これは介護者向けのチェックシートです。
認知症の高齢者を介護するのは相当ストレスがたまるということで、そのストレスを数値として出せるんだそうです。
チェックシートはGoogleで検索すれば画像が出てくるのですが、ウェブページはなかなかわかりやすくまとめているところがないようです。
本書では介護がどう辛いのか、どんな思いが自分を苦しめているのか、隠れている自分の思いを見つけることができます。
漠然とストレスを抱えるのではなく、自分の負担を客観視し、その数値を低くしていくことで負担の少ない介護に近づけていけるといいですよね。
介護家族は認知症の治療、薬を過信してはいけない
医療を信じるなっていうわけではないですが、認知症の治療薬は調整がとても難しいらしいです。
「薬をもらった、これでオッケー」となるのではなく、薬を飲む前と飲んだ後の本人の状態をしっかり見ている必要があるということです。
薬を飲んで熱が下がる、咳が出なくなるというのであれば自分で気づけますが、薬を飲んで物忘れが減ったというのはちょっと本人では気づけないですもんね。
そのためにも介護者が違いを確認して医師に伝えられるのがいいのかな、と思います。
後見もいいけど家族信託も
親の介護が重くなってしまうと、本人を銀行へ連れて行くことが難しくなったりします。
そうなると家族や代理の専門家が銀行の手続きを代わりにやりたいのですが、そこで必要になってくるのが成年後見制度。
しかし、申立から実際に利用できるまでにひと月ほどはかかってしまいます。
後見人を専門家に頼むと報酬も発生して新たな出費もあります。
そんな中で他の選択肢として家族信託というものがあります。
家族信託は受託者が本人の代わりに財産を管理できるというものです。
本人に判断力があり、特に身内でトラブルのないところなら、この方法を利用するのも良いかもしれませんね。
もの盗られ妄想で使えるツールと工夫
認知症で周りも困ってしまう周辺症状にもの盗られ妄想があります。
しかも疑われる人はよく世話をしている嫁さんだったりすることが多いから厄介ですね。(私も義両親から疑われるときが来るのだろうか…)
疑わわれるのはともかくとして、日常の中で大切な財布や通帳、鍵などをそう毎度毎度紛失されるのは厄介です。
そんな失くしものを見つけてくれるツールがこれです↓
家の中で見つからないものをスマホで見つけることができます。
あと、ハサミや老眼鏡など、比較的安価で替えのきくものはまとめ買いをしてそこら中においておけばどれかは見つかる、という工夫もされていたようでした。
赤ちゃんを育児中の知り合いが、「夜はベビーベッドの中に数個バラまいておけば、夜中起きたときに手を伸ばせばどれかは掴めるから自分で安心できるようになる」といったのをぼんやり思い出してしまいました。
介護休業給付金とは
これ、なかなか普及してない制度ですね。
福祉系の職場にいますが、使っている人を見たことがありません。
結構仕事をしている時に「家族は仕事で行けないから、本人だけでやってください」と言われ、やるも話が正しく家族に伝わっておらず混乱が生まれる時もあります。
介護サービス導入時なんかはこういう制度を使って家族も介護に関わる準備を落ち着いてできるといいですよね。
この介護休業給付金は月額賃金の67%が支払われます。この手続きは事業主がやることと決まっています。
固定電話の4つのメリット
固定電話は携帯電話の普及で数を減らしていますが、意外なメリットがありました。
1. 非通知、フリーダイヤル、0080で電話してきた人は着信を受けない設定ができる。
履歴は残るので、後で確認して精査できます。詐欺対策にもなりますね。
2. 自動録音機能
認知症の影響でかかってきた電話内容を覚えていられないということもあります。
自分からかけた電話、かかってきた電話を全て録音しておく機能です。
3. 見守りモーニングコール
機械音ですが、電話がかかってきてそれに出ると今日の日付なんかをアナウンスしてくれるそうです。
電話に出ない場合は登録してある家族に連絡が行くので朝一の安否確認ができます。
4. 緊急呼び出し機能
固定電話と連携しているボタンを家の各所の設置できます。家版ナースコールみたいなボタンです。
ボタンを押すとその家の固定電話が鳴り、家族の対応がない場合は登録してある番号へ連絡が行きます。
介護ロボットやスマートリモコンを活用しよう
介護ロボットを利用すると34%の人が活動的になったという統計があるそうです。
PALROやBOCCOといった種類があり、どれも愛らしいですね。
スマートリモコンもおすすめです。
これは最近我が家でも導入したのですが、スマホで家の照明やテレビの電源、エアコンの電源まで入れることができます。
室温もチェックできるので、離れて住む親の家の室温をチェックし、気温に疎くなってきた親の代わりに熱中症を予防することができます。
インターホンの画面をスマホで見られるものもあり、対応までできるものもあるそうです。
本人のできることは本人にさせてあげたいですが、詐欺に狙われないように対策を取れるのもいいですね。
こんなところが本書を読んで「おお!」っと思ったところでした。
著者は東京に住んでいるそうで、社会資源が地域によって違うなぁ…やっぱり都会は充実してるなぁ…と思うところはありますが、とても参考になりました。
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