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「お疲れ様」は本当に悪い言霊か
「お疲れ様」という言葉について初めて考えたのは5年前。
きっかけは仕事を辞めてオーストラリアに渡ってから2週間も経たないうちに出会った日本人だった。
いわゆる意識高い系というのかな。
日本に帰ったら自分のお店を持つために英語も仕事も一生懸命な青年で、自分にも他人にも厳しい人だった。
「自分は疲れていない。『お疲れ様』と言って疲れてると決めつけないでほしい」
そう言われて、それもそうかと思った。
相手は仕事が楽しくて楽しくてしょうがなくて少しも疲れていないかもしれないし、休日でのんびりしているかもしれない。
決めつけたら失礼だし、何も考えずに「こんにちは」の代わりに使っていたら、”言霊” が「疲れ」を呼んでしまうかもしれないな。
これが最初だったけれど、その数ヶ月後にはファーム(農園)で台湾人、香港人、韓国人たちと過ごし、仕事が終わると重たいトロリーを片付けながら、面白がって
「オツカレ~」「シンクーラ」「スゴヘッソ~」
と、お互いに相手の国の言葉を使って声を掛け合っていた。
振り返ってみても、そこには楽しくお互いを励まし合うエネルギーしか流れていなかったように感じる。
その後しばらくは日本人とは仕事でしか関わらなかったから、普段の挨拶として「お疲れ様」を使ったり、それについて考えることもない日々を過ごした。
○
月日は流れて、日本でヨガをするようになってから。
ヨガに限らずスピリチュアリティを大切にしている人たちに囲まれ、
「『つかれる』→『憑かれる』に繋がって、悪いものに憑かれてしまう」
という考え方にも出逢い、改めて発する ”言霊” も意識して、「お疲れ様」と言われたくない人もいるだろうから自分からは使わないようにしていた。
けれど、「お疲れ様」の代わりになるちょうどいい言葉を見つけられずにいた。
あるとき、とても素敵な方で、「お疲れ様 ≒ ご苦労様」に音が似ているところから来ているのか、「極楽様」を使う方に出逢った。
どんなことがあっても、今日も極楽だったな。そんな氣持ちになれる、素敵な挨拶だね。
その後たまたま、「お元氣さま」を使う人もいると聞いた。
「疲れ」の言霊を飛ばす代わりに、反対の「元氣」を使うということかな。パワフルだね。
どちらを使う人たちも工夫をしていて素敵だと思うけれど、自分で使うにはどうもしっくり来なかった。
とりあえず、相手の名前を呼んで枕にしてみたり、「こんにちは~」と言ってみたりして凌いでいた。
今でも「こんにちは」は使うけれど、友達に使うにはなんとなくかしこまった感じもしちゃうよね。
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そんな「お疲れ様」について、最近改めて考えてみた。
まず、「極楽様」「お元氣様」への違和感はどこか来ているのかというと、「音」だった。
私は多分、「音」に人よりも少しだけ敏感。
「ゴ」や「ゲ」の音からは、とても強い印象を受ける。
そして「ゴクラク」にも「ゲンキ」にもたくさん入っている「か行」の音もカクカクした印象。
リラックスに向かう一日の終わりの挨拶にしては固くて強すぎるように感じるんだ。
一方で、「おつかれ」という「音」は柔らかくて丸い感じがする。
仕事や何かをやり終えた人には「おつかれさま」ってねぎらいの言葉をかけてあげたら、やっぱり心温まるように感じるけどなぁ。
何か他に、柔らかくていい感じの言葉、ないかな?と探っていたら、私も好きでたまに拝見している、ひすいこたろうさんの動画の中でヒントになるものを見つけた。
驚いたことに、言霊について考察がされた多くのページでは「お疲れ様」が悪者だった中で、ひすいさんの動画では「あなたをもっと幸せにするとっておきの言霊3選」の一つとして、「お疲れ様」が紹介されていた。
その中で、「つ」の言霊が幸せを呼んでくれると。
「ついてる」という、運がいいという意味の言葉も「つ」の言霊。良いものを集めてくれる。
・・・あ!そうか。
「憑かれる」って言葉に勝手に「悪霊」を想像していたけれど、本来これはニュートラルな言葉だ。
「悪霊」につかれるのか、「幸運」につかれるのか、「神様」につかれるのか、考えよう次第。
「幸運がつきますように」って気持ちで「おつかれさま」って声をかけてあげるのって、とても温かな祈りの込もった挨拶じゃない?
それに、「おつかれさま」と相手を思いやりねぎらう言葉をかける文化って、日本人の本来の柔らかさ、温かさから生まれたように感じる。
頑張り屋さんの多い日本人だから、一生懸命働く相手に「がんばったね、疲れたよね、ゆっくり休んでね」って共感する心が表れてる。
そして、「疲れ」って一見ネガティブなものを、「お」と「様」で挟んじゃうんだもん。
「今日も一日お疲れ様」って今日の「疲れ」を呼んであげたら、そのまま神様になって、ふわふわ~ってお空に飛んでいきそう。
○
私自身が感じていた感覚に加えて、信頼できる方からのヒントに納得してからは、「おつかれさま」を場面に応じて積極的に使うようになった。
それは相手がその日お仕事をしていた(る)ことを知っている場合と、特に文字でのやり取りの場合に相手から「お疲れ様」と挨拶をくれたとき。
ふわりと温かくねぎらう氣持ちで、「おつけれさま」の言葉を送る。
あ、余談だけど、私は文字ならひらがなで「おつかれさま」と打っているよ。
耳に入る "音" は軽いけれど、視覚には「疲」の病垂つきの漢字と「様」の画数の多い漢字が重く感じるから。
ま、自己満足よ。ふふ。こっちの方がしっくりくるの。
あ〜、たくさん考えたね。
ここまで、長い文章を読んでくれてありがとう。おつかれさま。
あなたはどう感じるのかな。
あとはもう、その都度考えずに、軽~くいこうね。
ॐ शान्तिः