映画ビジネスとマーケティング- フレームワークの重要性について考えてみる
先日noteのイベントにも登壇されていた元P&Gの大倉佳晃さんのまるでビジネス書のような大作のnoteをようやくじっくり読み終わりました。
パンテーンをV字回復させたキャンペーンの立案をCase Studyにしつつ、どのように商品のマーケティングのいろはを考えて行くかのフレームワークがいくつも提示されています。
私の働いている映画業界では、作品が商品であるので、ひとつの商品の宣伝がいくつかの段階に分かれています。
まずは、映画館での公開時、デジタル配信やDVDなど家庭での視聴時、地上波TVやWOWOWなどの有料放送での視聴時。その段階段階でマーケティングの担当が変わるので、ひとつのコンテンツを最初から最後まで長いライフスパンで見るということが出来ないところが、一般のブランドの商品を売るということと大きく違うところかなと思っています。
そのような違いはあれど、大倉さんが書かれている内容は私の業界にも当てはまるとこはあるので、非常に参考になりました。
例えば
カテゴリーの中で競合と売上のシェアの取り合いをするのではなく、「カテゴリーの市場規模そのもののパイを大きくするためのアプローチを考える」ということです。
この論点については、マッキンゼーなど世界中の色々な会社が、あらゆる業界でメタ分析をしており、売上を伸ばした会社の、売り上げ伸び率の64%は市場を拡大したことによる、というものがあります。ちなみに、残りのほとんどはM&Aで、意外なことに市場シェアだけを伸ばしたことで売上がさらに伸びたという事例はほとんどないようです。
自社の置かれた立ち位置を他社比較をしてマーケット内でのシェアを見るということをよくマネージメント陣がやっているのを目にしていましたが、市場自体を拡大することによって、ただの価格戦争にも陥らないということになるのかなと思います。
ハーバード・ビジネス・スクールのマイケル・E・ポーターのは自身のフレームワーク5 Forces Analysisについてその産業の中で分析するということを提唱していて、その考え方を否定される論文もたくさん出ていますが、大倉さんが書かれている、ポテンシャルがあるところを開拓することで、マーケットが大きくなるということ、また、大きくするためには他社が見つけていない、もしくは手をつけていないホワイトスペースを見つけて新しい商品、もしくはアプローチを変えてコミュニケーションをしていくということで、大きく変わっていくということなのかなと思いました。
5 Forces Analysisについては、SalesforceさんのHP詳しく書かれていましたので、こちらをご参考までに↓
私の課題も、どうやって新しい映画を観てもらうようにするか、また、そもそものところでは、デジタル配信を使ったことがない層にどうしたら使ってもらえるようにするか。そのはじめの一歩を踏み出させるドライバーは何か?
大倉さんのnoteの文章は、ご本人も書かれていましたが、スルメのようになんども読みたくなるようなテキストブックのような記事です。
非常に貴重な内容なので、もしまだ読んでいらっしゃらない方がいましたらお薦めです。
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