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サッカーW杯最終予選、アウェイ戦放送はDAZNのみ、について配信と地上波のコンテンツ購入力を考察する

数日前に、サッカーW杯最終予選のアウェイ戦がDAZNのみで地上波の放送がない、と報道されました。

地上波の視聴率が伸び悩み、また若年層が地上波から離れていることから、地上波キー局がスポンサーからの広告費を集めるのに苦労し始めていることがコンテンツ購入をあきらめた裏にあると思います。

また、コロナの影響で大手企業の広告費の削減というのもスポンサーが地上波広告を減らしてしまった要因です。

これは電通による調査ですが、インターネット(デジタル)広告費がテレビメディア広告費を上回る傾向はますます加速しています。

1. テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連) 1兆6,559億円(前年比89.0%)
◇地上波テレビ 1兆5,386億円(同88.7%)
・新型コロナ拡大に伴う広告費削減などの影響により、地上波テレビ広告費は1兆5,386億円(前年比88.7%)となった。
・番組(タイム)広告費は、「東京2020オリンピック・パラリンピック」「FIFAワールドカップカタール2022・アジア二次予選」などの開催延期、プロ野球開幕延期、プロゴルフトーナメント中止・無観客での開催など、大型スポーツイベントの延期・中止と、広告主の業績不調による固定費削減の影響もあり出稿減となった。地域別では、通年で基幹8地区すべてが前年を下回った。 
・スポット広告費は微減からのスタートとなったが、4-6月期は、緊急事態宣言の影響もあり「官公庁・団体」を除くほぼすべての業種で大幅減。7-9月期も回復の兆しが見えつつも低調。10-12月期は経済活動の再開傾向が見られ「情報・通信」「自動車・関連品」が増加した。地域別では、通年で基幹8地区すべてが前年を下回った。 
2. インターネット広告媒体費 1兆7,567億円(前年比105.6%)
・新型コロナによる消費の低迷および広告出稿減少の影響を受けたが、他メディアよりも早く回復基調となり、前年比105.6%となった。
・インターネット広告媒体費のうち運用型広告費は1兆4,558億円(同109.7%)。巣ごもり需要によってSNSやEC、動画配信サービスへの接触機会も増え、大手プラットフォーマーを中心とした運用型広告の需要が高まった。また、マスコミ四媒体由来のデジタル広告における運用型広告の活用がさらに進んだ。
(Source: 電通, 2021)

DAZNはサブスクリプションモデルなので、広告費に頼るビジネスモデルとは異なりますが、契約者が増えれば増えるほど、コンテンツの購入力は高まるので、現段階では先行投資的な部分も多分にあると思いますが、契約者獲得のためにかなりの権利料を支払ってアウェイ戦は完全に独占という条件にしたのだと推測されます。

この動きは、乱立するデジタルプラットフォームの中でも加速しており、いわば「コンテンツ戦争」が起きているのが現状です。

例えば、最近であれば『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が独占先行の形でAmazon Primeで配信が始まっています。

菅田将暉×有村香純主演『花束みたいな恋をした』がU-NEXTによる独占先行配信だったのも記憶に新しいところです。

映画の場合、最近はデジタル配信の独占先行という形が増えてきていますが、従来はWOWOWやスター・チャンネル等、有料放送が映画館での上映が終わった後、まず第一のウィンドウ(業界用語になると思いますが、期間を分けて、コンテンツを媒体に売り分けるので、それの期間を「ウィンドウ」と呼んでいます)としていましたが、ここ数年でデジタル配信をファースト・ウィンドウにするケースが多くなってきています。また、それが、どこかひとつの配信会社の「独占」という形も加速しています。

視聴者の目線で考えると、このコンテンツを見るために、配信会社Aと契約、今度は別のコンテンツを見るために配信会社Bと契約、という形で非常に面倒な作業を踏む必要があるのは、頭が痛いところなんじゃないかなと思います。

少し話が戻りますが、コロナによってユーザーの視聴スタイルに変化があったことがインプレスホールディングスのリサーチ結果でも出ておりますので、最後にご参考までに。

視聴されている配信プラットフォームのランキング結果は下記のとおりです。

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文字が小さいので、こちらより必要な方は下記よりご覧ください。

Reference: インプレスホールディングス(2021)


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