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東京都現代美術館の『いまーかつて 複数のパースペクティブ』が面白い

話題の『オラファー・エリアソン ときに川は橋となる』をみたくて、東京都現代美術館へ行ってきました。まず驚いたのは、このコロナ禍の何もない平日にこんなに大勢の人が来ている、ということ。(私も含めてだが…)。私はこれまでアート鑑賞をそこまでしていなかったので知らないだけなのか。旅行者もいないのに。今回の企画展が人気なのか、いつも賑わっているのかわからないが、とにかく多くの老若男女が集まっていました。

目的の企画展『オラファー・エリアソン』。レジ袋有料化から『サステナブル』という言葉が一気に使われるようになり、環境配慮への意識が一般市民にも一層広がりつつある現在、オラファー・エリアソンはまさに、アートを通じて自然、環境についてのメッセージを表現し、サステナブルな世界への実現を目指しているアーティスト。最初のごあいさつの文章がとても印象的です。

『私たちはこれまでずっと過去をベースにして現在を構築してきましたが、今こそ、未来が求めるものにしたがって現在を形づくらなくてはならないのです』

そしてそれをとことん追求し、今回の企画展の輸送までもサステナブルな方法でできないのかと模索。空路ではなく陸路や海路を使い、できるだけ二酸化炭素の排出量を減らしてベルリンから日本へ運び込んできたそう。その過程を記録したものが一つのアートになっています。

実は、大勢の方のインスタで事前にみていて、いわゆるインスタ映えの展示にはもう見慣れてしまい、私の中での新鮮さが薄れてしまったことはとても残念。この企画展を観にきたものの、実は他の企画が面白かったのでそれをまとめます。

MOTコレクションいまーかつて 複数のパースペクティブ

これは、東京都現代美術館が改修工事をしている期間中に集められた戦前、戦中、そして現代の作品をアーティストごとに展示。戦時中の生々しい様子、アーティストたちや当時の人々の感情をアートを通じて感じたり、それぞれのアーティストがその経験を経た上で現代の私たちに伝えたいこと、想いなどを感じながら鑑賞できます。

戦時中の様子がわかるアートは胸が締め付けられるように苦しい。収監中に描かれているスケッチの数々は、一見、まるでダンスをしているかのように軽やかで美しいのに、きっとそれはこの一枚の紙の中でしか表現できなかったのだろう、と思うと、悲しさが同時にこみ上げてくる。

抽象画、人物画、スケッチ、版画、写真、など表現方法は様々だが、戦争や市民の日常、一人の人間の感情に寄り添った作品の数々は、これまでの歴史を辿るタイムスリップをするかのような時間が流れます。

撮影ができなかったので、好きだと思ったアーティストのメモ。

1. オノサト・トシノブ(抽象画)

2. 末松正樹(スケッチ)

3. 秀島由己男(銅版画)

4. オノ・ヨーコ(ワード・ピース)

唯一撮影できた、こちらの作品。ジョンレノンは、このIMAGINEというワードピースを観て、あの名作『IMAGINE』を発表したとのこと。ここではいくつかのワードが展示されていましたが、今の私に響いたのはこれ。


そして、もう一つの企画展。

『おさなごころを、きみに』

この中でユニークだったのは『のらもじ』。

ネーミングも面白いし、プロジェクトの考え方も面白い。昔の看板に使われていたフォント名もない手書きの文字をデジタルフォントとして残すというもの。手書きならではの愛おしさ、懐かしさ、人間味がなんとも言えない。

というわけで、自分の予想と異なる発見の多いアート鑑賞になりました。アートを観るときはあまり事前情報を入れすぎない方がいいのかな、なんて思いながらこれを書いている私。きっと、鑑賞した後にみんながどんな風に感じたのかをチェックするのが楽しいのかもしれませんね。

同じように思った人がいたら嬉しいな。

それを願って、自分用のメモとして、誰かと共感できるメモとして残しておきます。


ではまた。






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