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ものづくりに込める想い。アイラヴミー × ANIMAL HACK 対談

 


ものを作るということ。
私にとってこの世で1番すごいなぁと思うこと。

私たちが普段何気なく使ってるスマホ、座ってる椅子、着てる洋服、電気、
言ってるときりがないのだけど。

とにかく今までたくさんの発明家がいろんなすごいものを生み出してきてくださった。
そして進化は続く。


その中に「おんがく」もある。

今日はワクワクする対談をあなたに読んでもらいたい。

これは「ものづくり」に焦点を当てた対談だ。

どうして作ろうと思ったのか。
どんな気持ちで作ったのか。
なにをこだわっているのか。


この間の、6月16日に「負け犬戦士 - ANIMAL HACK Remix」をリリースした。

私がやっているバンド「アイラヴミー」の「負け犬戦士」という楽曲を
「ANIMAL HACK」というクリエイティブなプロデューサーデュオがリミックスしてくれた。

新しく全く別物の曲を作るように。
生まれ変わった。
その制作の途中をあなたにも読んでもらいたい。

きっともっとこの曲が好きになっちゃうと思う。

ちなみに私は、この対談の日
緊張で震えまくっていた。

これはまったくの偏見なんだけど
クリエイティブな人ってクールで怖いイメージだったからだ。

とにかく私って尊敬してる人に対して
「好き」って気持ちと同じくらい「恐怖」を感じちゃうのよね

でもこのふたり、すっごくやさしかった。
やさしいんだけど、心の真ん中に絶対に譲れないものがある。そんな心を感じた対談。

ものづくりへの私たちの想いだ。


<アイラヴミー、ANIMAL HACK対談インタビュー>


——実は初対面となるんですよね? まずアイラヴミーというバンドの印象に関して伺っていいですか?
 
MASAtO(ANIMAL HACK):コンセプトがしっかりしていて、“負け犬”とか“弱い”とか、“そのままでいいんだよ”っていう肯定がありながら、でも、サウンドは今っぽい。洋楽的なトラックで構成して作っているなって思って。そんな掛け合わせ方がユニークな魅力を持つアーティストだなと思いました。
 
YUtA(ANIMAL HACK):僕も、歌詞やメロなどの歌がちゃんと日本人に届くなって思いましたね。サウンドに関しても、僕らも洋楽はすごく好きなんですけど、洋楽好きもハマるようなテイストになっているところが印象深かったです。どんどん聴いていくと、寄り添ってくれる歌詞だなって発見があったり、深みにハマっていけるんですよ。
 
さとうみほの(アイラヴミー ):わあ、嬉しいです、ありがとうございます。

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MASAtO:みほのさんはアイラヴミーをやる前から音楽をやっていたんですか?
 
みほの:やっていました。高校生の時に軽音楽部でチャットモンチーやELLEGARDENなんかのコピーバンドをやっていて。オリジナルもその時にやっていたんですけど、その後一人で弾き語りをやった後、今のアイラヴミーのスタイルになりました。
 
——学生時代悩んでいたことが音楽をやり始めたことで解消されたんでしょ?
 
みほの:そう、中学の頃、なかなかクラスに馴染めなくて、そんな時にELLEGARDENを初めて聴いて、なんだこれはって衝撃を受けてそこから音楽をやるようになりました。
 
YUtA:僕らも似てるかも知れないですね。ANIMAL HACKの2人は同じ高校で、クラスは違ったんですけど、お互いクラスに馴染めなくて休み時間に音楽の話をしてましたから。
 
MASAtO:“あの洋楽の新譜聴いた?”みたいな話をしていました。共有できる人が他にあまりなくて。
 
みほの:学生時代のクラスって狭い世界なんだけど、それがすべての世界だから、なかなか音楽が好きな人と出会えなかったりするんですよ。なので、ANIMAL HACKの2人とおんなじ境遇だったというのは嬉しいですね。

——今回、ANIMAL HACKがアイラヴミーの大事な楽曲「負け犬戦士」をリミックスしてくれましたが、みほのさんは完成した作品を聴いてみてどんな感想でしたか?
 
みほの:まず、サウンドを聴いてびっくりしました。言葉が弾き語りの曲を聴いている感覚に近いというか、距離感の近さをすごく感じてグっときて。コロナ禍が続いているなか2021年がはじまって、「負け犬戦士」を聴いて新しい朝を迎えられたらいいなと思って今回リミックスをANIMAL HACKさんにお願いしたんです。家の中にいるのではなく、外に飛び出していくような曲になっていてとても嬉しかったです。
 
YUtA:リミックスを作っているときの話につながるんですけど、たとえば、初めて聴いたリスナーに寄り添ってくれる言葉だなって思って。リミックスの方向性としても寄り添っていけるようなものにしたいと思いました。原曲もそんなアレンジだったと思うんですけど、更にそれを強めるような感じにしたかったんです。あとは元からあったエモさみたいなところをリミックスでさらに感情を揺さぶるように志しました。
 
みほの:嬉しいです。アイラヴミーは楽曲を作るとき、まず詞から書いて、その後弾き語りで曲をつけて、最後にトラックメーカーと一緒に仕上げていくんです。詞から書くときに心の中をなるべく裸の状態のままで書きたいなっていつも思っていて。赤裸々に表現するから、どうしても歌詞がシリアスな内容になりがちなんですよ。だからトラックは反対のものをぶつけようって思っていて、シリアスをシリアスにするのでなはくアイラヴミーでは逆のものにしたくて、洋楽を意識した横乗りのサウンドにしていたからこそ、ANIMAL HACKさんのリミックスは詞に寄り添ってくれている感じがしてドッキリしました。
 
YUtA:まさに今みほのさんがおっしゃっていた事をアイラヴミーを聴いて感じていました。ネガティブな事を歌っているのに、聴き終わった後は湿っぽくならず前向きになれるというのがこれまでのアーティストとは違うなと感じていました。
 
みほの:えっ、これまでのアーティストというと?
 
YUtA:ネガティブな負の感情を全面に押し出しているようなアーティストっていると思うんですけど、それが負の状態のままで終わるのではなく、アイラヴミーは最終的に前向きになれるというところを強く感じたんです。
 
MASAtO:サウンドが開けていて、洋楽の影響を受けながら日本の音楽をやっていて。ダメでもいいんだよっていう、ネガティブがネガティブに終わらない世界観で。
 
みほの:そこは意識して作っていたので、とても嬉しいですね。

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MASAtO:僕ら(ANIMAL HACK)にリミックスを依頼してくれたのは、どんなきっかけだったんですか? これまでもKotaro SaitoさんやMoe Shopさん、Avec Avecさんにリミックスをお願いしていたと思うんですが、どういう風にリミキサーをセレクトしてるんですか?
 
みほの:完全に直感なんですけど、ANIMAL HACKさんがokkaaa君とも制作されていたこともありますし、私が『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』を好きなのでANIMAL HACKさんは知っていました。でも私が一番ドキっとしたのは曲作りに詰まって、終電で家に帰っている時に「Days Gone By」を聴いて不思議な感覚を覚えたんです。その日はすごく雨が降っていて、私、雨って好きじゃないんですけど曲を聴いていたら、雨がキラっとして見えたんですね。自然と身の回りへと溶け込んでいく感覚がすごくあって、なんて言ったらいいんだろう、、、。その溶け込み具合と、日常がドラマティックになる感覚というか、なんか外に向かっていくような感覚があったんです。私、バンドが好きなので、今までこういうDTM 系の曲はあまり聴いてこなかったんです。これまで、どちらかといえばそういう曲は真夜中に一人で聴きたいと思う曲が多かったんですけど、ANIMAL HACKさんは全然違くて、外に飛び出して開けていく感覚がすごく面白いなと思って、ぜひリミックスをお願いしたいなと思ったんです。
 
MASAtO:ありがたいですね。僕らはベッドルームミュージックのような音楽はやってはいますが、2人ともロックが好きなんです。大きな会場でライブを観るのが好きだった上で打ち込みをやっているので、パソコンに閉じこもった音にしたくはないという想いがあり、生音を意識的に入れているので、デジタルだけに閉じたものではなく融和するものになっているのかなって思いますね。
 
YUtA:今回、作り始める前に、生楽器を多めに入れようと思って作っていて。ギター、トランペット、ピアノ、クラシック弦楽器などの生音を大事にしました。
 
MASAtO:やり取りしていたLINEを見返したら、それこそ「オーガニック」って言葉がよく出てました(笑)。
 
みほの:へえ、そうだったんですね。どうしてオーガニックな感じにしたいと思ったんですか?
 
YUtA:原曲を聴いた時に、デジタル感の強いパキっとしたサウンドよりも、暖かくて生っぽい方が合うんじゃないかなと思ったんです。
 
MASAtO:あとはトラックメーカーがリミックスするっていうとデジタル感強いものになりがちなので、それはやりたくないと思いました。
 
みほの:なるほど、すごく伝わってくるトラックだったので、本当にありがとうございます。お2人はトラックはどの辺から作っていくんですか?
 
YUtA:はじめはコード進行から手を加えていきました
 
みほの:えー、そうだったんですか。
 
YUtA:まず原曲のコードを耳コピして、そこからもっとエモくしてもいいのかなって、コード進行を組み立ててアレンジした段階で、MASAtO君に聴いてもらったらもっと生っぽい方がいいんじゃないかってアドバイスを貰って。
 
MASAtO:そう、もっとオーガニックにって(笑)。
 
YUtA:そこからもっと生音を増やしましたね。ドラムも生っぽいものに変えて。
 
MASAtO:でも、ヴォーカル処理に関しては逆にデジタルにしていきました。
 
みほの:それはどうしてなんですか?
 
MASAtO:元のヴォーカル・トラックは、ピッチやうわずっているのを直していなかったので、むしろ敢えてなのかなと思っていて。
 
みほの:いえ、私のピッチがズレているだけなんです(苦笑)。
 
MASAtO:そうだったんですね(笑)。でもあえて細かく直さず、ありのままを出しているのかなと思って。
 
みほの:そうですね、感情が出るように敢えてそうしていますね。
 
MASAtO:今回、ピッチはジャストにして、質感をザラつかせるというか、ビリつくような質感を出してみました。
 
みほの:実はこの対談の前にDMでもやり取りさせてもらっていて、そのお話をお聞きしていたんですけど、その後に改めて思ったのはボーカルの抜け具合がすごくいいなと思って。トラック系の音楽に詳しいワケではないんですけど、聴き心地がとても良くて、ずっと聴いていたくなるサウンドだと思いました。
 
MASAtO:アイラヴミーさんはトラックはどう風に作ってるんですか?
 
みほの:弾き語りができた段階でトラックメイカーさんに持っていくんですけど、最初にリファレンスというかこういう楽曲がいいなというイメージの曲を持っていて、そこからじゃあフレーズやリフを崩したものから作ってみようという事もありますし、トラックメイカーさん主体で作って頂く事もありますね。
 
MASAtO:みほのさんの頭の中のイメージを具現化してもらう感じなんですね。
 
みほの:バンドをはじめた頃は、洋楽やトラックもわかっていない状態でELLEGARDENみたいなバンドをやりたいなと思っていたんですけど、今のプロデューサーさんと出会って一緒にやらせて頂く事になって、「みほのちゃん、そのままでいいの? 変わりたいと思わないの?」と聞かれ、「変わりたい!」と思って今の形になりました。それは、今までにないもの、自分にないものをプラスする事でもっと幅が広がったりする感覚が面白いなと思ったので、これまでの要素と新しい要素を組み合わせていく感じでした。
 
MASAtO:プロデューサーさんと一緒にやっていく中でぶつかったりする時はありますか?
 
みほの:ありますね。特に歌詞の部分で自分がここは絶対譲りたくないところがあったりするので、そんな時ですね。唄い方とかもそうですし。
 
YUtA:なるほど、その自分の譲れない部分があるというのは大事ですよね。そこがあるからこそアイラヴミーとして構成されているんだと思います。


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みほの:ANIMAL HACKさんは、創作において譲れないところってありますか?
 
YUtA:作る時に大事にしてるのは、ダンスミュージックでも人の感情を動かすというところは意識していますね。
 
みほの:なぜダンス・ミュージックだったんですか?
 
YUtA:作り始めた頃は、特にダンス・ミュージックである必然性はなかったんですけどEDMが流行りはじめてたタイミングで このジャンルだったら自分達にも可能性があるんじゃないかって。でも、元々自分たちが音楽を聴きはじめた頃はART-SCHOOLやRadioheadなど、一対一で対話するようなアーティストが好きだったので、そんな要素が今作っているダンス・ミュージックに埋め込まれたのかなと思っています。結果として、新しい事が生み出されているんじゃないかなって。
 
MASAtO:今思ったのは、トラックはダンス・ミュージックで直感的に楽しめる裾野の広い音にしながらも、パーソナルな想いを詰めたりしているという点では、アイラヴミーと近い部分があるのかなと思いました。
 
みほの:ありがとうございます。私も“わかる!”と思って、今マスクの下でニヤニヤして聞いてました(笑)。
 
MASAtO:音としてポップスとして楽しめるけど、部屋で一人で向き合って聴けるような、ね。
 
YUtA:元々はバンドの音楽をやりたいと思っていたけど、今はダンス・ミュージックというかトラックありきの音楽をやっているというみほのさんの話を聴いて、自分たちと近いなと思いました。
 
みほの:嬉しいです。だからANIMAL HACKさんを初めて聴いたときにビビっときたのかな。ANIMAL HACKさんの曲ってどれもサビの広がりを強く感じるんですね。あと、ずっと聴いていたくなるようなグルーブが続いていく感じがすごくあって。そういう部分がANIMAL HACKらしさだなって勝手に思っていたんですけど。 
 
MASAtO:広がりという部分では、過去にまずは自分たちの楽曲のクオリティーをとにかく上げようと思っていた時期があったんですけど、その時に書いていたメモを最近見つけたんです。そこには、曲を球に例えていて、まだ盛り上がりのないイントロなどは小さい球をイメージしていて、一番盛り上がる部分は高音、低音、L・Rの広がり、奥行きが最大の球になるイメージでミックスしようと、そこに書いていたんです。なので今でも空間をイメージして作っていますね。
 
YUtA:サビが広がりに関しては、その前のBメロとかで狭めてるから、その狭めたぶん、サビが広がってると感じるんだと思います。
 
みほの:へえ、めっちゃ意識して作ってらっしゃるんですね。
 
YUtA:めちゃくちゃ意識してますね。実際に広がるようなプラグインを使っていたりもするので、空間が広がってるように聴こえるんだと思います。
 
MASAtO:Bメロでそれをグッと締めたりしてますからね。
 
みほの:だからこんなに広がって聴こえるんだ。
 
YUtA:グルーヴがずっと続いてるように感じるというところは、自分でかなりこだわって作っていて。今まで誰も作った事のないリズムを生み出したい気持ちが強いんです。嬉しいですね。
 
MASAtO:ANIMAL HACKは、寄木細工のように細かい作業が得意でリズムを細かく詰めていくので、よく聴くと本当に細かいビートが入っていたりします。
 
YUtA:パーカッションとかかなりこだわってますね。今回も、最後のサビだけ若干リズムが違うんですけど。ただの4つ打ちにしたくなくて、キックの位置をずらしたり細かいところでこだわってます。
 
みほの:最後はどうしてあのビートにしたんですか?
 
YUtA:原曲が最後に前向きになれるところが良いなと思ったんで、最後に一番疾走感を出したくて四つ打ちにしました。トランペットなどブラスを入れて最後に広がるようにしましたね。
 
みほの:最後に音が広がっていくところが前を向いて歩き出していく感覚に近くて。きっとリスナーの方にも伝わるじゃないですかね。そこはぜひ注目して聴いてもらいたいですね。
 
YUtA:間違いないですね。
 
みほの:そういえば、ANIMAL HACKさんは、3COINS×AWAのコラボでグッズを出していましたよね。私そのポーチ買いました。
 
MASAtO:ありがとうございます。それは2017年に出したEPジャケットなんです。当時、あまりフィルムの写真をジャケにするってダンスミュージックではあまりなかったんですけど、あえてインディーポップっぽいような、ダンスミュージックとは真逆にいるようなカメラマンさんにお願いして撮ったものをジャケットにしました。
 
みほの:そうだったんですね。
 
MASAtO:EPのタイトルも高校時代に読んだ小説から取ったり、EDMが絶対やらなそうな手法で名付けましたね。そんなタイトルに反応してくれるような人に届けたいと思っていました。当時はSNSなどで“泣きながら踊れるANIMAL HACK”なんて書かれていましたね。
 
みほの:え!?、“泣きながら踊れる!?”。アイラヴミーも最初はそう書いてました。“泣きながら踊れる、アイラヴミー”って。
 
MASAtO:ええ、そうだったんですね。いろんなところが似てますね。すごいです。
 
みほの:びっくりしました。実はいろんな共通点がいっぱいあったんですね。今はまだこんなご時世なんですけど、ぜひライブなどでもまたご一緒できたら嬉しいです。
 
MASAtO&YUtA:そうですね。こちらこそぜひです。
 
 

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みんなでしっかりバッチリ決めてこようねって話をしてたのに
この日なんと大雨すぎて髪の毛がヨレヨレになってしまいました。
なんかこれも負け犬戦士っぽくてお気に入りです。


【Lyric Video】


【各配信サイト】


【アイラヴミー オフィシャルサイト】


【ANIMAL HACK オフィシャルサイト】


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