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弱虫のラブソング


1番嫌いな曲ができた。

この曲が完成した時、
「なんでこんな曲作っちゃったんだろう」と恥ずかしくなった。


この曲の主人公のことが嫌いだった。
何度も何度も嫌になって書き直した。
でも結局、書き直しているうちに同じところに戻ってきた。書き直した意味がないくらいに。

本当の気持ちが言えないのが情けない。
本当の私は強くなんかない。
本当の私を見て
ちゃんと気づいて

そう叫ぶ主人公がなんだか嫌だった。
悲劇のヒロインぶってるじゃん、と何度ものたうちまわった。

本当の気持ちを言わないからわかってもらえないのだ。
気づいて欲しいならちゃんと伝えなきゃ伝わらない。

諦めてるのか、嫌われるのが怖いのか、
いい顔をしていたいのか、
何なのか知らないけど、
言葉を持つ人間はいつだって
ちゃんと言葉にしなきゃ本当の気持ちは伝わらないのだ。

当たり前のことだ。なんでそんなに自信がないんだよ。
信念を持って話せよ。勇気を出せよ。
なんでいつまでたっても変われないんだよ。
かっこつけめ。

って、自分が自分に叫んでた。



そうか、そうだったんだ。
この曲は私そっくりだった。
私が嫌いな私にそっくりだったのだ。

どれだけかっこいい人になりたくても
どれだけ勇気がある人になりたくても
どれだけ立派な人になりたくても

この曲は私の一部だった。

ダサくてかっこ悪くて
見て見ぬ振りしたいくらいの
精一杯のラブソングだった。


本当の気持ちは恥ずかしい。
情けなくなることの方が多い。
馬鹿にする人だってたくさんいるし
それで自信を無くしたりもする。
でもそれだけ力強い。

私も、みんなも、
何か口出ししたくなっちゃうくらい
ダサくて、眩しくて、見抜かれたように恥ずかしくて、
そういうラブソングを私はうたっていきたかったんだ。

あなたへのラブソング
自分へのラブソング。


立派になろうとしすぎてた。

本当は違ったんだ。


この曲を書いて気がついたことだった。


私にとって
本当にダサくてめちゃくちゃ恥ずかしい
「弱虫のラブソング」だ。


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