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成長フェーズ別にみる!組織崩壊を防ぐマネジメント戦略

先日、成長フェーズで変わる活躍人材と組織課題について記事を書きました。マネジメントについてもう少し掘り下げたいと思ったので、続編の気持ちで読んでもらえたら嬉しいです!

前回の記事を未読の方は、よければこちらに寄っていってください。

私自身、創業期から成長期、急拡大期まで、複数のスタートアップに身を置いてきました。また、採用支援や組織コンサルタント、そして転職エージェントとして、これまでに400社以上のスタートアップをサポートしてきました。これらの経験を通じて、私はスタートアップが成長していく過程で直面する様々な課題を目の当たりにし、その解決に取り組んできました。

特に強く感じたのは、組織が成長するにつれてマネジメントの重要性が増す一方で、その難しさも増していくということです。創業期においては、マネジメントの問題は目立たないかもしれませんが、成長期に入るとその重要性が急速に高まり、拡大期には、マネジメントの出来不出来が組織の成否を分ける重要な要素となります。


なぜマネジメントが必要なのか:フェーズごとの組織課題

まず、なぜマネジメントが重要なのか、そして各成長フェーズでどのような課題が生じるのかを考えてみましょう。組織の成長フェーズごとに、マネジメントが果たすべき役割は異なりますが、その根底にあるのは「組織全体の一体感を保ちつつ、個々のメンバーが最大限のパフォーマンスを発揮できるようにすること」です。

創業期:組織の基礎を築く

📈組織の特徴

  • 組織がまだ小規模で、全員がプレイヤーとして働いているため、マネジメントの問題は表面化しにくい。

  • 強いプレイヤーが多いので、船頭が多い状態になりがち。

  • 船頭が多すぎることで、意思決定のスピードと質が低下するリスクがある。

全員が当事者意識をもって仕事を推進しているマネジメント課題はでてきませんが、意思決定の速度で課題を感じる会社があります。

📝やった方がいいこと

  • トップダウン型の意思決定: 創業期には、迅速な意思決定が求められるため、経営者がトップダウンで方向性を示した方がいいことが多いです。

  • タスクオーナーの明確化: タスクやイシューベースでの責任者を明確にすることで、組織のスムーズな運営が可能になります。

創業期には「意思決定の速度と質」を保ちながら、組織をスムーズに運営するための工夫が求められます。

成長期:リーダーシップの確立とチーム間連携の課題

📈組織の特徴

  • 組織が急速に成長しメンバーが増加する中で、個々人の突破力に頼る傾向が続く。

  • リーダーが「野武士人材」として活躍するが、その結果、チームごとの色が濃くなり、チーム間の連携が希薄になる。

※ 「野武士人材」とは、創業期や成長期によく出没する「多少の無理をしてでも成果を上げる戦闘力高め人材」を指します。

成長期もまだ個々人の突破力に頼ることが多いフェーズなので、マネージャー不在でも大きな問題は起こりにくいです。「実際には、問題が起こっていても見えにくい」が近いかもしれません。

「人数が増えているけど、相変わらず人員が不足している」という状態なので、経営含めてまだ現場にでています。次第にみきれなくなり、リーダーを置くことになります。以前から活躍している「野武士人材」がリーダーを務めるケースがほとんどです。

みんな余裕がない時期なので、それぞれの野武士が持ち場でがんばる!となります。そうなると、チームの色が会社ではなくリーダーカラーになります。

😞こうなると起こる問題:
・共通言語がないまま属人化が進む
・チームごとの色が濃くなりすぎて、他チームがまるで別会社のようになる
・チーム間連携が薄れ、ハレーションが起こりやすくなる

率先垂範でリーダーが引っ張るので、チームのコンディションは良いことが多いです。でも、「会社全体で見ると状態はよくない」ということが起こるのです。

次のフェーズに突入するまでに体制を強化する必要があるのですが、気づかないまま拡大期に突入する会社が多いのが実情です。

📝やった方がいいこと

  • 共通言語や価値観の確立: リーダーに裁量を持たせつつ、組織全体の一体感を維持するための共通言語や価値観の確立が求められます。暗黙知を形式知に変えるタイミングはここです。

  • 組織間連携の強化: 組織全体でのシナジーを生むために、"業務上の"部門間連携を促進する施策が必要になります。

ただし、仲良くなるためのコミュニケーション施策を取り入れると、逆効果になることがあるので注意が必要です。詳しくはこちらを聞いてください。

拡大期:再現性のある組織運営と文化醸成の重要性

📈組織の特徴

  • 組織が大規模化し、多様な人材が集まる一方で、個々の能力に依存する組織運営の限界が見えてくる。

  • 成長期のリーダーがそのままマネジメントを担うことが多いが、再現性のある仕組み作りに課題を抱えることがある。

一番カオスになりがちなタイミングです。採用人数に受け入れ体制が追いつかず、現場が受け入れに疲弊する。採用要件が釣り上がってうまく採用できないという課題も起こります。

📝やった方がいいこと

  • 向かっている場所と現在地の明確化: 組織が大規模化すると、日々の仕事とのギャップが大きくなるため、経営陣から現場に向けて、何のために仕事をしているのか、どこに向かっているのかを繰り返し説明することが必要です。これにより、従業員が経営のビジョンと自分の業務を結びつけることができ、組織全体の一体感が保たれます。

  • 組織図の見直し: 拡大期には、マネージャーの役割を正式に定義し、再現性のある組織運営の仕組みを整えることが重要です。これにより、役割の曖昧さが解消され、組織全体が効率的に運営されるようになります。

  • 役割の要件定義と評価基準の明確化: 各ポジションの役割や責任、必要なスキルを明文化し、期待値を明確にすることで、従業員のパフォーマンス向上とキャリアパスの可視化が進みます。これにより、従業員が自分の成長と組織の成長を結びつけることができ、組織全体のエンゲージメントが向上します。

  • 情報へのアクセス:特にスタートアップの場合は、いろんな情報があちこちにあり、マニュアルが巻物のようになっていることが多いです。後から入社した人が、どこに何があるかがわかるように整理整頓しましょう。


マネジメントが鍵になりますが、このタイミング以降で外から入社するマネージャーは非常に立ち上がりが難しいです。理由はいくつかあります。
実体験を踏まえて書いた記事がありますので、こちらをご参照下さい。

さらなる拡大期

📈組織の特徴

さらなる拡大期においては、組織の規模が著しく大きくなり、従業員の数も増加の一途をたどります。また、事業展開がグローバルに広がり、多様な市場や文化に対応する必要が生じます。このような状況下では、次のような組織の特徴が見られます。

  1. 多様化する事業と組織の分散化: 事業が多角化し、異なる市場や製品ラインに対応するために、組織が分散化する傾向があります。この結果、各事業部門や地域ごとの独立性が高まり、組織全体の一体感を維持することが難しくなります。

  2. 複雑化する意思決定プロセス: 組織の規模が大きくなることで、意思決定プロセスが複雑化し、スピードが低下するリスクがあります。特に、組織内の階層が増えることで、情報の伝達や意思決定の迅速性が損なわれる可能性があります。

  3. 新たなリーダーシップの必要性: 組織が大規模化する中で、これまでのリーダーシップスタイルでは対応しきれない部分が出てきます。

📝やった方がいいこと

  1. ガバナンス体制の強化: さらなる拡大期においては、各事業部門や地域ごとの独立性が高まる一方で、組織全体としての一体感を維持するために、ガバナンス体制の強化が必要になります。

  2. DX推進: 組織が大規模化し、事業が複雑化する中で、情報の一元管理や業務プロセスの効率化が重要になります。DX人材の登用が求められます。

  3. 企業文化の再定義: 組織が大規模化し、多様な人材が集まる中で、企業文化の再定義が必要になります。ビジョンやバリュー、行動指針が現状に合わせて刷新しましょう。

まとめ

ここでご紹介したケースは、私が実際にみてきたものとベースにしています。もちろん、各組織にはそれぞれの特性があるので、そのまま適用するのではなく、自社の状況に合わせてカスタマイズすることが大切です。

組織づくりに悩んでいる方、今後の成長に向けて準備をしたい方、ぜひ一緒に考えていきましょう。ここには書けなかった事例なども踏まえてお答えしますので、お気軽にご連絡ください。



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