見出し画像

作文のはなし #シロクマ文芸部

赤い傘を差していたあの頃、書いた作文を担任の先生に褒められたことがある。


これまでの人生において、取り立てて褒められることなんてあまり無かったから、遠い過去に褒められたことさえも記憶の中で宝物となっている。

褒められた作文は2つあって、ひとつめは金木犀の花が、オレンジ色の絨毯みたいに地面を覆った秋に書いた作文。

友達とそのオレンジを拾って、ティッシュに包み持ち帰る。フェルトをハート型に縫って袋を作り、良い匂いのするオレンジを詰めて『匂いぶくろ』を作った。
それを母にあげたくて、ワクワクした気持ちを綴ったものだ。

ふたつめは、弟が産まれたばかりの時に、母を手伝う作文。

〝お母さんとお買い物をした時に、お母さんは赤ちゃんを抱っこしているので、荷物持ちのお手伝いをよくします。
そういえばこの間、理科の授業でテコの原理ということを勉強しました。
スーパーの袋を持つ時に、手の先の方で持つと重いけど、袋を腕にかけたり、肩にかけたりすると重くなくなるなと思いました。
テコの原理だなと思いました。〟

こんなことを書いたのだったと思う。

テコの原理の解釈は合っているのか否かは今でもよくわからないけれど、自分を俯瞰してみると、なんて可愛いい小学生なんだろうか。


先生は「あなたの作文、先生大好きよ。あなたのモノの見方は素敵ね。」と言った。

わたしは照れながら「ありがとうございます。」と言った。

そのどちらの作文かは忘れたが、市の作文コンクールみたいなものに当選した。

わたしにとって作文は国語の授業だったし、勉強だった。
当時勉強は嫌いで、やる意味すらわからなかったから、学べる年齢の時に作文について深掘りすることも無かった。



透明の傘を差している今、文を書くことが自分の中でストレス解消になっていると気がついた。だから、noteをだれにも内緒で始めてみた。家族にも友達にも。

誰も知らない中で書いた文を、noteの中で見てくれる人やあの時の先生みたいに「好き」でいてくれる人もできた。
お題イベントに参加することは、わたしの趣味ともなった。

あの時先生に褒められたことが、ちょっとだけ自分の人生に結びついた気がする。



本当はカッコよくブランド物の傘も差してみたい。でも今のわたしはよく傘を無くすんだ。


傘が透明じゃなくなった時、わたしはどうしているだろう。


その時に他者から何ひとつ褒められることが無かったとしても、わたしは自分を褒めてあげられる人でいたい。
そして人の良いところを、いつかの先生みたいに「素敵だね。」と伝えられる人でありたい。



🏖️〝自分だけは自分を褒めてあげなきゃ自分が可哀想だよ〟ということと、他者に褒められたり、好きだよと言われる所なんかに目を向けてみると、自分では気が付かないことに、気が付くかもしれないんだなってはなしでした。

そして、わたしのnoteを読んでくださり誠にありがとうございます。

とても嬉しいです☺️♡

#シロクマ文芸部
#赤い傘

この記事が参加している募集

#noteでよかったこと

48,557件

#note感想文

10,680件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?