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新規事業開発の基本を行政に取り入れよう~私と「市民活動推進」と政治~

この記事でお伝えしたいこと


【問題】市民活動推進の仕組みが、新規事業開発の基本を無視したものだった。
【改善】新規事業開発の基本のプロセスを提案、改善した。
【今後】自治体が課題を発信し提案を募集する仕組みを作ると共に、時間のない働き世代でも、より協働しやすい方法を実践・提案していく。
(その他)政策の実現には時間がかかる場合があるが、議員がこまめに進捗管理をすることで着実に事業推進することが可能。

5年前、市民の方から、こんな声が届きました

Aさん:近藤さん、私たち、儲けたいと思っているわけではなくて、地域には〇〇という差別があって、それに気づいてもらいたいという「啓発事業」をやりたいだけなの。でも資料作成の負荷は大きいし、レビュー会議では「3年後どうやって自立するつもり?」と上から目線で問いただされて、、行政と協働にまちづくりという感じじゃない。。どうしてなの?

Bさん:市民活動推進センターが中間支援してくれるはずなんだけど、頼りにならない(以下略)・・

中間支援とは・・
行政と地域の間に中立的な立場で立ち、主にNPO活動に対し相談を受けたり、研修して人材を育成したり、地域の課題を共に学びながら協働の推進役を担う。NPOの立ち上げや、市民団体のよりよい成長にむけて支援する。
+α「近藤みほ」は民間の助成金情報などにも精通していることも重要だと考えていた。

問題:事業の成長に応じた助成制度になっていなかった。

以前所属していた会社で、新規事業開発の基本として、死の谷(事業化の壁)やダーウィンの海(競合の壁)を乗り越えて事業が成長していく過程を学んだことがありました。

難しい言葉が並んでいますが、主張したかったのは、
まずは市民が「こんなこと出来たらいいね!すてきだね!」というアイディアの試行を応援し、行動する市民の母数を増やすことが重要ということです。そして、大きくなりそうな芽を大きくし、事業化するための支援は別に必要ということです。

新規事業はこれまでにない取り組みだからこそ新規なのであって(新規=前例がない)ダメなところを指摘しようとすればいくらでも出来るわけです。新規事業が育つかどうかは、何をやるかより【誰がやるか】や【時勢】も関係するため、まずは肯定的な関わりをしながら、行動して頂く環境づくりが必要です。

平成28年2月 一般質問の補助資料

四街道市の事業提案制度を紹介、段階に応じた補助金が創設!

四街道市の事業提案制度が良例だったので紹介したところ、流山市でも2段階の補助金(ひなどり、おおたか)が創設されました。

平成28年2月 一般質問の補助資料

ひなどり補助金:アイディアを育てるのが目的。よって手軽に応募してもらうため、書類提出もなるべくシンプル。その代わり補助金額は少なめ。上限10万円 補助率9割。

おおたか補助金:事業化を目的にしているためイニシャルコスト分を手厚く。その代わり事業評価もする。上限100万円 補助率7割

【実績】(旧:流山市民活動公益事業補助金がリニューアルされ、協働まちづくりを担う提案事業が創設されました「こちら」)。

中間支援の強化やコミュニティーコーディネーターの起用を提案、実現。

平成30年第4回の議会では、中間支援強化やコミュニティーコーディネーターの起用、民間の助成金の情報提供などを提案したところ、事業者選定の仕様に盛り込んでいただきました。その仕様をもって令和4年度、ちょうど新しい事業者に変わったので、令和4年第3回定例会で以下の成果を確認しました。運営改善されたことが分かります(以下)。

①「情報発信力」の向上
ホームページのリニューアルのみならず、FacebookやTwitter、Instagramを新設し、鮮度のある情報発信を行いアクセス数が増えた
②「相談・連携力」の向上
市民、市民活動団体、企業、行政など多様な主体への連携を念頭にした相談業務の拡充などにより、4月実績では新規団体設立を含めた相談件数が19件あり、昨年度の同月の相談件数2件と比較し、大幅な増加となった
③行政と市民活動推進センターとの連携強化
近年、短期プロジェクト型の取り組みなど、市民活動の形が多様化しているので、これまでの枠にとらわれず、市民、市民活動団体、企業、行政など多様な主体とのマッチングなどの柔軟な対応ができるよう、市と市民活動推進センターとの毎月の定例会をしている。その他、取組状況等についてメールや電話などで情報連携を密にしている。
④市民活動団体に寄り添ったバックアップの体制強化
近年、短期プロジェクト型の取り組みなど、市民活動の形が多様化しているため、団体ごとに丁寧な対応をしている
⑤+αの支援
民間の助成金の情報を発信
するとともに、ヒアリングから得られた事業課題やニーズに応じた助成制度の提案、相談対応を積極的に行っている

もっとよくなるには?:自治体が課題を発信し、提案を募集する仕組みが必要

今後は、自治体が課題を切り出し、提案を募集する仕組みが必要です。

この仮説を検証するための試行として、私が市民の活動に伴走したマチブック(「こちら」)という取り組みがあります。
マチブックは「児童が増えすぎて人気の図書が20週待ち!?」という課題に対し、ITが得意な市民の方々が本を寄付するというプロジェクトです。私は課題整理と行政側との調整を行いました。
当初は100冊の寄付を3か月で達成することを目標としていましたが、立ち上げから1か月も経過せずに、目標を達成してしまいました。

プロジェクト終了後、活動者からのコメントは、若年層は本業でも稼ぎ頭で時間と余裕がない。だからこそ「課題が明確で、30日間などの期間が限定されていれば、関われる」というものでした。

行政は社会課題の情報を沢山もっています。これをオープンにすることにより、より多様な市民の方の参画が出来ると思うので、今後は、これを仕組化にしていけるよう提案していきます。

そもそも論:自治会・NPOのなり手不足はなぜ発生するの?

議会では「若い人が自治会に加入しない、消防団に加入しない、よって啓発が必要だ!」という訴えが沢山なされていますが、若年層が地域に参画しないのは以下の理由なので、行政が啓発すれば改善されるわけではないと考えます(マチブックの方も同様のご意見をお持ちでしたし、私が相談を受ける多くの若い方から同様のご意見をいただくことが多い)。今後は、この実情を直視して、参画の仕組みメニューを充実させていきます。

平成28年2月 一般質問の補助資料

大分前に作成したものですが、自治会・NPOのなり手不足について語っております。よろしければご覧ください。

余談:政策提言の実現には早くて3年、空気のように届く・・

この問題を初めて定期した2018年12月の議会中継です(若干恥ずかしいですが証拠にパスを張っておきます)。

2018年12月に実施した一般質問「市民活動推進の活性化に向けて」

政策の実現には、時間がかかる場合が多いです。今回は3年間準備期間を経て、4年目に実現しました。当時陳情をいただいた市民にも報告しましたが、既に活動を立ち上げられた当初とは違うステージにおられるので「遅いよ・・」そう感じられていることでしょう。スピードアップが課題です。

しかしながら、様々な壁を突破され事業化して頂いた職員の方々には心から感謝申し上げます。また主張をご理解いただき、加勢頂いた会派のメンバー、同じ問題点を感じて都度声をあげて頂いた市民の方々にも感謝いたします。
ちなみに私は令和2年第1回定例会でも「こちら」、その他予算審査や決算審査でも取り上げています。

「近藤みほ」からのお願い

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