春の訪れを感じる 桜海老ご飯
桜海老の香ばしい香り、ピンクと緑の春の色合い、揚げた桜えびとだしを含んだ蕗の食感。主張しすぎない素朴なおいしさで食べ出したらパクパクと止まりません。
【作り方】
① 米を水で洗い、ざるに上げ、さらしをかぶせて30分置く。
② 桜海老は170℃の揚げ油で30秒揚げ、乾いたザルに上げる。
③ 蕗は鍋に入る長さに切りそろえ、塩をまぶして板ずりし、5分ほどおく。そのまま塩を加えた熱湯に入れ、落し蓋をしてゆで、水に落とし冷ます。両端から筋を引いて取り除く。太いものは4〜6つ割りにして、2cm長さに切り、八方だしにつける。
④ 油揚げは細かく刻む。土生姜は皮をむいてみじん切りにする。
⑤ 一番だしに味醂、塩、薄口醤油、濃口醤油を合わせる。炊飯器に米、油揚げ、土生姜、合わせただし汁を入れて炊く。炊き上がりに酒を振りかけご飯を混ぜてから、揚げた桜海老、八方だしにつけた蕗を順に混ぜ合わせる。
【料理のポイント】
蕗の下処理の手順とポイントをしっかり押さえておきましょう。
<手順>
1、蕗を鍋に入る長さに切る。
2、水で濡らしてから塩で板ずりする。
3、塩を加えた沸騰した湯で茹でる。
4、太い部分を指で潰すように押さえて繊維がぐにゃっとなったらOK。
5、湯から引き上げたらすぐに水に落とし、冷めるまでつけておく。
6、筋を引っ張って取る。
7、必要であれば4〜6つ割りにしてから適当な大きさに切る。
<ポイント>
☆蕗は必ず筋を取ること
塩で板ずりすることで筋を取りやすくなります。板ずり前に蕗を濡らす理由は塩がまわりにつきやすいからです。
筋を取るときは、片端から一周筋を取り終えたらもう片方の端からまた一周筋を取ります。茹でるときに鍋に入る長さに切ったのは、短いとたくさん筋を取る作業をしなければならなくなるからです。
☆蕗はできるだけ青く
蕗は色がぼやけやすいですが、やはり見た目も重要。できるだけ青さを保ちたいところです。
青さを保つには、湯から引き上げてすぐに水につけることが大切です。さっとつけるだけでなく、しっかり冷めるまでつけます。
<八方だしとは>
野菜などにちょうどよい味をつけるための調味しただし汁のこと。色々使えるので、ぜひ覚えておきましょう。
基本分量はだし汁8:味醂1:醤油1の割合で合わせ、ひと煮立ちして作ります。
野菜の色を生かしたいときは、醤油を少なくして塩を加えるなど調整します。
【中医・薬膳から】
冬の間は寒さや飢餓に備えてエネルギーが溜め込まれ、人の体も老廃物が外に出にくくなっています。その冬が終わってようやく迎えた春は、溜め込んだ老廃物の排出や解毒に最適な季節です。デトックスやダイエットは春に始めましょう。
そのためにもデトックスに向く解毒食材をぜひ積極的に摂ると良いと思います。
どんな食材がよいというと、春に旬を迎える山菜、菜の花、筍、ウド、蕗など苦み(えぐみ)のある食材です。旬の食材はそのときに体に必要な効能を持って生えてくるのです。
【最後に】
蕗は旬の時期だと意外に安価で手に入りますし、肉とも相性がよく使い勝手がよい春の野菜です。ぜひいろいろな料理に活用してください。
旬の食材は安価で手に入りやすく、その時期の体に必要なふさわしい効能を持っています。季節ごとの旬の食材をぜひ積極的に食材に取り入れるようにしましょう。
今回は乾燥桜海老を使用しました。海老を使いたくても下処理がなかなか面倒で手が出ないという方も多いと思いますが、桜海老だと殻を向かなくて済むので手間がかかりませんし、乾燥桜海老だと保存がきくので便利ですね。今回のように桜海老を揚げることで香ばしい香りが出るので食欲もそそられます。
常備しておくといい食材の一つです。桜海老と残り物の野菜で卵とじスープなんかもさっとつくれます。
余談ですが…
菜の花が店頭に並び出すと、私は春を感じてウキウキします。黄色い花が一面に広がる美しい菜の花畑が浮かんできます。
中国にいるとき、日本の調理器具メーカーに提案する春の広告デザインに入れる春を連想する俳句として菜の花の入った俳句を挙げたら、社内の中国人にものすごくびっくりされ、注意を受けました。なぜなら、中国では菜の花というと「安い」イメージだから高品質をうたう商品の広告にはふさわしくないと言うのです。
日本だと「安い」よりも「春」や「美しい風景」というイメージが一番にくる人が多いかと思います。こんなに近い国なのに、それぞれが持つイメージがこんなに大きく違うのかと驚いたものです。おもしろいですね。
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学校で学んだ日本料理や知識をもとに、そこから思考を薬膳に広げたり、おいしく作るコツなどを紹介しています。いろんな視点から料理や食材を見ていきます。分量は必要に応じて微調整してくださいね。学びや発見があれば随時修正や追加・更新をしていきます。
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