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ただいま屋久島!海の中の山の王国①

ここに戻ってきました。
今屋久島に来ています。
およそ19年ぶり。


19年前、いつか行ってみたいなと思っていた屋久島は、その当時ぼんやりした想いだったけど、母の用事で鹿児島に一緒について行き、私はやる事がなかったので旅でもするかと思い立ち、え!屋久島まで船で行けるじゃないのと、ふらりと行ったのだった。
屋久島の山は迷いやすく遭難しやすい特性があるようで、(あと大雨で増水して危険とか。)
ガイドをつけるのが一般的とは知らずに、縄文杉まで一人で行った。


たしかに道々、ガイドさんから「1人なのー?がんばって👍」とか声をかけられた。
そう気づくとちょっと不安にもなったが、トロッコ道と木道が続くルートだったのでおおかたは大丈夫であった。


縄文杉からの帰り道、疲れとなぜか頭がぼんやりしてしまって、砂利道の平坦なルートに来た頃にはてれんこてれんこ歩きながら、これじゃバスの時間に間に合わないな。
山に置いてきぼりにされると凍えるな。とか思いながらも足が進まず、これはどうしたもんかとぼんやり頭の中で思いながら、やはり足はてれんこてれんこと進まず。
急に背中をドーンと押されて、(ほとんど突き飛ばされた)あれよあれよと足がとんとん拍子に進み出す。
そのまま後ろをみても誰もいない。
1時間くらいもう人と会っていない。
みんなバスに間に合うようにとっくに先を行ってるからだろう。
一体何が起こったのかとポカーンとしながらも、足が止まらないのだから、これはバスに間に合いそうだ。良かったとか頭は思っている。


トロッコ道では後ろからトロッコが走ってきて、おーい!危ないぞー!と乗っていたおじさん達が、脇に逃げろとばかりに手を横に振ってどけどけと合図してくる。
左手は崖だし、右手は斜面。
咄嗟に斜面に飛び移ってやり過ごす。
そしてギリギリバスに間に合って、凍えずにすんだのであった。
たしか10月も終わり頃だったのではないかな。


それからずっと、いつかまた来ると心に誓う。
馬頭琴奏者になってからは、なんとか屋久島で演奏ができないかと思っていた。
やっぱり演奏の仕事で訪れた場所は特別な場所になる。
しかしなかなかその機会は訪れず。


さて時間の隙間というのがあるんじゃないかというくらい、ぽっかり空いた1週間、この貴重な連続時間は旅に行くしかない。
そんな時、頭に屋久島が浮かんだ。
ぽっかり空いた時間のようにぽっかり頭に入ってきた。
振り返ると、なんで今まで屋久島に再び旅しに行かなかったのかというと、演奏にこだわっていたからなのだが、もはやどうでもいいじゃないか。
そうだ。
屋久島に行こう。
である。


鹿児島空港に着いた時、与論島行きは欠航、屋久島行きも前の二便は欠航、という不穏な空気に包まれていた。
屋久島に辿り着かないなんて想像出来なさすぎて、なんとかなるだろうと思いつつも、現地の天候を調査中ですのアナウンスがずっと続き、ただ待つ時間が流れた。
とうとう、出発します。
でも途中で引き返すかもしれません。
という条件付きで出発。
引き返すなんてあり得ないよなー。と思いながら、引き返すアナウンスはないままに
屋久島が見えてきた。


前回はトッピーという高速船で鹿児島から船で。
海の上から見る屋久島は新大陸を発見したくらい、急に出てきた海の中の山として私の中で聳え立った。
今回は空の上からの屋久島。
雲の切れ目から待ち望んだ山の峰がちらり。
ちょっと涙が出る。

以前セドナ(アメリカのアリゾナ州)に行った時にガイドを頼んだナナさんのFacebookでの知り合いに屋久島ガイドの高田奈央、高田健太夫妻がいた。

この奈央ちゃん健ちゃんに1日だけガイドを頼むことにした。
縄文杉以外のルートで山の奥の方に行きたかった。

今回の屋久島ではとにかくどっぷりと森に浸かりたい。

山の高いところまで登って上の方から見える世界へ行きたい。


連絡をとると、今の時期は石楠花が山に咲いているから、黒味岳がおすすめといわれて、石楠花の花が頭の中にひろがり、そこに行きます。
と即決。


そういえばセドナへはじめて行った2011年の2月も、セドナなんて聞いたこともなかったのに、知人が行ってきて良かったよー!赤い大地がひろがっていて、岩山がね。
という話を聞いた途端、頭の中にうわーっと景色がひろがって、その瞬間には行くと決めていた。
ところでセドナってどこなの?である。

まあそれが縁でラコタ族に伝わるホワイトバッファローの伝説に出会い、その曲を7曲作ってアルバムにした。

配信サイト↓

https://linkco.re/U9bVvU8Q?lang=ja


黒味岳もきっと、梅雨真っ只中、体力衰え、どこそれ?であっても絶対良いに決まっているのさ。
梅雨とは頭で分かっていても、晴れの山登りイメージしかない。
これで雨だったらテンション下がるやつである。
考えるのはやめておこう。
なんて思っていたら、一番持っていくべき登山用の雨具をなんと忘れる。
流石にまずいので屋久島のスーパーで買う。


黒味岳登山は3日目なので、まずは午後着いてレンタカーを借りたら屋久杉自然館で情報収集。
以前もここには来ていて、特に目新しい事もなかったが、黒味岳の位置などを屋久島の立体模型などで確認してわくわく。


宿に入って夕方になると小雨が降り出す。
雨の屋久島は良いとはいっても、やっぱり雨は外に出かけようという気持ちが小さくなるのは確かだな。
どうか登山の日だけでも晴れますように。
次の日は薄曇り、時々晴れ間。
ハイキングには問題なさそうだ。
屋久杉自然館から更に高い場所まで奥岳にむかって屋久杉ランドへ。
テーマパークなの?というネーミングですが、標高高く、屋久杉があちこちに点在する深い森。
以前も来たが、大好きな場所。


昨日の午前中、まだ屋久島に来る前に大雨だったらしいので、苔むした深い森はあちこちの木々の木肌から水滴が滴り落ちていて、水滴が集まってできた小さな細い水の流れに心奪われ、10メートルも進めば立ち止まって覗き込み、150分コースなのに倍の時間楽しんだ。

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今回、楽器を持っての登山は想定していなかった。(もちろん黒味岳登山の事ではなく、他の日のハイキング)
やっぱり雨が降るに違いないと思っていたので、難しいと思い、撮影は山では無理かなと思いながら。
でも、ここなんか好き。
という場所を見つけてしまい、もし登山の後で別の日に晴れそうな時があったらここで撮影したいなとちょっと思ったのだった。

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黒味岳登山の日以外は予定を決めてなく、お天気次第、気持ち次第の旅。


実は数年前、とあるラジオ番組に出演して、その番組のパーティーに出かけた時、ちょうど座った席の斜向かいに大野睦さんが座っていた。
なんと屋久島から来ている。
私も一曲演奏したのだが、屋久島の子供達に聞かせたいなー。と言われて、とても嬉しい縁だった。


その睦さんに、このご時世で声をかけるか迷ったのだが、屋久島行きまーす!楽器を持っていきます!と。
すると彼女はあれよあれよと声をかけてくれて小学校、保育園、レストランでの演奏が形になりそうだったのでPCR検査も受けて準備したが、宣言延長になり、中止。
野外でこの旅で知り合った人に声をかけてこじんまりやれたらいいなとぼんやり思ったりしていた。
睦さんもそう思っていたらしく、ここなら良さそうという場所をセッティングしてくれた。
日曜日なら来れる人もいるからと登山の次の日に。
足腰立たなかったらどうしよう?という一抹の不安もあったものの。


そして登山当日。
もうどんな景色に出会えるか、どんな人との出会いになるか、どんなことを感じるのか、わくわくしながら出発。
ガイドの奈央ちゃんの野生児っぷり、冷静に語る健ちゃん夫妻のコンビネーション、大学時代の友人同士というさえちゃん、ともちゃんは2人とも明るくて、大笑いしながら登っていると、きつい登りがきついと感じる間も無く、いつのまにか過ぎてゆく。


奈央ちゃんの杖はパートナーの健ちゃんが屋久島の海岸で拾った。
ヘッドが馬の頭に似てなくもない。
奈央ちゃんはこの子、前世馬だからと笑って言った。
この杖は健ちゃんが何度もガイドの途中で山に置いてきてしまい、行方不明になるのだが、毎回、山であった!と再会を果たすらしい。
他の登山客がいい杖があると使って、使い終わってまた置いて帰るのだろう。
他のガイド仲間が、どこどこにあったよー。と教えてくれることもあるらしい。
健ちゃんがあんまり無くすから、奈央ちゃんの杖になった。

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奈央ちゃんと杖


それぞれのいろんな話が尽きないままに、
蓋を開ければ共通の事がたくさんあり、出会いはやはり面白いなと思う。
それに加えてもちろん、標高が上がるにつれて変わる光や風や、植生、飽きる事がない。

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奇妙な岩が点在するこの山は、岩好きの私の心をくすぐりまくりだ。

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苔も、岩も、木も、花も、虫も、鳥も、動物も、水も大好きだが、その大好きな存在がこれ以上ないくらいここでは輝いている。
輝いてる様をみて心が癒されて元気をもらう。
あ!石楠花!あ!この鳥の声!あ!という瞬間をみんなで共有しながら、もう着いてしまうのか、あっという間の往路。

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青空も垣間見れる薄曇りのような天気は登るにつれてどんどん晴れていき、山頂についたとたんに強風に煽られ、元々高所恐怖症の私は、風に飛ばされると思うと腰が引き気味だったが、圧倒的な景色の素晴らしさに怖さも忘れていく。

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この強風で完全に雲は飛び散り、今梅雨でしたか?という快晴の中、
山頂の岩の下へ行くと、雲も飛び散り役目を終えたように風が止み、皆で昼のお弁当を食べて、大岩の上で大の字。
人もいなくて、太陽が気持ちよく、急ぐ理由もなく、小一時間も山頂のこの絶景で昼寝をしたのであった。
そんなことあるの?

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1時間はたっぷりと太陽浴びながら山頂で昼寝の図


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続く

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