「あなたはあなたのままでいい」理由
「何もしなくても、あなたはいるだけでいいよ」と言われても、数年前はいまいちピンとこなかった。
何かの役に立っていないといけない、何もしないならいる価値はないと思って、何もできない自分に焦る。
時が経って少しづつ、「わたしはこのままでも、ここにいていい存在なのかも?」と考えるようになった。というか、「今のままでもここにいていいよ」と言ってくれる人を探して、その人のそばにずっといればいいんだ、私の「安全基地」を作ればいいのだと気持ちを切り替えてきた。
落ち込んだことがあっても、「誰かにとって私は、ただ存在しているだけでもいい存在だ」と思うようにしてきた。なかなか意識を向けるのは難しかったけれど、たぶんきっとそうなのだと、言い聞かせる。
そして、必死になって変えてきたこの考え方は、ある記事を読み終わるころには自然と身体の一部になって、「わたしはいるだけでよかったんだ」と思うようになった。
生まれてからずっと原因不明の病気が続いていた金澤さんの娘さん、菜生ちゃん。記事では闘病の末亡くなってしまったときの様子や気持ちを綴られていて、読み終わった後はしばらく言葉が出てこなかった。金澤さんにとって大切な言葉がぎっしり詰まった記事に値する、言葉が全然みつからない。
悲しい出来事が綴られた記事ではあるのだけれど、言葉がみつからなかったのはそれだけが理由ではない。記事から受け取る雰囲気が、3月のおひさまみたいな、やわらかい暖かさが感じられたからでもある。
最近私が実践しているのは、「目の前の人を大きくなった娘だと思って接する」ということ。
"もしこの人がなおだったら、今どんな気持ちでいてほしいかな。"
"もしこの人がなおだったら、この人にどうしてほしいかな。"
そう思うと、相手に対して一時的な感情に振り回されず、愛情を持って接することができるように思います。
私が娘だと思って相手に接すると、いつもでてくる感情は「頑張らなくていい、あなたはあなたのままでいい」ということ。なにができてもできなくても、存在してくれていることがありがたいと思い出すことができます。
娘の病気が発覚した最初の頃は、「将来結婚も仕事もしないこの子は生きる意味があるのか?」と娘に対して愛情を持ちにくい時期がありました。
"普通の子育てだって、この子が足が速いから好きとか思わないはず。その子自身を愛する中で、個性も一緒に愛していけばいいんだ。"
娘に対して「生きる意味があるのか?」と思ってしまった時期があっても、金澤さんにとっては無くてはならない存在。
何ができるからとか、できないからとかではなく、ただ「菜生ちゃん」を愛する気持ちがあったという。
きっと菜生ちゃんだけでなく、この世の中のすべての人に言えることだ。スキルや能力以外で、そのまま愛してくれる人がいる。
この記事のおかげで、「あなたはあなたのままでいい」理由が、頑張らなくても思い浮かべられるようになってきた。
この記事に出合えて、金澤さんの想いをわけてもらえて、やっと「そのままの自分」を肯定してもいいんだと思えるようになった。
去年の毎日note
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