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「東京」の風景

「出身はどちら?」と聞かれると、答える前から申し訳なくなる。私の出身地は、ほぼ全ての人の想像を裏切るからだ。

嘘を言っても意味がないので正直に答えると、私の出身地は「東京」である。最寄り駅は単線・無人駅。夜になると車はほとんど通らないし、21時以降に空いているお店なんて近くにない。というか、お店が無い。

「東京」と答えると地方出身の人は「シティガールだね」なんて言うけれど、地元の話をしてみると相手の方が栄えた場所に住んでいたりすることなんてよくある話だ。

「東京」はもう、地名ではないのかもしれないな、と思う。東京についてのみんなのイメージはなんとなく共通している(ような気がする)し、それがまさに「東京」のような気がしてならない。小さい頃は"都内見学"と称してお台場を回った(今まで見たことのない大きさの建物だった)し、"都内"にある109は大人の象徴だった。「東京」はお洒落の代名詞にも思えた。そして、大人になったらいける、キラキラした街だった。


「東京住まい」なら、恥じらいなく言えるようになった。0時を過ぎても明るい街、輝くネオン、車の音、いつでも捕まえられるタクシー。

歩道を堂々と歩くカラスやハト、ベッドに入るとカーテンの隙間から漏れる街頭の明かり、夜通し聞こえる車の音。そんな街に、終電を気にせず飲めるバーがある。徒歩圏内に行きたいカフェがいくつか思い浮かぶ。呼び出されれば、30分で集合できる。

今「東京」に住んでいる。キラキラしているかはわからないけれど、わりと予想外れでもない風景の中で、「東京」を謳歌している。

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大テーマ#東京
テーマ#風景 (このテーマ、むずい)


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