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粋を気取る「蕎麦をたぐる」

どの記事にもそれに即したトンマナがある。使用頻度の高い言葉も、どくとくな言い回しも。それに合わせることが必ずしも「正」ではないけれど、“知っていて使わない”のと“知らない”のとで大きく違うよなぁと思う。私はもっと、書く媒体ならではのトーンや言い回しを知ったうえで、使うのか使わないのかを判断したい。

そんな風に思い、夏に買った観光雑誌を引っ張り出して、見慣れない単語探しを始めてみた。今見ているのはこの雑誌。

そしてさっそく初めて見る表現が目に入った。

「蕎麦をたぐる」

……たぐる?

「手繰りよせる」という表現ならわかるかもしれない。調べてみると「両手で交互に手元に寄せること」とあった。蕎麦は両手で食べないぞ。どちらかというと、「すする」のほうが使われているんじゃないかなぁと思い調べてみたら、どストライクの記事があった。

「すする」の意味を見てみると、使い方としては「たぐる」のほうがかっこいい。「これは、江戸時代の粋を気取った人の言い方なんじゃないか」なんてことも書いてある。粋を気取ったーー。粋を気取るとは、はたしてどんなことをいうのだろう。考えが発散しそうになったけど、まずは蕎麦のことだけ考えることにした。

ちょっと意味は違うような気がするが、“粋”なら確かに「たぐる」もいい。言葉遣いはそれを発した人の内面を表すと思う。粋になるには「たぐる」だろう。あと、めちゃくちゃ単調でもよいのなら、蕎麦を「食べる」が無難なんだろうな。

気になる言葉、魅力的な言葉を集める共同マガジン「コトバツムギ」。共同運営者は以前ライティングスクールで一緒に学んだスミヨ。さん。月~金までのうち、私は月・木を担当しています。

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