マガジンのカバー画像

編集とライティングと、働くこと

99
未経験から編集者を目指していた2017年以前の私に向けて、編集者の仕事、参考になるnote、編集者となった自分はどんなことを考えて日々働いているかをまとめています。
運営しているクリエイター

#ライティング

意図の不明な修正について考える

文章において、どこまでが自分のこだわりで、どこまでがゆずってもいいポイントなのか、判断基準が難しい。 文章をよく書き、よく読むようになってから、「いい文章」がちょっとずつわかるようになった。嫉妬するくらいきれいな表現とか、読み手を引き込むリズムとか、読みやすい文章には必ず、「どうして読みやすいか」の意図が隠されている。 もちろん「いい文章」だけが読まれるわけではないので、ふだん見る文章にすべて意図があるとは言い切れない。けれど、せめて自分が(仕事として)世に出す文章は、そ

書く時に大事な「あるものさがし」

「ストーリーのように構成立てができないんです」 そんな質問へのアンサーで届いたとある本。「その悩みにぴったり当てはまるものじゃないけど、読んでみると面白いよ」と教えてもらい、さっそく購入してページをめくった。 タイトルの『脚本教室』という言葉から、「ストーリーの書き方術みたいな本なのかな」と予測を立てて読み始めたものの、「はじめに」からすでに想定を超え、読み進めるのが少し怖くなっている。 そこに書かれていたことは、よき脚本を書くために必要な、「自分自身と向き合うこと」だ

初心者ライターがつくってしまいがちな構成のパターンを桃太郎で整理した

あれはざっくり5年ほど前でしょうか。 イベント取材を終え、編集者から「初稿の前に構成いただけると幸いです」と言われた駆け出しライターは、10分くらいで構成を作成し終え、どや顔で送付しました。イベント取材中のメモに申しわけ程度の見出しをつけ、一切インデントをせずに羅列しただけのドキュメントを、です。いま、彼女に向かって言ってやりたい言葉はひとつだけ。 「お前が作成したのは構成じゃなくて議事録だからな...!」 とつぜん失礼しました。inquireで編集やライターをしている

インタビュー後のひとりごと

インタビューをすると、大体決まって「この仕事をやっていてよかった!」という感情が全身に行きわたる。 いざ書きはじめるとその勢いは薄くなり、「あんなに素敵な取材だったのに…なんでそれが再現できないの…」と悩み始めてしまうのだけど、そんな現実が待っていることも含めて、やっぱり取材は楽しい。 オンラインや電話取材もやってやれなくはないけれど、対面での取材はやっぱり違うよな、と今日の取材を経て改めて考えた。 インタビュー中も、インタビュイーが話に乗ってきたときの雰囲気とか、思わ

坂道をころがっていくようなことば

せっかく書くなら読んでほしい。 せっかく書くなら届けたい。 だから扱うことばを意識するし、"いい文章"を書くために脳みそを酷使している。もちろん、書くこと、特にnoteを書くことは、自分のための要素も多くあるけれど。せっかく書くなら、自分に近い人のところにも届けたいのだ。 以前のnoteで、文章のリズムについて書いた。 リズム感のよいフレーズを取り上げて、どうしていいなと思ったのか考えたものだ。結局うまい具合に言語化はできなかったけれど、今回もまた、リズム感が心地よい

絶え間ない無力を感じ続ける毎日note

振り返ることもなく時が過ぎてしまったけれど、今月の1日で毎日noteを始めて2年が経った。土日に書かなくなったとはいえ、まさかこんなに続くとは思ってもみなかったし、なんだか辞め時もなくなってしまった。 もともと私の性格がネガティブなことを分かったうえで聞いてほしいことだが、毎日書き続けている理由は、書くことが好きだからというわけではない。むしろ、書けば書くほどいつも課題が見つかって、うまく書けないと悩んで、本当に自分の欠点を探す天才だな、と思う。 最近もまた、解決方法を模

書くって結構つらいこと

取材が楽しければ楽しいほど、書くのがつらくなる。 こんなに魅力的なんだから、確実に伝えたいと意気込むと、言葉を作る手が止まってしまう。良かった取材は私が書かないほうが良いんじゃないかとさえ思ってくる。 * 先日、スポーツ観戦をチアリーダーの観点から切り取る取材をした。チアが大好きの友人に、パフォーマンスの意味や背景、チアの見方をレクチャーしてもらいながら、試合そっちのけでチアをひたすら追いかける試合だった。 今まで視野が届いていなかった“チアリーダー“という存在にスポ

赤入れの学び

先日提出した原稿の戻しが届いた。googleドキュメントを開けると、提案モードで赤入れされた、ピンク色の文字が並ぶ。 「どうしてうまく書けないんだろう」と、自分にイライラしながら書いた原稿。熱い思いをたくさん聞けたインタビューなのに、私が書くとドラマの無い、半分もいかないうちに離脱してしまうような文章に見える。もやもやを抱えて提出したところ、構成の変更提案を受けて整えたら、だいぶスムーズな流れになった。編集者にしっかり見てもらえるのは、とてもありがたい。 修正の中で、「こ

必要?不要?「~という」

文章の中で不要な言葉は極力省く。もたついた言い回しにならないよう、すっきり、簡潔に記事を作ることは、ライターが気を付けることの1つに入っているはずだ。 中でも不要だといわれることが多い言い回しのひとつに、「~という」がある。たとえば、「ありがとうという感謝を表す言葉がある」も、「感謝を表す言葉、ありがとうがある」などと言い換えて、余計な言葉を極力書かないようにする。 もちろん私も気を付けているし、ライターさんから上がってきた原稿で「~という」を消したりするけれど、一概にす

1秒でイメージさせるリード文。「目の前に、2本の水があるとしよう」

リード文の最初でどのくらい読者を引き付けるかが大事。 すごくわかる。その記事を読むかどうかは最初の数行で決まる。インタビュイーの印象的な言葉から、読者に投げかける疑問文から、色々やり方はあるけれど、最近読んだリード文ほど、頭の中に1秒で情景を思い浮かべたものはなかった。 ーー"目の前に、2本の水があるとしよう。”記事を見た瞬間、ペットボトルに入った水が2本、すぐに思い浮かんだ。それと同時に、「この記事、どんなことが書いてあるんだろう?」と興味まで出てくる。一瞬にして私の頭

熱量高い仕事でも、頭はクールに冷静に。

最近ようやく日の目を見た仕事について、アツく語った。 プロジェクトもすごく共感しているし、木こりさんから木や川などの自然にまつわる話が聞けるので、自分の興味関心ド真ん中なのである。 さらに、一緒にお仕事している方々も熱量があり、プロジェクトに対して前のめりにやっていきたくなる。幸せな仕事環境だと、一緒にご飯を食べた友人に向かってマシンガントークだ。頭も心も熱い。カッカしてる。 そんな気持ちをなだめるかのように、友人は1つ1つ聞いてきた。 「どうして森を整えるの?」

「誰に届けたいか」で表現はガラっと変わる

はらわたが煮えくりかえるほど怒った、と友人が静かに言った。 その内容は、「認められるように言語化しろ」といわれたことから始まったらしい。参加したワークショップの内容について、「仕事で発信する文章を書いて」と言われて書いた時に、上司から心無いフィードバックをもらってしまったのだそうだ。 メッセージ上で行われた上司と友人のやりとりを見せてもらったり、友人の意見を聞いていると、どうやら二人は届けたい対象が違ったようだった。(おそらく)広く浅く万人向けに、何が起こったかをレポート

目標を追いかけるのもいいけれど。頑張った自分も褒めてみる

イラストレーターの友人が、2月に入って毎日インスタへ絵をアップしはじめた。タイムラインに流れてくる可愛い絵に、毎日ほっこりするのが私の日課にもなった。 1枚の絵は「クマ」縛りで毎日考え、約2時間かけて書き上げるのだそう。「書くネタも尽きるし寝る時間も遅くなってて。毎日続けるって本当に大変なんだね」と、寝不足の目をこすりながら友人が言った。 今年はイラストの仕事をもっと増やしたいと言っていたから、露出のためにも頑張っているのかな。と思っていたけれど、どうやらそれとは別に、違

ライターになって心がけた「守破離」

これまで、ライティングのスキルアップは「守破離」でPDCAを回してきた。 「守破離」は修業の理想的なプロセスを3段階で示したもの。師や流派の教え、型などを忠実に守る「守」、それを疑い、自分なりのやり方を模索する「破」、新しいものを生み出す「離」だ。 「守」で意識している2つのこと私がライティングで行う「守」の部分は、2つ。 ひとつは文章そのものの型を守ること。これはハウツー本などに載っている内容を実際の記事で使ってみたり、取り入れたりすることを指す。私が参考にしているの