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「名刺で見る、会社の変遷!」 My Story 〜デザイン経営への道 vol.4

こんにちは。&D、Cotton’sの尾崎美穂です。「My Story 〜デザイン経営への道」では、私が実際に行なってきた「デザインを活用した経営改革」について綴っています。vol.4では、その取り組みのひとつ、Cotton’sの「リブランディング(既存のブランドを時代や顧客に合わせて見直し、再構築すること)」に触れていきたいと思います。

とはいえ、「ブランディングとは?」「VI(ビジュアルアイデンティティー)とは?」というお話はさておき。名刺の変化を見ることで、会社の変遷をご覧いただけるのではと、4つの時期の4種類の名刺をご紹介します。デザインの違いによって、印象がどのように変わるかなどもご覧いただければと思います。

1991年〜
❶「創業以来のデザイン」

私が入社したころ、すでに使われていたのは、こんな名刺。
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背景

1991年の創業当時はイラストレーター数名で制作を行う、いわば「イラスト工房」というイメージの会社だったそうです。デザインオフィスとして展開した東京支社では「デザイン」というよりも「オペレーション(デザイナーがデザインした原案を、指示に従いながら形にする)」がちでした。しかも私の入社した2011年のデザインの仕事量はイラストよりも圧倒的に少ない時期でした。

デザイン

[ logo ]
原色に近いグリーンや手書きのようなドローイングで、元気で親しみやい印象があり、イラストレーター 集団であることを想起させます。

[ name card ]
入社早々、このフォーマットに則り自分の名刺を作るのですが、私はその際、つい、文字のサイズやバランス、字間、行間、余白のとり方なんかを調整したくなってしまいました…。が、新人が勝手にそんなことをしてはなりません。。でも、そう思ってしまうほどに、デザインに関しては追求されていない印象でした。

名刺右下にあるグレーの四角は、当時資本提携していたデザイン会社のロゴシールを貼る印です。決して私たちは子会社ではなかったのですが、他社からはそのように写っていたようです。Cotton'sは下請けのような存在で、営業を委ね、受動的な経営を行っていたように見えました。

2013年〜
❷「自立への第一歩」

入社から2年目、会社のリブランディングを提案し、できた名刺はこちら。
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背景

下請けからの脱却!営業も経営も他社に委ねず、自立を目指していた時期です。東京支社の経営状態が不安定な中、通常案件を続けながらも、私たちの「あるべき姿」を模索し、新たな顧客や案件をみんなで開拓しようと試みます。

営業活動の中で、❶のデザインでは、私たちが目指す提案型のデザインや、当時の社員らしさが体現できていないと感じ、リブランディングすることを本社へ提案しました。

デザイン

[ logo ]
当時の社員のほとんどが女性。サービスの中にも表れる女性的なきめ細やかな対応や、優しさを感じられるデザインに。さらに社員から感じ取れる芯の強さや、凛とした佇まいをプラスしました。

[ name card ]
書体はゴシック系を使い、可読性や分かりやすさを重視。裏面のデザインは、ストライプをあしらい、カジュアルで若々しい印象(私を省けば当時のスタッフの平均年齢はかなり若い!)を出します。
ロゴでも表現している「優しくてきめ細やかな対応」を表現するため、色のトーン(色調)は「ペールカラー(明度が高く彩度が低めの淡いクリアな色合い)」を採用。その中から、社員の好きな色を設定してもらい個性が感じ取れるものに。

2019年〜
❸「夢を語り合う」

遊び心を加えようと試みて、できた名刺はこちら。
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背景

みんなで行なった必死の営業の努力が少しずつ実り、顧客も社員も増えたことで、神谷町にある飾り気のない事務所から、快適で私たちらしい場所への引っ越しを考えます。
物件をみんなに募集したところ、木の温もりのあるリラクゼーションスペースの居抜き物件を発見!しかも神楽坂駅から15秒という素敵な立地条件。100%きゅんときたため、即決。

会議室へと変化した元足湯スペースで、私たちの妄想が広がります。みんなで理想の姿や将来の夢を描いたり、様々なアイデアを出し合ったり。そんな中、今のワクワク感を表現したくて、様々なデザインツールに遊び心を加えていきました。

デザイン

❷の頃から年月が経ち、社員は年齢と経験を重ねたため、名刺は横型で明朝系の書体を使用し、少しだけ大人っぽさを演出。新しいオフィスでいつかウサギさんを社員として迎え入れようと、当時は本気で思っていたため、裏面にはウサギさんのイラストを。(ウサギさんはナイーブなことを知り、その後、リクルートを断念…)
❷の名刺に引き続き、社員それぞれの個性を感じるカラーバリエーション。前回よりも少し濃度を下げて大人っぽく。

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2020年〜
❹「夢に向かって進む」

私の社長就任を機に2回目のリブランディング。今の名刺はこちらです。
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背景

2019年に取締役社長に就任しました。それまでは、創業者を常に意識し、創業者や経営層、そして社員の想いを中心に経営を行ってきました。ですが、自分が社長になるということは、私の意志や強い想いが必要であることを実感。
そこで、社員の姿や彼らの夢を教えてもらいながら、ビジョンもミッションも立て直し、私が叶えたい会社の姿を体現します。

どんな会社でありたいか。そのひとつとして「みんな(社員)が主役」という考えを立てます。それは、どんなにキャリアや年齢、性格が違っても、それぞれが個性を発揮して主役となり、自己主張しあうのではなく「お互いを尊重しあえる」状態であることを指しています。

デザイン

「みんなが主役」を体現するため、名刺の表面では、社員それぞれの名前が引き立つようなデザインに。ともに過ごした年月で、経験も実力も深まった社員を目にし、お客様には「Cotton'sを通して社員を見る」のではなく「社員を通してCotton'sを見てほしい」と考えました。最近は心強い男性社員も増えてきたことから、今までよりもスマートに仕上げます。(そのようなトーンは、事業拡大のため引っ越した新しいオフィスの内装でも体現しています。)

表裏の色をあえて変えることで、さらに豊かなそれぞれの個性を表現。社内のアートディレクターに、下記の条件で色を設定してもらいます。
●表面:引き続き個々が設定したメインカラー。
●裏面:その社員っぽさが出て、なおかつ表面を引き立たせるサブカラー。
表面の濃淡ではなく、意外性ある組み合わせで新鮮さを出してほしい。

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会社の変遷に伴う名刺の変化をご紹介しました。デザインツールは、会社や社員と共に「変化」「進化」するものなのですね。

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