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知らなくてもいいこと

新しくスタッフブログを作り、「知らなくてもいいこと」と命名しました。それは、このブログで話題とするのが、日本でふつうに生活していくためには“知らなくてもいい(かもしれない)こと”だからです。

私たち(ホープフル・タッチ)が活動してきたトルコ、シリア、スーダン、カンボジアの現状や人々、生活、社会のことなんて、日本で生きているなかで必要な情報ではないかもしれないと思っています。

正直、日本人として日本で生活するぶんには、シリアの戦争や避難民、スーダンのデモや民政移管、カンボジアの水上コミュニティのことなんて、知らなきゃいけないことではありません。高校生の頃から10年以上なんらかのNGO活動に関わり、自らこの団体を立ち上げ、細々とでも活動を続けてきた者がこんなことを言うのはなんですが。。。

私たちは弱小NGOなので資金がいつまで続くか、いつも不安を抱えながらのギリギリなので、切羽詰まってお金が必要、広報が必要ということは事実です。でも、世界の色々なことを無視しながら、無関心でいながら、偏見をもちながらでも、日常生活に支障はないのが今の“日本”であるという事実も感じています。

“知らなくてもいいこと”で放っておいても何の問題もないという事実が、望ましいのかどうかは、人それぞれに考え方があると思います。

一方で、私たちの活動地域に限らず、世界の動きを“知らなくてもいいこと”として放っておけないことを実感し始めている人も、増えてきている気がします。

別に人道的・慈善的な思いを持っていなくても、世界がどれだけ繋がっているのか/互いの生活に影響を及ぼし合いうるのか、今回の新型コロナウイルスの感染拡大と生活への影響で感じた人は多いのではないでしょうか。

遠い国で起きていることは、「知らないし想像がつかない」という声をよく聞きます。「なにかできたらいいけど、自分ではわからないから」という想いをもってくださる方もいらっしゃいます。

それは、私たちのような何らかの形で携わっている者がうまく情報発信できていないという鋭いご指摘でもあります。

もし、どのように世界を想像できるかご提案できるとすれば、新型コロナウイルスで世界が直面している影響は、シリアからの避難民の方々が2011年から体験してきた生活と、まったくかけ離れているとは言えません。

子どもが学校に行かれない
仕事がなくなる
収入が少なくなる・なくなる
行動が制限される/一定地域から出られない
事実に関わらず国籍だけで偏見をもたれる(感染していないのにアジア人というだけで感染者扱いされる)
自分の国に帰れない(感染予防により世界中で国境閉鎖や出国・入国規制措置が取られている)
いつ自分の健康や生死が脅かされるかわからない
この状況がいつまで続くのかわからない .....


もちろん、飛躍しすぎた想像の方法かもしれません。事態は大きく異なります。

そんな想像をしたところで、自分の生活においてなんの解決にもならないでしょうし、それこそ“知らなくてもいいこと”かもしれません。

私ができるのは、そんな“知らなくてもいいこと”を、私たちが活動を通じて知ってきた範囲でお伝えすることぐらいです。私たち自身が知らないことのほうが、無限にあります。

冒頭の絵は私たちの活動のなかでシリア難民の子どもが描いたもので、「忍耐が終われば勝利」という題名です。「勝利」の形は人それぞれですが、いま世界は、希望を失わず耐える時かもしれません。

※noteのmiho_htのブログでは、特定非営利活動法人ホープフル・タッチのスタッフブログ「知らなくてもいいこと」を筆者本人により一部修正して転載しています。

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