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Plain Englishでplainに生きる

自分の話の途中で迷子になることはありませんか?

これは私の悪い癖なのです。臆病者なので、こんなことを言って相手は気を悪くしないだろうかと気にしてしまいます。すると、余計な表現を挟んだり、回りくどい表現を使ったりして、話している当人が話の本筋を見失ってしまうことがあります。言葉数は多くなるし、説明が冗長になるし、相手には伝わらないし、良いことは何もないのです。

そして、この悪い癖は、日本語を話している時にも、英語を話している時にも発生します。つまり、「どう伝えるか」の問題であって、語学力の問題ではないのです。もしあなたが私のように悪い癖に悩んでいるなら、Plain Englishの考え方を参考にしてみてください。


Plain Englishとは何か

Plain Englishとは、読み手あるいは聞き手が、余計な労力をかけずに理解できる言葉で情報を伝える方法のことです。すなわち、読み手にとって読みやすい聞き手にとって聞きやすい伝え方を指します。ちなみに、Plainとは「明確で分かりやすい」という意味です。

Plain Englishという考えは、1970年代頃に生まれました。アメリカでは、連邦政府が、法規制はそれを「守るべき人々が読みやすいもの」であるべきだという考えを打ち出します。1980年代、政府主導の運動は一旦下火になりました。その一方、法律家たちがPlain Englishに目をつけ始めます。

現在に繋がるPlain English推進の動きが本格化したのは1990年代に入ってからです。歴史について詳しく知りたい方は、こちらのウェブサイトをお読みください。

Plain Englishは、子供向けの言葉にするとか、英語のレベルを下げるとか、メッセージを短くするとか、あるいは、正しい文法を用いて書くというようなことではありません。


Plain Englishの文章の作り方

では、私たちが作る文章を「読み手にとって読みやすい」「聞き手にとって聞きやすい」ものにするためには、どうしたら良いのでしょうか。

各国政府をはじめ、さまざまな民間組織がガイドラインを設定しています。どのガイドラインを見ても主旨は変わりません。ここでは、アメリカ政府のガイドライン、イギリスの民間組織Plain English Campaignのガイドラインを参考に注意すべき点をまとめます。

一言で言えば、とにかく簡潔に聞き手/読み手に合わせた語句を用いることが大切です。

文章を作る前にやること
• 読み手/聞き手が誰か定義する
• 書く/話す前に情報を整理する

文章を作る際に気を付けること
• 短い語句を使う
• 日常的な表現を使う
• 一文を短くする(15-20ワード)
• 能動態を使う
• 主語・動詞・目的語を近くに置く
• 肯定文にする
• 専門用語を避ける(使う場合は説明する)
• 動詞は名詞化しない
• 名詞を何個も並列させない

文章を作った後にやること
• 読み手/聞き手に合った文章か見直す


Plain Englishの身に付け方

冒頭で紹介した私の悪い癖。自分の話の途中で迷子になってしまう状況は、日本語を話している時にも、英語を話している時にも発生します。「どう伝えるか」の問題であって、語学力の問題ではないというお話をしました。

Plain Englishは「どう伝えるか」の一つの方法なのです。Plain Englishを使うためには、私たちの意識を少し変える必要があります。意識を変えて文章を書く練習が必要です。そして、その練習は英語でも日本語大丈夫です。日本語で出来ることは、英語でも出来ます。でも、日本語で出来ないことは、英語でも出来ないのです。

こちらの記事は、Plain Englishのガイドラインと身に付ける方法について非常に分かりやすくまとめて下さっています。


Plain Englishとやさしい日本語

「やさしい日本語」という言葉を聞いたことがありますか?

「やさしい日本語」とは、日本語に不慣れな外国人にもわかりやすくした日本語のことです。阪神大震災の時、被災した多くの外国人が、必要な情報を得られずに困難な状況に陥ったという経験から生まれた考えです。

政府としてのガイドラインは今のところないようです。やさしい日本語がどんなものかは、NHK NEWS WEB EASYが参考になるかと思います。

漢字にルビを振る、一文を短くする、など根本的な考え方はPlain Englishと似ています。Plain English = やさしい英語、と訳している記事もあります。

同じニュース記事という点で比較すると、NEWS IN LEVELSのLevel1が「やさしい英語」と言えるかもしれません。

Plain Englishには、やさしい日本語同様、災害時にあらゆる住民へ情報を伝達するという目的もあります。とはいえ、昨今は、ビジネスにおいて強く明確なメッセージを発信するための手法として紹介されることが多いようです(特に日本では)。

しかし、Plain Englishもやさしい日本語も、読み手にとって読みやすい、聞き手にとって聞きやすい文章を作るという考え方は同じです。相手に合った適当な語句を使って、簡潔でわかりやすい文章が作れたら成功、ではありません。相手が理解できたと感じられたかどうか、が重要です。また、plainに話せることは、plainに考えること、plainに生きることに繋がるのではないかと思います。plainな生活を目指して、私も日々練習です。

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