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どんな試験にも大切なのは「自分で考えること」:独学で日本語教育能力検定試験に合格した理由

日本語講師の資格を取った理由

そもそもの発端は、2017年度の日本語教育能力検定試験に合格した知人から、問題集と過去問1年分を貰ったことである。その当時、なぜか周囲に、日本語講師を希望する人または日本語講師である人が多かった。

私が保有するケンブリッジ大学英語検定機構が認定する英語教授法資格のCELTAの研修は、基本的に実践に重きを置いています。もちろん理論にも触れますが、即授業に展開できるようになるために必要な要素に限定されており、その裏付けである理論に関する知識に不安がありました。英語だろうと日本語だろうと、言語学や学習理論は根本的には変わらない。言語学や学習理論を勉強するなら、モチベーションを高めるためについでに受験しようと心に決めたのが2018年のこと。が、2018年度の申込締切日を完全にスルーしてしまい、一旦ストップ…。

そして2019年、モチベーションは全く上がらないまま夏を迎えてしまったのですが、とりあえず出願はしようと願書を購入しました。しかし、その出願プロセスが私の心に火をつけたのです!

そもそも、願書を買わなければいけないことは衝撃でした。しかも大手書店じゃないと売っていない。願書は手書きだし写真も貼らなきゃいけない。当然ながら郵送のみ。おまけに受験料が高いし、支払いも手間

今回受からなかったら、二度と受けないかも。

心の底からそう感じ、8月後半にして心のギアを入れ替えたのでした。


使用した教材

そこから私が使った教材は以下の3つ。

① 合格するための問題集(アルク)
② 過去問(H28~H30)
③ 外務省は厚労省等の統計・白書

①と②のH28は知人からの貰いもの。①はH28版だったので、掲載されている施策や統計に関する情報が最新ではなかったため、③の調査が必要になったのだが、最新版を購入すれば③は不要かもしれません。


Step1: 問題集を解きながらノートを作る

まず、取り組みたいセクションから順に、さらっと一通り解きます。当然ながら、ほぼ全問不正解。しかし、ここで正解しているか否かは問題ではないのです。一通り解く目的は2つ。

① 出題されるトピックを把握する
② そのトピックを自分なりにまとめる

問題の解説は必ずしも分かりやすいものではありません。解説で不十分だと思えば、ネットや本で必ず調べてノートにまとめます

ちなみに、私はマイクロソフトオフィスのワードを使いました。その理由は、目次機能と検索機能があると、後々振り返るときに便利だから。しかもiPhoneに保存しておけば、いつでもノートが持ち運べるし見返せる。タイピングが苦手でなければ、パソコンでノートを作るのが絶対おススメ!

私のノートは最終的に100ページを超える大作になったのですが、ノートを作る際に注意をしたいのが、参照元を丸写しにせず、自分なりに理解しやすい表現で書き換えること


Step2: 過去問を解く

問題集の最後まで行かなかったとしても、ある程度出題されるトピックが理解出来たら過去問に進んでOK。過去問も購入しなければいけないというのも腹立たしいけれど、過去問は3-5年分入手しておくと良いです。

しかも過去問には解説がついていない。本当に腹立たしい!

しかし、オンラインで丁寧な解説を提供してくれている先人が沢山いるので、ありがたく使わせて頂きましょう。

私が利用させて頂いていたのはこちら。
毎日のんびり日本語教師 http://nihongonosensei.net/

サイトが見やすいし、情報も分かりやすくまとまっています。その上、過去問だけでなく文法の解説も丁寧に掲載されており、とても助かりました。

では本題、過去問を初めて解くに当たっての目的は(また)2つ。

① 現時点での自分の理解レベルを知る
② 問題集から漏れているトピックを拾う

とにかく、解答する→解説を読む→間違った所は確認してノートにまとめる、というのを全問について徹底的に行います。問題集の時と同様、初回は、答えが合っていようと間違っていようと関係ないです

とにかく、分からないところは確認して、ノートに自分の言葉でまとめるのです。


Step3: 過去問をあと2回ずつ解く

ずばり、見出しの通り。

過去問3年分を1回ずつ解き終わってから、2巡目、3巡目と進んでいく方が良い。ここでも、間違った問題は必ずノートにまとめること。既にまとめてあるトピックなら復習し、新しい気付きがあれば補足したり、書き直します。

そして、ここから先は答えが合っていることが重要になってきます。答えたものの根拠が説明できるようになっているのが理想です(とはいえ、トピックが幅広すぎるので難しい)。

私は手元に3年分の過去問しか用意していませんでした。しかし、直前に出た問題が再度出題されるとは思えず、更に遡って2年分については解説サイトの解説を読んで出題されたトピックを調べ上げました。恐らく、いくつか全く見たことのないトピックが見つかるはずです(しかもこういうのが意外と今年度に出題されたりするんですよね)。これは、余裕があればで良いでしょう。


試験の当日~合格発表

私は当日に頑張っても今更無理と思っている派なので、一応iPadに入れたノートくらいは朝の電車で確認しましたが、試験会場に入ってからはぼんやり過ごしました。

大学の教室の椅子の硬さ。
試験の拘束時間の長さ。
試験のプロセスの冗長さ。

もう無理!

絶対に受からないと無理!

二度とこの空間に戻りたくないと強く思ったからなのか、受かった

速報サイトの自己採点で、過去の様子を見ると何とか合格できそうな雰囲気だったので心の底から安堵。

それくらい、試験制度・運営については不満だらけ(笑)


合格したら私は日本語教師!?

な、わけがない。

恐らく420時間の講座に通う方が、教え方に対する心構えが出来て来ると思う。私は英語講師という肩書がついているので、教え方については何となく自分なりのスタイルがある。英語が日本語になっただけなんだから大丈夫、とちょっとだけ思ったりしたけれど、日本語の壁は厚い

まず、日本語を外国語として学んだことがないので、イメージを掴むのが難しい。幼児に言葉を教えるのともわけが違う。意識をして話している第二言語=英語は、説明も出来るし、言語のレベルをコントロールするのも容易です。一方、今まで完全に無意識に話し続けてきた言語のコントロールって本当に難しい。

だから余計に感じてしまうのが、英語のネイティブスピーカーは未経験から突然小中学校で英語を教えられるのかという疑問なのです。少なくとも、日本政府は、未経験から日本語を教えるのは教師の質が担保されないから、日本語教育能力を養成する講座や資格を設置したのではないでしょうか

日本語教育と英語教育の矛盾点に、やはり納得できない気持ちばかりを再確認した、というのが日本語教育能力検定合格後の私でした。

この記事を書いたわけ

この対策プロセスは、本試験に特有のものではなく、英語検定にも使えるんだよなーという気持ちから記事にしました。

TOEICやTOEFLなどの検定対策授業を行っていて、解答が合ってる間違っているばかりを気にし、講師が言ったことの内容を性差せずに無言でノートを取る生徒が少なくないのです。

ここで言いたいのは、独学でも通学でもなんでも良い。
とにかく、言われた通りではなく、自分で主体的に考えること、それがどんな試験においても合格への近道であるということ。

(ちょっと英語教育への批判も入っているけどね)

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