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保育の質へ警鐘を鳴らします。

今日はちょっと真面目に数字とにらめっこ。保育の質の低下が叫ばれているのはなぜか?整理をしておきたい。

待機児童数が、1994年の公表開始以来、今年は過去最少だという。

今年4月時点で、昨年に比べ4333人減って、1万2439人
認可保育園の定員が、過去5年間で約46万人も増えて、待機児童の減少につながったことが大幅な改善につながった。ただ、政府が掲げた2020年度末の待機児童ゼロは厳しいかともという見解だ。

自分自身の保活(当時、東京都に住んでいた)を振り返ってみても、5年前娘のときと、3年前息子の保活を比べてみても、周りの保育園の入園のしにくさは肌感覚でも圧倒的に改善されたと思う。(3年前は新設園が家の周りに9園ほど一気に増えた時期で驚いた。周りに落ちたという人をあまり聞かない。意図的に特定園に絞って落ちることを良しとして、育休を伸ばす人は多々いるのは事実)

国・都道府県主導の認可保育園の設立の圧倒的な力の入れっぷりで、歪みがきたのが、保育人材の確保である。

採用担当の方にお話を聞かせていただいたが、新園のハコができてから、オープン前2ヶ月ほどの怒涛の採用が本当に恐ろしいという。

すでに園児募集は開始、決定しており、保育士人材が足りないからオープンしない選択肢はもはやない。
オープンできない場合は国や市から多額の補助金を受け取れないということになる。とにかく採用を埋めることに追われるのだ。
そうなるとお分かりだろうか・・・。
選ばない、選べない採用が起こります。
採用担当の方も、恐怖との戦いだという。
理想の形でない採用が行われると、
保育士自身にとっても、保育園にとっても、そして、最終的には、子どもにとって、幸せでない。
そう思います。

平成30年11月の保育士の有効求人倍率は3.20倍。

全国で最も高い東京都では、なんと。6.44倍!

ちなみに、平成30年11月の職業全体の全国有効求人倍率は1.63倍。

保育士”様”。

そんな声が聞こえてきそうな時代がきてしまった。

子どもの命を守り、生きる根っこを育む保育士は、

現場に立った方こそ分かると思うが、誰でも簡単にできることではない。

粘り強さ、体力、精神力、知的さ、冷静さ、観察力、リスクマネージメント力、柔軟さ、コミュニケーション力、表現力

伸びしろも踏まえて、これらの”基礎”スキルを持って(育てて)こそ、現場に飛び込めるはずだが、実際はどうだろう。
今の人手不足の状況では、専門学校を卒業してすぐ担任を受け持つ保育士も少なくないという。成長をさせてもらえる場を奪われ、若い保育士たちの責任は、重くのしかかる。

待機児童の改善と女性の社会進出への未来へ急ピッチで進んでいるが、中身(保育の質)が追いついていないのは事実ではないだろうか。

待機児童の解消が進んできている今、この保育士の売り手市場が、おそらく今を過渡期に、少しずつ変わってくるはず

保育士になりたい、やってみたいと飛び込んで来てくれた意志ある方々を、丁寧に、そして本気で成長していただく学びの機会を急ピッチで作るべき。

でも、ここで記しておきたいのは、学びの機会ができただけでは、本質的には保育士の質は、解決しない、ということ。
なぜなら、”学べる時間をとること”自体が難しい業界だから。
“認定こども園の時代”(無藤隆•北野幸子•矢藤誠慈郎著)の本を読ませていただいたが、週に一度1時間全員で勤務時間集まって、研修やチームワークビルディングの場をつくるのもやはり難しい業界で、もし、それを国として仕組み化するとする。
(例えば。8時間勤務のうち、一週間に1時間、2時間集まる機会をつくり、その間パートさんの方にクラスを見ていただく)
すると全国的には年間数十億円くらいはかかるという

保育士さんの8時間労働のうち、準備や自分自身のスキルアップや社内コミュニケーションへ使える時間は、ほぼないのが現状ではないだろうか。子どもを危険から守るため、目を離せないという職業上、大人だけの会社のように、”Meetingしよう!”すらも、すぐにはできない現実がある。
(もちろん改革に踏み切ってる園もある)
人材投資、そして働き方を根本的に変えないと、保育の質は絶対にあがらない。

保育士になったからゴールではない。
むしろ現場に入ってからの方が、学び続けたいことが増える職業だと思う。(子ども達や環境に合わせながらその時、学ぶべきことも変化するはず)

こうなると、やはり、官民一体になって、社会を巻き込みながら動かす必要があると最近は考え出している。
私の貢献できる分野は何か。

何ができるか、正直まだ答えは出ていない。

だが、このままでは保育業界は、あまりに脆い。

でも、一つ確固たる覚悟は、
保育の質をアップデートさせ、保育士一人ひとりが輝く未来を作るのだ、ということ。

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