一律から多様へ
「茅乃舎だし」シリーズご存知でしょうか。福岡育ちということもあり、すごく好きで。焼きあご、野菜、昆布、極み、鳥、、、いいですよね(笑)
福岡へ帰る際は、東京駅の茅乃舎に寄ったりもします。色んな種類のだし(その他も)が、ずらーっと並んでいて、人におすすめはしたいけど、「どんな味?」と聞かれると説明しづらい。
「百聞は一見しかず」といいますが、そういうとき、試飲・試食があると助かりますよね。少量で一気に解説してくれて、「なるほどね」「いいたいこと分かった」となり、とてもありがたいです。
つまり、「感覚」に関することを伝えたいと思ったとき「体験」が一番理解を促してくれることがある、ということです。
最近では、VR(バーチャルリアリティー)を用いた、障害に関する擬似体験の提供が増えてきました。これも「体験」の提供によって、「感覚」の「違い」を伝えるものですよね。
ロービジョンという、感覚・見え方の「違い」を伝えたいと思ったときにも、やはり「体験」の提供ツールには助けられています。
視覚障害ゴーグル(三和製作所)を用いたロービジョン体験会を始めて数年経ちました。これに助けられて、いくつかの見え方の種類を伝えてこれました。
焼きあご、野菜、昆布とあるように、視覚障害ゴーグルを用いることでは、白濁、視野狭窄、黄変という状態について、一律な「体験」が提供できます。
ですが大前提、見え方は一人一人違います。ロービジョン者も含め晴眼者同士でも、です。一律の「体験」は本物ではないということも、きちんと伝えないといけない。
一時、「弱視体験で何を伝え(てしまっ)たのか」と頭を悩ませた時もありました。そういう時を経て、今大事に思うのは、一律の「擬似体験」の提供から、その人その人の感性を磨いていくということです(この言葉は受け売り)。
焼きあご、野菜、昆布…(笑)それをベースに料理していくために、どんな材料と組み合わせるかとか、煮出しの濃さはどうかとか、「そしたらきっとこんな感じ(味)になる」というところまで、一人一人が想像する力をもつことが必要です。
私のよく知るロービジョン者の場合、視力低下と中心暗点という「だし」がベースです。
これを、擬似体験を通じて「なるほどね」「いいたいこと分かった」までもっていくことができたら、次に理解を助けてくれるのは、よりリアルな擬似体験ではないんだと思います。
条件(場面・環境)の組み合わせとか度合いを、自分の頭で想像して、「ああだったらこうだろう」とピンとくるまで、本人と関わったり、トレーニングできれば。。。
そんなことを考えた、東京〜福岡までの帰りの新幹線でした。茅乃舎考えてお腹が空いたので、終わり(笑)
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