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ナチスの軍服を着るということ
「これはナチスドイツの軍服です」
そう言われたらあなただったらどんな反応をするだろうか。
反応は主に三つあるだろう。
興味ないから「へー」と聞き流す
興味津々になって「格好いい」やもっと話を聞きたいと思う
着ていることに驚きと嫌悪を感じる
私は三つ目だった。
正直に言ってしまえば、衝撃だった。
恐怖心さえ覚えた。
この人が公の場でなんでもないかのようにナチスの軍服をコスチュームとして着ていることも
それがナチスの軍服であることを言っていることも
それを着ているひとがこの場に参加できていることも
その服を着て歩いているにも関わらずに周りの大人がだれも気にとめないことも
すべてが恐ろしかった。
と同時に日本人の歴史認識の薄さに気づかされた。
好きだから、趣味でしょ?
そこまで神経質にならなくても‥
別にナチスがいいと思って着ているわけじゃないから
この文章を読んだ人はきっとそう思うかもしれない。
でも私はどんなに表現の自由があったとしても表現していいことと悪いことがあると思う。
特にナチスは。
私はナチスについてすべてを知っているわけでもないし、専門で勉強しているわけでもない。でもナチスドイツが行ったことがいかに非人道的で、言葉にできないほどのむごたらしいことを行ったか。
それは検索エンジンにナチスドイツと打てばすぐに分かることである。
ナチスドイツ関連の映画を何本か見て、私は人間というものがこれほどまでに残酷な生き物なのかと思わされた。
なぜ罪のない人々をこんな風に扱えるのか。
ナチスが行ったことを絶対に繰り返さない。
そのためにドイツではナチスの歴史教育を徹底的に行っている。
街にはユダヤ人迫害の歴史が分かるようなモニュメントがある。
歴史博物館もある。
そしてナチスの歌を歌うことも、その服を着ることも法で禁じられている。
ヨーロッパの人々は日本のような手の挙げ方をしない。
指を一本立てる。
ナチスドイツを想起させるものはしないように、でも絶対にその歴史を忘れないようにしている。
私はその軍服を着た人に会った時に言葉を失ってしまった。
声が遠くに聞こえるとはこういうことなのかと初めて経験した。
趣味かもしれないし、ただ単純にかっこいいと思っているだけかもしれない。
でもナチスが行ったことを知った上で、その軍服がかっこいいと思えるだろうか?
私は絶対に思えない。
当時その服を着て、多くの人を殺してきた人がいることを知ったとき、その服を見るだけで怖い。心臓の鼓動が大きくなる。
おおげさだと思うかもしれない。
でもそう思うこと自体が、未来に同じことを繰り返す種になっている気がする。
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