サピエンス科学(Sapiens Science)#22
(22)
――『発見(ディスカバリー)』
これは気づきの先にある知見を探す科学(サイエンス)である。
芸術家が持ち得る観察というものと似ているかもしれないが、しかしながら『発見(ディスカバリー)』とは距離がある。
物理的にも心理的にも地平線の向こうに『何があるか考え、それを探して手に入れる行動をし、そして自ら体験して、蓄積する』これらが『発見(ディスカバリー)』における「科学過程」である。
この実体験をもって帰結する――「Art(アート)」もまた自らを進化させようとするホモ・サピエンスとしての個体認識する意識であり、正に織田信長は「Art(科学)の体現者(アーティスト)」である。
その視点で彼の成してきた事跡を丁寧に見直してゆけば、如何に彼が『Art(科学)(アート)』を成してきた「Art(科学)の体現者(アーティスト)」であるか理解して頂けるだろう。
つまり彼は『何があるか考え、それを探して手に入れる行動をし、そして自ら体験して、蓄積する』を持って、現代的に言えば彼が関わる社会分野をボトムアップとアップデートしたと言える。
そしてそれが同時代のホモ・サピエンス社会(日本社会)にどのように影響を与え、進化させたか。
つまり中世から大航海時代というグローバル文明へ参加する『ジパング』を造り得たか、考えていただけるのではないかと思う。
だが、唯、ひとつだけ、随筆家(エッセイスト)は筆を止めて言いたい。
それは彼の為に不幸を得たものがどれほどいたかという皮肉だ。つまり徳川家、浅井家、荒木家、挙げればその数は枚挙にいとまがないが…。