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サカダワ月、突入

■サカダワ・ドゥーチェン

先週の23日(土)より、チベット暦四月へと突入しました。
いよいよサカダワ月の始まりです。

西暦2020年6月5日(金)の「サカダワ・ドゥーチェン」(Saga Dawa Düchen)の大祭をピークに、福徳・善根をひたすら積む月間となります。

「サカダワ」とは、仏教の教主であり我らの「師匠の中の師匠」釈迦牟尼仏が、インドでお生まれになり、悟りを開かれ、涅槃された(つまりお亡くなりになった)三大イベントが集中してこの四月に起こったことから、四月を特別な期間とするのです。

ちなみに「サカ」(Saga)とはチベット占星術の用語で、サンスクリット語の「ヴィシャーカー」(Vishākhā)もしくは「ヴァイシャーカ」(Vaishākha)と呼ばれる月(month)に該当します(現在でもヒンドゥー教暦では4月/5月をそう呼称します)。
「サカ」は東洋占星術でいう、二十八宿のうちの氐宿(ていしゅく)に該当するようですね。
そして「ダワ」とはチベット語で、「月」(month)を意味します。

チベットの伝統によると、釈尊のご生誕日はチベット暦四月七日。
今年(2020年)の西暦に換算すると、5月29日(金)。
つまり明後日です!

そして釈尊の成道(悟りを開かれた)日と涅槃日の2つは、いずれもチベット暦四月十五日とされています。この日を「サカダワ・ドゥーチェン」(サカダワ大祭)と呼んでおり、釈尊の生涯に関する「四大ドゥーチェン」(四大祭)のイベントの1つとして、盛大にお祭りします。

サカダワ月に積んだ善業も悪業も、1億倍に膨れ上がると信じられています。そのため、ひたすら悪行を避け、福徳を積むことが奨励されるのです。


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上の写真は、カトマンドゥ市内を練り歩く、地元の学生たち。仏陀の記念日をお祝いする行進に参加しています。

私がかつてネパールのチベット人家族の元にホームステイしていたとき、ちょうど正月もサカダワも迎えたのですが、そのときの印象がすべてというか、私個人のサカダワ観を形成していますので、その一端をお話しします:

■サカダワあるある「寺で汗をかく」

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サカダワ月には、信仰の拠り所となる寺院や巨大仏塔(ストゥーパ)に赴いて、各自で何万回も五体投地をします。
また「コルラ」といって右回りに仏塔をグルグル歩き続ける、独特の礼拝もします。日本仏教で「右繞」(うにょう)と呼ぶやつです。

上の写真はネパール有数の聖地であるボーターナート・ストゥーパですが、仏塔の上まで人が押し出されて、右繞しています。

ホームステイ先のお爺ちゃんは、「夜中からスタートさせて満行日にコルラを1万回終わらせた」と言ってました。
もちろん1日で1万回は無理で、何週間にもわけて積み立てていき、サカダワ・ドゥーチェン当日に満行を迎えたそうです。

お爺ちゃんは若い頃、徒歩でチベット高原にある聖地カイラス山(Kailash)まで巡礼し、さらに五体投地しながらカイラス山周辺をコルラしたという猛者でした。多くの偉大な先生に師事して仏教を学び、一家の大黒柱として家族を支えながらも、修行を怠りませんでした。

余談ですが、数年後、お爺ちゃんはこの世を去りました。
その際、ご遺体が縮んで小さくなってしまったといいます。

人生の最期に結果を出す行者は、生涯を通じてたくさん修行し、他人に気前よく施し、こういうイベントでも地道に、善を積み続けるのでしょう。
お爺ちゃんのことを思い出すと、修行の大切さをいつも痛感します。

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話を戻しますと、要するにサカダワ月というのは、汗をかく、アクティブな修行をするという印象です(そしてこの時期のネパールはひどく暑い)。

■サカダワあるある「肉食を断つ」

サカダワ月の1か月間、完全に肉・酒を断つという人もいますし、15日目だけ断つという人もいます。とにかくサカダワ・ドゥーチェン当日には肉食を慎むことで、慈悲の心を起こし、今まで食べてきた多くの動物たちに善を廻向するわけです。

■サカダワあるある「お金を喜捨する」

サカダワになると市街にあふれ返る、乞食の数々。
「乞食」といっても、生活苦の人だけでなく、「サドゥー」といって世を捨てて物乞いしながら修行しているヒンドゥーの行者さんも含めた呼称です。

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上の写真は、ネパールの首都カトマンドゥにある最古の仏教聖地、スワヤンブー・ストゥーパの入口です。急な階段を上り下りする巡礼者と、参道にひしめく物乞いであふれ返ります。
ちなみに傘をさしているのは、陽射し除けです。

この期間に金銭や物品を施すと何億倍にも善行が増えるということで、多くの人々が彼らに施しをします。この時期は、小銭が欠かせません。

■日本でもやります!サカダワ特別祭

幸いなことに新型ウィルスも終息に向かい始めています。皆さまの日頃の大小さまざまな心がけ・精進が、功を奏しているのだと実感します。

とはいえ余波の恐れもあるため、気を引き締めつつ、皆さまが新しい生活様式、新しい時代へ向けて平和に前進するために、今月もサカダワ大祭のツォクを予定しています。
サカダワ大祭のツォクで積める福徳は、何億倍にも膨れ上がることでしょう。

今週中に別ページを投稿して、供養を募りたいと思います。
どうぞよろしくお願い致します。

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ボーターナート・ストゥーパの夜。
サカダワ月は仏塔に燈明を供養する人の列が、夜も絶えません。

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釈尊(仏陀釈迦牟尼)とその直弟子たち。
チベット仏教ニンマ派の総本山(六大寺院の1つ)ナムドゥルリン寺(インド、カルナータカ州)の壁画より。

見出し画像と文章中の画像はすべて筆者(気吹乃宮)撮影。


サポートは、気吹乃宮の御祭神および御本尊への御供物や供養に充てさせていただきます。またツォク供養や個別の祈願のときも、こちらをご利用ください。