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生きている店員さん

週に10回以上おそらくコンビニに通っている。大部分は昼食のためであるが、朝と夜にも行くことがありうるためこのような回数になっている。行く店は一つではなくいろいろな店舗に行っている。

さてよく行くコンビニの一つであるファミリーマートのとある店舗には「生きている女性店員」がいる。

店に入れば他の店員とは別格の声でいらっしゃいませが聞こえ、レジの会計では一緒に○○もいかがてすかーと元気の良い声で勧めてくる。ついで買いのように勧めることは出来なくなってきた世の中である気がするが、勧めてくるのはやはり店員として素敵なものを感じる。

また合間合間に一声を入れているのも彼女の特徴だ。例えば惣菜を買ったら「一緒にふきんもつけておきますね」なんて付近と一緒に声を入れるのはもちろん、Tカードを出せば「いつもご掲示ありがとうございます」なんて声が返ってくる。

一声もそうだが意識的なのか無意識的なのか、作業の合間にある「客がほとんど意識しないちょっとしたつなぎの部分」が抜群にうまい。

そんな印象をもつ彼女は生きているように見える。別に他の一般的な店員の接客が死んでいるとかそういう話ではない。この活き活きしている様子は一般的なコンビニ店員としての枠組みを一段超えているように見える。

このような生きている店員さんを見かけるとこっちも何か買いたくなる気持ちになってくる。別に容姿がとか声がとかそういう話ではない。「生きている店員」というのは客にも何かを買わせる力がある。応対だけが接客ではない。そんなことを彼女を見ていると思う。

さてそんな店員さんは昨日テンションが一段と低かった。たまたまレジで会計をしてもらったときに気づいた。彼女は風邪を引いている。

これには心当たりがあった。昨日のクリスマスの夜、店の前を通りかかったときにいつものいらっしゃいませの声が聞こえた。

いつもの声が外でするのは珍しいと思ってふと見るとクリスマスだからということで外に特設売り場が置かれチキンを売っていた。そして視界の端でしか捉えただけだが彼女はサンタのコスチュームを身にまとっていたように思う。

クリスマスの夜はとても寒かったので原因はおそらくこれだろう。健気にそして生きている店員としてのあなたにマスクの一つでも送ってあげたい。そんな気持ちになりながら会計を終えた。

ちなみに生きている店員さんの名前は知らない。

#日記 #エッセイ #コンテンツ会議 #接客

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