With/Afterコロナの妄想
新型コロナの影響が、当初の想定よりも大きく異なり、世界に大きな打撃を与え、そして大きな変化をもたらしている。きっと今、このタイミングでの身の振り方によって、企業体としても、個人としても、未来が変わってくるように思う。つまり、この大きな変化を好機と捉えて動く企業や人と、元に戻ることだけを期待する企業や人とでは、得られる果実が異なるのではないかと思う。
ただ、予測が難しい世界を一人で妄想するよりも、複数人で妄想・議論をした方が、未来の輪郭はぼんやり見えてくるのではないかと思い、自分の運営しているオンラインサロン「右腕倶楽部」や参加している「オンラインバーゆうてんか」のメンバーととも妄想・議論をしてみた。その結果を纏めて、共有したいと思う。あくまで、現時点での我々による妄想であり、これは日々更新をしていくものなので、是非、温かい目でお読み頂ければと思う。
① ”働き方”や”できる人”の定義の変化/加速
従来のオフィスに出社や顧客への訪問スタイルから、リモートワークにシフトしての気づきは、「意外にできる」ということ。もちろん、オンラインならでは難しさはあるが、With/Afterコロナでもリモートワーク比率はBeforeコロナよりも高い水準になるではないかと。そうなると、”オンラインでのコミュニケーション力”が鍵を握る。特に、熱量を持って分かりやすく伝える力とか、相手の意見に上手く反応する”ワイプ芸”的な力が必要になってくるだろう。実際にオフラインではあまり目立たなかった人が、オンラインでは目立つようになったというケースも出てきている。
従業員の働き方が変わると、マネジメント方法も変わってくる。時間や場所を制限するではなく、アウトプットベースで検証・評価していくマネジメントスタイルが必要になってくる。従業員の自主・自律を促すティール組織型のマネジメントが必要になってくるだろう。そうなると、オフラインでアウトプットをあまり出していなかった従業員は、オンラインでより顕著になってくる。実際に、サロンメンバーの中にはそういう人達を”テレワーク忍者”と呼んでいる人もいる。そういうテレワーク忍者達は、きっと新たな忍法を身につけない限り生き残っていけないだろう(笑)。
ただ、新型コロナによって、上記の流れは加速されただけであり、スタートアップや身動きとりやすい企業では、Beforeコロナの段階で、仮想空間やテレワークなどを既に実施していたり、中にはオフィスをもたない企業もある。今後もオフィスのような固定費を抑えて、より身軽な企業が増えていくだろう。
他にも、無人レジ・無人店舗・オンライン診療などもBeforeコロナの時から実現されていたので、5G*への適応やDX**(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が増していた昨今の流れがより加速していくだろう。
*5G(5 Generationの略称):第五世代移動通信システムの略称で、携帯電話などの通信に用いられる次世代通信規格のひとつ
**DX(Digital Transformationの略称):進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革すること
② 繋がりの広がり・深さの加速
With/Afterコロナでも、リモートワークが比率が一定水準をキープするとなると、移動時間が減る分、可処分時間が増えるので、それを副業、兼業に充てる人も増えるだろうし、これまで友人や同僚だけとの繋がりから、大人の部活動やオンラインサロンなど、他コミュニティとの繋がり(広がり)を持つ人も増えるだろう。幾つかのオンラインサロンを”渡り鳥”のように飛び回る人も増えてくるだろう。
実際に、日本最大のオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」ではこの1ヵ月でサロンメンバーが1万人も増加したとのこと。
そうなると、“新たな刺激を受ける”個々人が多くなるので、新たな活躍機会や成長機会を求める人がこれからもっともっと増えてくるし、単一会社・組織に長く務めることの価値は今以上に下がってくるのではないかと思う。結果として、それは人材の流動性に繋がっていくのではないだろうか。
一方で、諸外国をみると第二波が来る可能性が高いので、自粛期間が再度発生するとすると、「繋がりたい」けど「繋がれない」と気を病む人が増える可能性があるのではないか。そうなった時に、「マインドフルネス(ブッディズム)」の必要性が高まるのではないかと思う。孤独でいることに不安がなく、安定した心を確立することが、人生を豊かにするので、健全な繋がりを増やしてくことが鍵であり、それをサポートするオンラインサービスが生まれるかもしれない。
③ 感情的価値の意思決定のモノへの回帰
一方で、感情的価値で意思決定されるモノは、元に戻るのではないだろうか。Zoom飲み会で事足りると感じる人もいるだろうけども、やはり、リアルにあって会話をする・笑い合うというはやはり代替し難い価値がある。居酒屋での飲み会、お祭り、カラオケ、テーマパークやスポーツ観戦などは、一定の配慮・工夫をしつつ、貴重なモノとしてゆり戻しが起こるのではないだろうか。
同様に、学校でのオンライン教育は加速すると思うが、友達と過ごす日常、授業の合間の休憩時間の会話とか、そういう場はすごく大事になってくるだろう。
④ ソーシャルディスタンス主義者の登場
ベジタリアンなどと同じような括りで、”ソーシャルディスタンス主義者”が新たに生まれるだろう。特に新型コロナで重症化する可能性が高い人達やその関係者、又は既にそのリスクに直面した方々は、三密を避けた行動をし続けるのではないだろうか。例えば、外食ではなくてテイクアウトやドライブスルーにする、イベントなどもリアルではなくオンラインで参加など。そうなると、ソーシャルディスタンス主義者のニーズに合った価値提供のラインナップを増やしていくとビジネスチャンスになるのではないだろうか。例えば、動画に対応したパソコンのスペック改善、高機能ビデオカメラ、オンライン学習に対応したペンタブレット、SNS用プロフ写真やヘッダーの高度化なども含まれるだろう。
⑤ 都市偏重型からの脱皮の動き
都市型の生活リスクは一定程度残るだろうし、仕事の仕方も変わるので、これまでのように高いコストをかけて、都市に住むことのメリットを感じる人も減るのではないか。そうなると、その気になれば通勤もできるし、コストも安く住める地域への移住は増えてくるように思う。少なくとも、これから住居を購入する方々の判断は変わってくるだろうと思う。
そうなると、都市からの移住を受け入れる体制(コックピット型オフィスや、オープンな憩いの場など)を早く築いた地域への移住合戦が始まったりするのではないだろうか。開放性のある既存の建物をリノベーションも生まれてくるだろう。加えて、今住んでいる住民をベースにしたスマートシティ化にプラスして、新たな住民が移住しやすいコンセプトも必要になってくるのではないだろうか。
ちなみに日本の頭脳である安宅さんはこう述べている。
”「開疎化」とは、一言で言えば、Withコロナ社会が続くとすれば、これまで少なくとも数千年にわたって人類が進めてきた「密閉(closed)×密(dense)」な価値創造と逆に、「開放(open)×疎(sparse)」に向かうかなり強いトレンドが生まれるだろう”
⑥ 新たなビジネスモデルへの転換
新型コロナの影響を受けて、既存事業の脆弱さに気づいた方もいるのでは。例え、短期的な凌ぎができたとしても、中長期的にはやっていけなくなるような業種・業態もあるのではないかと思う。そうなると、上記のような生活者の需要変動を見つつ、強みを活かして、どうビジネスモデルを転換していくのかという議論は今よりも活発になってくる。その変化に順応できる企業とそうでない企業で、将来は大きく変わってくる。
例えば、飲食店などを集めて、「フードコート型ドライブスルー」というようなサービスが生まれるのではないか。例えば、かつて流行した「仮想空間ビジネス」が再燃するかもしれない。例えば、映画「キングスマン」で出てくるようなシステムが開発され、その場にいなくても、その場にいるような感覚になるJack-in型のサービスは、企業向けでも、デパートやブティック向け、エンタメ向けにも提供される可能性はあるのではないか。例えば、「運動不足解消」×「エンタメ」を掛け合わせたオンラインとリアルを融合したゲームなどもヒットするかもしれない。
⑦ 政治や社会問題解決への参加の増加
今回の新型コロナへの各国政府の対応を見ると、日本の政治家への不信感はさらに増したように思う。個人的には、もともと信頼が厚かった訳ではないけども、実生活に影響がない限り、無関心でいられた。が、実生活に影響が出てきて、打ち出される政策のピント外れ具合いに腹立たしさを感じている人も多いのではないかと思う。また、思っていた以上に国は国民を守れないし、自分や自分の大切な人は自ら守るしかないと感じる人も増えたのではないかと思う。
要するに、政治を“自分事”で捉える人が増えただろうし、“自分がやった方がマシ”なんて思った人もいるのではないか。そうなると、国民の政治への関わり方や、社会課題解決への参加度合いも、可処分時間の増加と相まって、変わってくるのではないかと思う。
まず、三密を避ける意味合いもあり、オンライン投票は加速し、投票率も激増するのではないだろうか。そして、行政サービスのDX化も急加速するだろう。
さらに、住民参加型の社会課題解決(地域課題を含む)の動きもより加速するのではないかと思うし、それを助長するような機会を提供するサービスはこれから需要が増えるのではないかと思う。
総括
あくまで私やサロンメンバーが妄想した結果なので、この通りの動きになるかは分からないけども、少なくとも我々は大きな変化点にいるので、それを好機と捉えて、日々情報をアップデートし、妄想を繰り返していく必要があるだろうと思う。それを繰り返すことで、未来の輪郭がより早く見えてくる。そして、その未来に向けた準備をしていくことが必要だろう。
本テーマは、様々なコミュニティで継続的に妄想・議論をしていくことになると思うので、纏まり次第共有したいと思う。
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