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Naked Desire〜姫君たちの野望

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舞台は西暦2800年代。 世界は政治、経済、そして文化のグローバル化並びにボーダーレス化が進み、従来の「国境「国家」という概念が意味をなさなくなっていた。 欧州大陸にある、…
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#姫様

Naked Desire〜姫君たちの野望

ジリジリジリジリ──
枕元の目覚まし時計が、けたたましく鳴る。
「う、う、う──ん」
私─神聖プレアガーツ=ホッフンヌング連邦帝国グラーツ大公国第一皇女エルヴィラ・ジャンヌ・マリナ・カーリン・フォン・ゾンネンアウフガング=ホッフンヌング─は、目覚まし時計のベルを止めると、ベッドの中で思いきり身体を伸ばした。
上半身をゆっくりと起こすと、気のせいかまだだるい。
しまった、夕べのお楽しみは、1回だけ

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第6回 モノローグ-6

「そうね、そのほうがいいわね。置きっぱなしにしておいて、誰かに毒でも入れられたら大変だし」
実際この10年間、信頼していた部下や側近に、毒を盛られて命を落としたり、一命を取り留めても重篤な後遺症が残ったという話は、国内の至る所で流れた。
情勢が落ち着いたとはいえ、復古派の残党が一掃されたとは言い切れない現在、彼らの思想の信奉者が、素知らぬ顔で有力者に毒を盛らない可能性は残

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第4回 メモワール その4

「高そうなお酒ね? どんなお酒なの?」
と、私は夫に質問した。
「ヘネシー家当主6代目の生誕100周年を記念し、今から7世紀以上前のコニャックをブレンドして作られた一品だ。たぶん、ボトル1本20万フロリンはくだらないだろうな」
「ボトル1本で20万フロリン!」
貧困層の年収の倍以上じゃない! 私は絶句した。
このご時世に、吞気にそんな酒を引っ張り出す彼の神経がわか

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