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司法浪人、シンガポール警察に被害届出を提出し昏睡強盗の手口を知る。そして途方に暮れる。

司法試験に合格できずにいた僕が、勉強に煮詰まり、初めての海外旅行へ行った時のお話をしています。

今回は第6話です。昏睡強盗に遭った後、被害を食い止めるためにカード会社に連絡したり、警察に届出たり。

シンガポールで昏睡強盗に⇒警察へ

第5話では、昏睡強盗の被害を受けたお話をして、ホームレスの青年にも助けられて、なんとか宿泊宿まで戻ってきたお話をしました。

カードと現金は盗まれたものの、パスポートは部屋に置いてきたので、盗難を免れたのです。

でも、無一文になったことには変わりはなく、またカードの利用を停止しなくては幾ら使われるか分かった。

「なんとかしなければ」

時刻は朝の3時か4時だったが、まずは兎に角、警察に行くことにする。僕は宿の受付に行き、警察署の場所を聞くことに。1階がバーで夜中まで営業しているせいなのか、宿の受付には夜中でも人がいたのだ。

幸いなことに警察署は歩いてすぐの場所にあるとのことで、場所を教えてもらう。紙に地図を書いてもらい、僕はそのまま警察署に駆け込んだ。

警察署の建物には明かりが少し明かりが灯っていた。僕が片言英語で昏睡強盗にあった旨を告げると、数人の警官が寄ってきた。僕が英語を話せないとわかると、筆談も交えて根気よく対応してくれた。

シンガポールの警官は親切

まずはコーヒーを出してくれた。シンガポール警察の方の温かさに感謝する。僕が状況を説明し始めると、昏睡強盗はシンガポールではよくある事件なんだよ、みたいなことを喋ってるようだった。

警察官は僕に対して、「折角シンガポールに来てくれたのに申し訳ない」と謝罪してくれる。

状況を一通り説明し終わると、警察官がこんなことを教えてくれた。

昏睡強盗の手口は粉末の薬なり

「最近は、液体ではなくて、粉の薬(麻薬なり睡眠薬なり)を使う手口が横行しています。食べ物に薬の粉をかけて、旅行者に食べさせる手口が横行しているんですよ」と。

なるほど!
ここで僕は自分の失敗に気がついた。

確かに、僕はイカ様男が差し出したドリンクは飲まなかったけれど、シンガポール風の焼きそばはガッツリ食べてしまったのだ。

おそらく、イカ様男は、焼きそばを買ってから僕に差し出す途中で、粉末状の薬を焼きそばにかけたに違いない。。

僕は反省した。
相手が観光客狙いの犯罪者だと気づいていながら、欲を出して食べ物を奢らせようとした自分の愚かさにだ。

警察官は淡々と手続きを進めてくれる。

クレジットカードの盗難被害額は数十万円


警官は、まずは、僕からカード会社の名称を聞き出して、方々に電話をかけてくれた。

「これでひとまず大丈夫。カードは使えないようにして手続きしておいたから。だけど、既に50〜60万円位は引き出されているみたいだね。」

頭が真っ白になった。
警察官は続けて話してくれる。

「でもそんなに心配しないで大丈夫。今回の被害額については保険がおりるはずだから大丈夫だと思うよ。だから、被害届だけは出してね。カード会社に提出する書類も渡すわ」

警察に被害届を提出完了


警察での手続きが全て終わったのは、朝の7時ぐらいだったと思う。既に辺りは明るかった。

「それで、あなたの所持金は幾らなの?大丈夫」

警察官の女性は心配してくれた。だけど、これ以上心配をかけることは忍びなかったのだ。警察官によるとカード会社に電話すれば、緊急キャッシングしてもらえる手配をしてあるということで、なるべく早く電話するように言われる。

僕は「大丈夫!」と言って、お礼を言う。そして警察を後にする。

警察官たちは僕に何度も「折角シンガポールに来てくれたのに申し訳ない」と誤ってくれた。
それだけが僕の救いだった。

宿にもどって一眠りだけして、僕は10時ごろに宿を出た。宿代が前払いだったので追加支払いなかった。

無一文⇒緊急キャッシングの電話をかけるが…


街中に出てから、僕はお金を持っていなかったので、まずはとにかく緊急キャッシングを受けるために、街中にあった電話ボックスに駆け込んだ。

イカ様男には札束とカードは盗まれてしまったけれど、コインのお金だけは取られずに残っていたので、カード会社に電話をかけることはできたのだ。

シンガポール警察に教えてもらった所定の電話番号に電話する。しかし困ったことが起きる。それは、

「英語しか通じない」

今回の旅では、英語が苦手ながらも、それでも身振り手振り、ゼスチャーも交えてなんとか会話を成立させてきたのだけど、

電話の場合はそれが出来ない。電話だと、高度な英語力が必要なことを痛感する。

一生懸命に片言英語を話すが、でも何度聞いても、相手の話していることが聞き取れない。自分が話していることも相手に理解してもらえていないようだった。

電話が通じないことには、緊急キャッシングで送金してもらえない。

「どうしよう。まるっきりの無一文だ。。」

親切な父娘と出会う

僕はショックのあまり、ガクゼンとして肩を落としていたのだろう。途方に暮れていた。すると、電話BOXの向いにあったエクスチェンジのお店の人が話しかけてきてくれた。

どうやら、父娘で営んでいる小さなエクスチェンジのようだった。

「どうした、大丈夫か」

僕は得意の片言英語で実情を話す。すると、おじさんはアドバイスをくれる。

「シンガポールにも日本大使館がある。大使館に行けば、飯も食わしてくれるし、お金も貸してくれるはずだ」

なるほど、その手があったか。
そのおじさんは、親切に色々と教えくれたし、同時に旅行では人前で財布など出さないように注意しろ、と心配もしてくれた。

僕はおじさんに教えられる通りに、大使館に行くことにした。
おじさんが親切に、紙で地図を書いてくれた。これなら迷わない。

大使館が僕のことを助けてくれないはずがない。
僕は安心して、大使館に向かった。

この記事を書いた人
湯川 七八貴
https://7korobi-8oki.com/rising/

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