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2021~22年初の動向 ーー 身体の潮流が変わる

骨盤がゆるみやすい傾向、2021年の夏以降も秋から冬、年が明けても続いています。個人的反応としては特別なことではありませんが、全般的な反応としては、40年以上の整体の現場で初めて観る現象になりました。

身体は季節に応じてバランスを変えていきます。例年3月~4月は、頭や骨盤がゆるむ時季に当たります。ところが1昨年2020年の春は、コロナ禍の始まりで「身を護る・戦う」身構えになってしまい、骨盤も頭もギュッと縮んだまま、ゆるむことができませんでした。

21年の春は、前年とは打って変わって例年以上に骨盤も頭もは大きくゆるんだのですが、本来なら一緒にゆるむはずのみぞおちがゆるみにくい(リラックスできない)という ” 気難しい ” バランスになりました。




5月以降は例年どおり、頭も骨盤も再び引締まりましたが、21年7月下旬「2020東京オリンピック」が始まり、コロナパンデミックの「第5波」が急拡大したころから、なぜか季節外れに、再び頭蓋骨も骨盤もゆるんで横に広がりやすい傾向が表れました。

12月に入ってから、骨盤はゆるみやすい傾向は続いている一方で、縮む力も出てきて、必要なときは縮める態勢になる人が多くなってきました(忙しかったり、緊張が必要な状況にある場合、頭は縮んで骨盤はゆるんでいるパターンもあります)。年末年始は冷え込みましたが、足元(内くるぶし)の内側からの温め力は強く、冷えている人は意外に少ないです。

コロナ禍で一斉に始まった胸椎11番(ストレスに関わる)の反応は、一時ほど目立たなくなりました。胸椎11番と連動してストレスに関わる首の斜角筋(とくに左側)の緊張も、人にもよりますが、少なくなってきています。

交感神経の興奮(ストレス反応)で、誤嚥でむせたり、空気を飲み込んでしまいやすい傾向(みぞおちの周りが胃や大腸に溜まった空気で膨らむ)も12月に入ってから少なくなってきています。みぞおちも、個人差はあるものの、だんだんゆるみやすくなってきています。

仰向けになったとき足先が立ちやすい傾向(これも ” 警戒体勢 ” の一部と思われる)も、10月以降だんだんにゆるみやすくなってきました。

2021年6月15日 Mさん
2021年12月29日 Mさん

参照:「コロナ禍中の身体 その2 ー 身体はどう応えているのか

ただし、胸椎11番(ストレスと内分泌系に感応)につながる第3趾・4趾間の4趾側のポイントは依然敏感で、爪の先で軽く押すとすべての人がビリっと痛みを感じる状態です。例年であれば、春から夏への身体の切り替え期である5月と秋から冬への切り替え期である11月に、胸椎11番と血海が連動して身体を引き締め直す動きを見せます。それがずっと続いているという印象です。

しかし一方で、ふつうは下腹を引き締める血海の反応が高ければ、骨盤も同時に引き締まるのですが、骨盤が大きくゆるむ傾向が同時進行しているわけです。身体も自らの反応に戸惑っているかもしれません。

めまい、頭痛、五十肩様の症状、足腰の痛み(股関節、膝、坐骨神経痛、脊柱管狭窄様の症状)はまだ多く見られます。12月上旬にひどいめまいで救急搬送された人が、病院で「めまいの救急が多い」と言われたそうです。ひどいめまいではなくても、足元が不安定な感じ、「乗り物酔い」のようなムカムカ感などの微妙なめまいはよく見られます。

気の流れという面から見ると、血海の反応の力強さ(血海に触れると熱い感じ)は、コロナ禍が始まる前から一貫して続いています。血海は足元から脚の内側を昇って下腹に集注する(温める)気の流れをポンプアップするツボです。つまり足元から下腹へ立ち上がる気の流れが強い(=身体の活性度が高い)のです。この血海の高反応、2021年にはさらに高まっています。

21年夏以降は、頭と骨盤がゆるむと同時に、頭から足へ向かう気の流れがどんどん強まってきました。下腹を温め、力を集中する血海の反応が高い(=下腹に力がある=骨盤を縮める力がある)のに骨盤はゆるんでいる。一見相矛盾する反応がずっと続いているわけです。

例年なら頭から下りてくる気の流れが強まるのは春のあいだです。

寒い冬の間は、下腹を温め、力を集中し、身体を内側から温める(内くるぶし下→血海→下腹)と同時に骨盤・下腹が引き締まって、身体の内側に熱を蓄え、同時に余分に放熱しないように、頭から足への体表の流れ(発散・放熱)は弱まるのが通常のバランスです。

暖かくなっていく春には、頭から身体の表面を流れ落ちる排気・排泄の流れが高まり、頭・骨盤はゆるむことでこの流れがスムーズになるよう促します。この間、頭と骨盤がゆるむのに呼応して足三里が頭から下りる流れの排気口として働きます。気の流れが激しくなると足三里で詰まりやすくなります。

ところが今のところ、頭から下りてくる気の流れが例年の春以上に激しい割に、足三里で詰まる人が意外に少ない(むしろよく発散できている)状況が、ずっと続いています。

女性の生理(月経)の間も同じような流れになります。頭と骨盤がゆるんで、腸の動きは高まり、排泄が良くなるのが本来です(ただしゆるんでいるのに頑張ってしまうと胃腸の動きが抑えられて便秘や胃腸症状も起きやすくなります)。生理中も左足の第3-4趾の間(4趾側)は敏感になり、押すと痛い(コロナ禍中、ずっと続いている)です。

春の間も、生理中も、いろいろ身心の症状が現れやすいことも共通しています。春の身体のゆるみでは、毎年アレルギー等の症状も起こしやすくなりますね。21年後半は長く続く “ ゆるみ ” の中で、頭・肩・腕・足腰の痛みも起きやすく、めまいやこむら返りも起きやすい傾向が見られました。

つまり2021年後半の身体のバランスは春と生理中の身体のバランスと似ている側面があるわけです。違うのは、春も生理中も、頭ー骨盤がゆるむことで下腹の力が抜け気味になり、集中力も下がるのですが、いまは血海の活動がとても高く下腹に集中する勢いも強いので、集中のポテンシャルの高さも維持されているということです。

一方で、“ ゆるみ ” には、身心をリセットし、バランスをとり直す機能があります。コロナ禍の中での大きなゆるみは何を意味するのかまだわかりませんが、身心にとって必要な何かが進行しているのだと思います。「気のゆるみ」というと、良いイメージはありませんが、” ゆるみ ” はとても大切です。

一人ひとりの人生の中でも、たとえば大切な人を失った後にも、更年期の中にも、身体がゆるみきって再生する過程があります。昆虫が蛹になって変態するような何か大切な変化が起きている気がします。

あらめて整理します。

2020年、コロナ禍前半の身構えはこんな感じでした。

戦う(身を護る)・しがみつくような体勢。どちらも、ギュッと身を縮める体勢にになります。強い意欲を持つ、あるいは困難を生き抜くための姿勢です。すごく集中したり、必死になったりするときは身体をギュッと縮めるのです。ただし、20年後半は、この体勢に疲れが見え始め、右半身がゆるんで左右差が大きくなり、いろいろな症状が出やすくなりました。

参照:「2020ー21年 コロナ禍の中、私たちはどこにいるのか?行こうとしているのか?

2021年後半の身体は”身を投げ出す”感じに近い(=捨て身?)です。

あきらめる、投げ出す、リラックス、のんびりするときは、身を投げ出す、伸びる・広がる体勢になります。これも身心のリセット、行き詰まりの解消のために必要です。

私たちは、しがみつく ⇔ 投げ出すの往復運動の中に生きているといえますが、いま進行中の ” 身を投げ出す ” 動きは、ただの諦めではない、回復のための能動的な動きになると思います。

激しい流れに巻き込まれたとき、泳ぐのが難しければ、何かにしがみついて流れに乗ろうとするでしょう。そこからさらにより良く、流れ(環境)に適応するためには、脱力して流れに浮かぶ術=” 浮身 ” を身につける必要がありそうです。私たちはいま ” 浮き身 ” を身に付けつつあるのかもしれませんね。希望を持ちたいです。

コロナ禍では、コロナへの対応を巡って、不安の大小、マスク、ワクチンへの考え方など大きな落差や分断が生まれたように見えます。ところが私の観る限り、例えば、まったく警戒感のない人から異常に不安になった人まで、どのような考え方をとる人も、身体の応答は基本的に同じでした。


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