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コロナ下、2度目の夏 ーー 骨盤が動く


コロナ禍も1年半経過し、年齢、健康状態、職業など、人それぞれ置かれた状況、生活信条の違いによって、マスクやワクチン、さらにはオリンピックに対する考え方にも断絶が生まれています。


たとえば冷房の温度設定で、暑がりな人、寒がりな人のあいだに互いに分かり合えない壁があるのと同じように、身近な人同士のあいだでも、コロナ禍の中での考え方や行動に断絶が起きています。


いま世界中で起きている気候変動も、パンデミックについても、今このすぐ先に何が起きるのか、専門家も含めて誰も予測がつかない状況の中では、必然的なのかもしれません。


” 正しさ ” が見えない中、それでもなんとかそれぞれのやり方で、しのいで行こうとしているのが多くの人たちにとっての今だと思うのです。

一方、整体の現場で身体の反応を観察していると、感じ方・考え方の違いに関わらず、ほとんどの人の身体に共通した反応が起きています。ひとつはコロナ禍の始めから続いている警戒反応・ストレス対応の一環と思われる反応。もうひとつは今年7月下旬から目立ち始めた骨盤の脱力反応(ゆるんで広がる)です。


1・ 警戒反応・ストレス対応の一環と思われる反応

今年1月の「報告」の中でも触れたことですが、不安やストレスにさらされたときに身心の過剰反応を抑えるのが胸椎11番の動きです。テンションを上げたり、身構えたりするとき、胸椎11番の棘突起が持ち上がって一つ上の胸椎10番にくっつくようになります。

これによって、通常は体幹の中で最も柔らかいところ{ムネ(胸郭)とハラ(腰)のつなぎ目}を引き締め、体幹のバランスに、外部からの刺激に対して過剰反応しない=身体を護る ” 姿勢の粘り ”(身構え)が生まれます。

参照:2020年5月8日にツイートした「身がままリポート」と

   2021年1月にnoteへアップしたエッセイ

2020 ー 21年 コロナ禍の中、私たちはどこにいるのか? 行こうとしているのか?

2021.8.23.左3-4趾間(4側)③”

胸椎11番と響き合うポイントが足の甲(とくに左足)にあります。第3と第4中足骨のあいだが縮んで硬くなり、第4趾側が敏感になっていて、爪の先で触れるとすごく痛いです。3--4趾のあいだ(=趾の股)の第4趾側も同様に敏感です。(自分でピッタリ当てるのは姿勢的に難しいですが)


このポイントは、昨年の春以来、ほぼ例外なく誰もが飛びきり痛い状況が続いています。これまで、細かすぎて分かりにくい気もして、胸椎11番に連動する斜角筋・舌骨筋、みぞおちなどを取り上げてきたなかで、触れることを避けてしまっていたのですが、ここがこれからもしばらく、最も敏感なポイントとして生き残っていきそうなのです。


ホルモンの働きともつながっていて、日常の生活サイクルの中では、月経のあいだも3 -- 4趾間の4趾側は敏感になります。

斜角筋・舌骨筋も、みぞおちも、一部ではかなり柔らかい人が出てきました。とくにみぞおちは、前回5月のリポートではどうやってもなかなかゆるみにくいとお伝えしたのですが、人によってはかなりゆるみやすくなってきました。

この間のみぞおちに関わる経過的観察のなかで、上腹の中心=みぞおち(=鳩尾穴)・中腹の中心(=下脘穴)・下腹の中心(=関元穴)の上・中・下3点のあいだで動的バランスをとっているということがあらためて見えてきました。


この、腹の上・中・下のバランスのなかの、” 中の動き ” をこれまで軽視してきたことが私の反省点です!


下腹に力があるときは、ほぼ自動的にみぞおちがゆるむ。逆にみぞおちが硬くなっているときは、下腹の力は抜けやすくなる。{上抜ける▲下入る}↔{上入る▲下抜ける}というシーソーのようなバランスが、自動的で、当たり前の反応だと思いこんでいたのです。この間、そうでない例がたくさん出てきてしまいました。つまり、長い整体の経験のうちに、反省すべき思い込みができてしまっていたわけです。

このことに関しては、さらに整理して、機をあらためてリポートすることにしましょう。

とりあえず、みぞおちをゆるめるために有効なメソッドをひとつ紹介しておきます。恥骨を軽くテコにして、骨盤の呼吸運動を深くすることで、上腹・中腹・下腹の動的バランスを賦活します。

2021.6.18.恥骨法〜みぞおちゆるめる②


2・今年7月下旬から目立ち始めた骨盤の脱力反応

この夏もうひとつ目立ったのが、本来は春に起きるような骨盤の動きです。


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2021.8.29.後頭骨〰側頭骨ゆるむ

昨年(2020)の春はコロナ・ショックの緊張と興奮のせいか、骨盤が例年の春のような脱力・リセットの動きが封じられたまま過ぎてしまいました。


今年(2021)の春は逆に、例年以上に骨盤が大きくゆるみ、アレルギーや自律神経症状やパニック発作などを伴いながらも、コロナ環境のストレスによる疲れを吐き出し、骨盤の弾力と呼吸を回復しようとする動きが目立ちました。


昨年の8月も、骨盤のゆるみは一時表れましたが、胸をゆるめてこもっている熱が発散すると、自動的に骨盤も縮んでいたので、胸をゆるめて放熱しやすくするために骨盤もゆるんで猛暑に適応しようとしているのだろうと観ておりました。ただ骨盤がゆるみやすかったのは半月ほどで、ゆるみ方も大きくありませんでした。


今年の夏は昨年ほどの ” 猛暑 ” ではないのに、春3〜4月のように、骨盤だけでなく頭も同時にゆるみやすくなっています。2000年代に入ってからは激しい気候変動の中で、骨盤が最も縮みやすい冬に向かう時季に、逆に骨盤がゆるむということも起きるようになりました。2010年代になってからは、身体の季節的な反応に例外的な動きはさらに多く見られるようになりました。


手元の記録を見ると、たとえば東日本大震災の前年2010年の5〜8月、48日間熱帯夜が続くという異様な暑さの中で、やはり8月に骨盤がゆるむということが起きています。

参照:「身体という前線 足三里と血海を中心に ー 2000年代環境変動の中で
 

この10年間を通してみると、骨盤が開閉をくり返す頻度が増えていると同時に、開閉の動きそのものも大きくなってきています。関連する穴としては、血海と足三里ですが、この3年ほどのあいだはとくに血海の活動がずっと高いままです。


骨盤の開閉によって身心のバランスを何度もリセットすることで、変動の時代をしのいで行こうとしているのではないかと見ています。骨盤の開閉の動き、血海と足三里の活動、引き続き注目していきたいと思います。

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