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2022年前半の身体動向 激流に乗る身のこなし

2022年前半の身体動向  激流に乗る身のこなし

今春2月から梅雨6月にかけての整体現場での身体動向について、見ていきましょう。

前年(’21年)の夏の終わりから、ずっと頭から足へ下りる気の流れが激しかったので、例年なら、頭→足の流れが最も強くなる春3月ですが、どうなるのか?注視していました。予測としては、今シーズンはもうそれ以上強い流れにはなりにくいのではないかと思っていました。しかし結果として、さらに流れは激しくなりました。

気の流れが強いほうが体力がありそうなものですが、実際には、激しくなるほど身体のバランスが安定するのは難しくなります。昔から「木の芽時」には体調が不安定になりやすいとは言われてきましたが、今年はさらに大変だったわけですね。

昨年(2021年)の春は、骨盤が大きくゆるんでも、みぞおちがゆるみにくいという困った特徴がありました。今年(22年)の春は、昨シーズンよりはみぞおちがゆるみやすい傾向がありました。骨盤がゆるむと同時にみぞおちもよくゆるんでくれれば、全身がゆるみ切ることで身心がリセット、いい感じに再生される可能性があります。

春は身心のバランスが不安定化する一方で、骨盤を中心に身体がゆるんで、頭→足の気の流れを促し、排泄を高め、自ら再生しようとする時季でもあるわけです。

ただ、 2年以上にわたるパンデミックの中で疲れた身心に、2月24日からの「ウクライナ侵攻」に多くの人がショックを受け、その情報の激流にもさらされることになってしまいました。 2月はみぞおちがゆるみ切る人もいましたが、 3・4月は再び、ゆるみ切るのは難しくなりました。

とくに4月は最大限に骨盤がゆるんで広がる人が目立ちました。ただし3~4月のあいだ寒暖差が激しく、急な冷えで左が縮み、急に暑いくらいになって右が大きくゆるむという左右のバランスの変動がも激しく、寒暖差アレルギーなどの免疫症状。「腰が抜けた」という感じのギックリ的腰症状も目立ちました。(軽ければ坐骨神経痛、痺れ、膝痛、股関節痛)大腿直筋の張り、または大腿筋膜張筋(ー腸脛靭帯)の張り(=「脊柱管狭窄」的症状→足元の不安定・めまいにもつながる)が多くの人に見られました。

“ゆるみ”過程のパターン(症状)として、コロナ感染症ではない発熱症状(前年春にはほとんど見られなかった)も散見されましたが、発熱を経過して身心は軽快化しました。

自律神経のバランスが交感神経(緊張・ストレス)優位になり、空気を飲み込みやすくなってお腹が張る人も、昨年ほどひどい張り方ではないものの、また多くなりました。

4月下旬から5月は、気温だけでなく湿度の変動が激しく、腰椎3番が硬くなりやすい傾向(へそ周りが張り、脇腹の力が抜け、足腰が重くなる)が6月中旬まで続きました。

この間、骨盤が左右不均等に大きく広がり、「ぎっくり腰」症状になるパターンも、引き続き多めでした。ただ「ぎっくり」パターンにはまった人は、むしろその後、骨盤-足腰の弾力がよくなり、身体がいい感じにリセットされていました。

全体の流れとしては、骨盤を中心に昨年秋からずっとゆるみ傾向が続き、4月にピークを打って、5月からは骨盤は縮みなおす体勢になっています。

一方、コロナ環境下でずっと敏感だつた3-4趾間の4趾側(胸椎11番につながる)は、どの人も2年間以上、触れるている間ずっとひどく痛かったのですが、5月の連休の後は徐々に、しばらく触れていると痛みが少なくなるように変わってきました。

これは大きな節目になる動きだと思います。

3-4趾間(4趾側)は、生理(月経)のときに敏感で、軽く触れても痛いところです。糖尿病の人も痛い場合が多いです。つまりホルモンのバランスに関係し、季節的には、身体が"夏向き"に切り替わる5月と、"冬向き"に切り替わる11月に敏感になり、胸椎11番と響き合うところです。

2年以上続いてきたコロナ環境のストレスに対して、胸椎11番はぐっと立ちあがり続けて応えてきたわけですが、5月の季節的な勢いに乗って、身構えをリセットしようとしているようです。
https://note.com/migamama/n/n41b4beff1dd5?magazine_key=m548d30270d10

コロナ環境下では、ずっと縮みやすかった腿の前外側の大腿直筋と腿側面の大腿筋膜張筋が、6月に入ってからは柔らかくなりやすくなってきました。

仰向けで身体をゆるめても、足先がなかなかゆるまない(足先が立つ)傾向が、昨年夏までは一部の人では根強く続いていました。これもコロナ環境下の緊張態勢の一部と思われます。それが昨秋から徐々にゆるみ始めていましたが、その中でもまだゆるみにくかった人も、この5月からは大分ゆるんで広がりやすくなってきました。

Mさんの足先


2021.6.15.
2021.12.29.
2022.6.26.


(元々立っている人、広がりっぱなしの人、足先の広がり方には個人差があります)

コロナ環境下でずっと続いてきためまいを始めとする平衡感覚の不安定、くらくらしたり、ふわふわしたり、足元が頼りないといった症状。これは腰椎2番-腸骨の動きの疲れです(老化とも密接に関わります)。生活と行動が様々な制約を受け、身心に”拘束感”が生まれて、柔らかな姿勢バランスをとり難い状況が続きました。結果として、姿勢バランスー平衡感覚→空間認知が不安定になることが多かったです。足元の不安定=空間感覚の不安定=安心してそこに身を置くことができないというのが共通感覚ではないでしょうか。とくに高齢者では認知全般に影響するようです。この2年間、「認知症が急に進んだ」という話を度々聞きました。気分の落ち込みや不安にもつながります。

"コロナ疲れ”  腰椎2番ー腸骨(腸骨筋)ー大腿筋膜張筋

腰椎2番-腸骨の応答が敏感な7月と9月、敏感なだけに足腰の安定や平衡感覚の安定が乱れやすくもありますが、疲れを回復して、足腰から平衡感覚を安定させるチャンスでもあります。それが身体の周りの空間に安心して身を任せられる"居心地"を生むことになります。

昨年秋から続いてきた頭から足へ向かう体表の強い流れは今も続いています。それに応じて、下腹の集中を保ちつつ、骨盤をゆるめながら全身を脱力(=身を投げ出)して"受け流す構え"は、より”身についてきた”ように見えます。この5月に骨盤が縮みやすくなっても、流れに乗る体勢=”浮き身”は続いています。 
膝上内側の血海穴の活動=”血活”で丹田に集中しつつ、骨盤は自由にゆるんだり縮んだり、自在に身をかわして流れを渡っていく高度な身のこなしが生まれつつあるようです。
https://note.com/migamama/n/n4fe7b406ed5a

”浮き身”は、コロナ禍の中で身につけた身心の"希望"だと思います。(2022.6.30.記)

(2022.8.2.補遺)
6月下旬~7月初旬は連続35℃超、季節外れの記録的猛暑と、中旬には「戻り梅雨」の高湿度にも見舞われました。7月下旬にはまた猛暑、身体からなんとか放熱すべく、下腹の力を保ちながら骨盤が能動的にゆるむ応答がよく観られました。

この7月、新型コロナ「第7波」の真っ只中にありますが、波にさらされながらも流れに乗るバランス、3Dの平衡感覚(血海ー下腹の気合と上体の脱力)は、さらに磨かれていくことになると思います。


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